4話 高速思考!! 狙われる灯は嫁いけず

「クロ、悪魔って人間と結婚できるの?」


璃子さんの素朴な疑問にクロが答えた。


「えぇ、可能よ!! 結婚するためには色々、準備が必要になるわ。身分の改ざんだったり、ちゃんと周りに怪しまれないように魔力で年々、老けさせたりなどをね」

過去にも人間と悪魔の婚姻はあったそうだ。しかし、婚姻の後、それぞれの相手の世界に残るのが条件だそうだ。人間界を選べば、悪魔の方は2度と魔界に行けない。魔界を選べば、同じように人間界に行けないとなっている。そんな条件なら別れた方がお互いのためだと思う。

しかし、それでも一緒にいたいから選ぶ。


殆どの悪魔は、年齢にあった容姿に変えることができるがクロは特別らしく、容姿は勿論、性別までも自由自在だ。

だから......

「もし、灯が私と結婚したいなら一時期、こうするわ」

そう言って、クロは指をパチンと1回、鳴らすとそこにはイケメンが現れた。

こちらをじっと見つめていたが、私はただ首を傾けるだけだった。

「うん? どうしたの、クロ? そんなに見つめても何も出ないわよ」


「おかしいな、灯には効かない?」


「何が?」

なんでも、今のイケメン姿で仕事していた時、行く先々で女性から黄色歓声が鳴り響いて、顔を近づければ、皆、頬を赤(あか)らめ視線を逸らされることが多いと。

現に今、璃子さんは潤んだ瞳になっている。これは異常事態だ。

あの実験大好きでそれ以外は壊滅的で残念なあの璃子さんでさえこんな状態になっている。


だが、私にはこれといって変化は起きていない。


「だって、クロはクロだし。特には、ねぇ〜」




もう1回、指を鳴らし今まで灯に一緒に行動している姿のクロになった。


男性は前途多難ね、これは。

クロはそう思ってしまった。


などと考えながら3人でその後も湯に浸かっていた。



脱衣所でクロがマッサージマシンで全身マッサージをして、璃子さんは乳液や保湿剤などを洗面台を使って肌のケアをして、私は牛乳を飲む。


「そそそそ、いえばばばば、灯、もうすぐぐぐ、テストトット結果だよっよよねねねね」


1回、マシンを停止してから話なよと思う灯。


飲み干した牛乳瓶をゴミ箱に捨てた灯。

「さぁ〜てぇ、部屋に戻りますか」

一体、何のことかわからない風を装い両手を頭の後ろに回し、右足を立て、左足を右足に絡めていた。


「わわわかっててて、いいるるでしょうねねね、あのののこととと......」


不味い、非常に不味い。あの話から2週間経ってるから忘れていると思っていたのに......。


何か話題を変えなくてはいけない。



「そう言えば、灯。【太義の蛮輪】ブロ・ウォーガーどうだった?」


天は私に味方している。ナイス璃子さん!!


「まぁ、ぼちぼちでした......」

璃子さんが修復した【太義の蛮輪】ブロ・ウォーガーをさっきの模擬戦で使ったが、先日の駐車場で見せたパワーは出ていなかった。武器の性能は変わらなかったのがせめてもの救いだけど

大剣からパワーを取ったら一体、何が残るのか。


「元々、採取したカサンドラの成分が少なかったのが原因ね。更に、ここに来て、警察の武器のせいで【太義の蛮輪】ブロ・ウォーガーが壊れたから余計にだけど......」


要はただのエネルギー不足である。100%の悪魔の素体を使えば、例え強化アイテムが壊れてもエネルギーは損なわないらしい。うん?素体?


「まぁ、今改修しようと考えているから......。【義心の大剣】ヘルズ・ギドリの失ったパワーを補えるモノを......」


「そういえば、璃子さん。私が手に入れた悪魔2体は、強化アイテムになれないの?」


「今、目下研究中よ」

何でも、今スランプだとか。スランプといっても武器のアイデアのストックが無くなったとか

性能もどうするか頭を抱えていた。

更に、【太義の蛮輪】ブロ・ウォーガーのようにならないようにもっとすぐに壊れないアイテムにすると躍起になっている。


「しかし、警察も面白い物を使うわね、はぁ......」

青奈ちゃんが緋山(ひやま)さんが持っていた道具を奪って璃子さんに渡した。


確か、【Pパス】と【アヒェントランサー】だっけ。璃子さんが解析して名前や武器の性能がわかった。それを見てから璃子さんが頭を抱えることが増えた。

今まではテンションが上がればすぐに何か作るのが璃子さんだったが、自分以上の作り手が急に現れたもんだから頭がスリープモードになっていた。


「ちょっと待っててね......。はぁ......」


「りここここ、ためいきききするるるととと、幸せせせがにに逃げげるわよよよよよよ」


「ねぇ、クロ。一旦、マシンを停止してから話してくれない。頭に入ってこないから」


クロと璃子さんが話し始めていたが、私はそれに参加しなかった。

なぜなら、灯の頭にはあることで頭がいっぱいだった訳だ。


でも、大丈夫よね、きっと......

そう、ついさっきクロが言った中間テスのト結果のことだ。

その結果次第で私の歴史がまた変わってしまう。主に黒方向へ

全然、鬱展開とかではない。しかし、私にとっては恥辱まみれの展開になってしまう。

灯は明後日の方向に目を向けながら回避する策を考えていた。


罰ゲームを撤回する方法を......


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

いつかの日のとある会話......


クロ:最近、賭けしてないわね

 灯:そうだっけ? 別にいいじゃん、やらなくてもさ......

クロ:よくない! 久しぶりにやるよ

 灯:えぇ~

クロ:今度の中間、50位以上いくこと

 灯:はぁ!? 無理だよ

クロ:罰ゲームは灯が過激な服着ることよ!

 灯:はぁ!? 絶対に嫌よ、そんなの

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