第8話 コンタクト

「あれ、眼鏡。」


おはようより先に眼鏡について言われた私は、似合わないのだろうかと不安になった。


「おはよう、こうた君。」


「あ、おはようございます。で、めが…。」


「眼鏡似合わない?変?」


私は遮るように聞き返した。


「変じゃないです、似合ってます。でもどうしたんですか?」


彼が疑問に思うのも無理はない。


普段から私は動きやすいことやメイク映えすることもあり、コンタクトを着けているからである。


「寝坊して、メイクどころかコンタクトさえ着けられなかった。」


彼は納得したように頷きながら隣に座った。


「そういえばこうた君はいつも裸眼だよね。」


彼は驚きながら否定した。


「俺もコンタクト。」


私は驚いて、彼の手を握った。


「こっち見て。」


彼の目を見つめると、コンタクトが入っていてそこに私の間抜けな顔が映っていた。


「ちょっ…。」


彼が私の手を振り払い、顔を背けた。


「えっ、ごめん。嫌だったか…。」


「違う、違います。照れただけ。」


コンタクトは間抜けな顔を映すと同時に、彼の可愛らしい表情も映し出してくれるようだった。


「そんなに見つめられたら恥ずかしいです。」


追い討ちをかけるのはやめてほしい。

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