第9話
「ふざけんなクソマスタぁあああああああああああああああああああああああああああッ!?」
「うわぁああああああああああああ!! だからごめんってぇええええええええええええええッ!!」
「とんでもねぇモンスターの情報隠してやがったな!? 最上級の危険じゃねぇかッ!? キマイラもサイクロプスも危険度Sランクじゃねぇかッ!
「だから君にしか頼めなかったんだよぉおおおおおおおおおッ!!」
「んなもん、上級ランクの奴らに頼めよアホかッ!!」
「上級の人達は安全で割の良い仕事が
「そりゃそうだろ! まともなリスク管理できる奴なら誰だって断るわ!!」
「だからまともじゃない君たちに頼んだんだろうっ!?」
「俺達がまともじゃないのは脳みそと名前だ!」
「
「――やかましい! とにかく、こんな依頼受けられるかッ。うちの傭兵団は『安全第一』が方針だ! 俺は下でさっきのお姉さんがくれた依頼を受けるぞ。彼女が一生懸命探してくれたんだ! 優しい俺は
「ちょちょっ! さっき普通に彼女を
「そんな
執務机から身を乗り出し、立ち去ろうとするクズにガッチリ逃がさないようにしがみついてるシリ。
――三十歳を
凄く
「絶対に出るわけじゃないからっ! ただ生息域を掠めるだけだからぁああああああああっ!!」
「俺達の傭兵団ランクはⅤだぞ!? 万が一でも出たら、
「そんなの君が安全なクエストしか受けないからだろうっ!? 君なら大丈夫っ!――自分を信じるんだ! 私だって必死なんだ!」
「うるさいわっ! 俺は自分の運の悪さ、トラブルメーカーとしての
「情けないことを言い切るんじゃあないよっ!」
「やかましい! 俺は
「その根性を違うところに
「
「そんなこと言わないでぇえええええ! 頼むよ!
「その不幸に俺を巻き込むなっ! 自分の仕事なんだから
「私だってこの若さでギルドマスターなんてやりたくなかったよぉおおおおおおおおっ!」
「泣くなっ! 同情はするが助けられん!」
「――ええい、わかった!! だったら、この依頼を成功させたら私をお嫁さんにあげるよっ! お姉さんの身体を好き放題できるんだよっ!?」
「……いや、行き遅れて
「――……。……ちょっと待ってってね」
いったん休戦とばかりに、片手で執務机の上にあった呼び鈴をチリンチリン鳴らした。
すると、ほどなくして一階で受付をしていたお姉さんが室内へ入ってきた。
「はい、どうしましたギルドマスター?」
「私からの緊急依頼だよ」
「え?」
「――私が嫁に行き遅れてるって噂を流している人の
「ひっ……! は、はいぃいいい!」
受付のお姉さんは
シリが背中にしがみついている
見えないからこそ、一体どんな表情であったのか知ることが怖い。
本当に怖い。
ひんやり冷えた空気が室内を
「――では、俺も失礼しますね」
「逃がすわけ、ないだろぉ?」
再び両手でがっしりとしがみ――
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