5話 集結!! 晴れ! 快晴!! 一人曇り?
6月1日
今日も今日で天気は快晴。雲1つない空模様となっている。
外がこんな陽気な天気だが、私の頭の中は絶賛異常気象に見舞われている。
大量の汗が流れるように雷は常時降り続け、大雨が荒く降り、今にも涙が出そうとなっている。
だが、それでも時間は過ぎていく。
今この時も......。
お昼休み。
私達は学生棟1階入口付近に向かった。
なぜ行くのか、それは......。
私と綾ちゃんは並んで歩き今回の中間テストの結果を確認しに行った。
ーー10分前。
テスト用紙はもう既に各担当教師から返却されている。
喜んでいる者、四つんばえになっている者、同志と点数の見せ合いっこしている者等、様々な表情を全面に出していた。
そして......。
「灯ちゃん、やったよ!!」
私がいる席まで猛スピードで返却されたテスト用紙を持ってきた鈴木綾(すずきあや)こと綾ちゃん。
綾ちゃんの表情は端的に言って明るかった。
テスト用紙を私に渡した。
「あぉ!!」
テスト用紙を見ると平均65点の結果だった。
綾ちゃんに抱きつかれた。
「こんな点数獲ったの初めてだよ、ありがとう!!」
「綾ちゃんが努力した結果だよ。私は何にもしてないよ」
「灯ちゃんはどうだったの?」
「うん? 私は......」
「!? すご!! ほとんど80点以上じゃん!!! 中には90点以上がちらほらある」
「この位獲らないと後が怖いから......」
「あぁ、この前言った賭けだっけ? あれ、結局受けたんだ」
「うん、私が勝ったらクロには貫禄な自撮りを撮ってもらうことにした」
「自撮り? 何も罰ゲームになってないけど?」
「ここからよーーその撮った写真を最大まで引き伸ばしして、プリントアウトしてから額縁に入れて1週間飾る」
「うわぁ、酷い」
「私だってあんな内容の罰ゲームさせられるんだよ、これくらいはやってもらわないと割に合わないよ」
(逃げる選択肢もあると思うんだけど、相変わらずクロさんに唆されていて、意外と灯ちゃんってチョロいのかな......)
「じゃあ、今から見に行く?」
「そうだね......。行きますか......」
回想終了。
入口に着いたが中間テスト上位100名の名前が記載されている掲示板には結果を見ようと人だかりができていた。
右から1年生、2年生、3年生の順番に3つの掲示板が置かれており、私達は人を掻き分けながら真ん中の掲示板に進んで行った。
「2人も見に来たんだね」
左から私達に声をかけたのは橋間(はしま)すずこと、すずちゃん。
「すずちゃんはもう自分の結果見たの?」
「5位だった!!」
右手でピースサインをして嬉しそうのすずちゃんだった。
「5位!? 次元が違いすぎる」
「まさか、一気に10位以上上がるとは自分でも驚いたよ。クロ様には感謝だね。帰りに何か美味しいスイーツ買って献上しようかな」
「残るは灯ちゃんの結果だけだね」
「良し!! 覚悟は決まった!! いざ、勝負!!」
「なぁ、綾。灯はこれからどこかに戦いに行くの?」
「まぁ、ある意味闘いだね。ほら、この前にチラッと話しした......」
「あぁ、あれねーー思い出したよ、そっか、あれね♪」
「もしかして、すずちゃん。知ってるでしょう? 灯ちゃんの結果知っているの?」
「さぁ〜 どうでしょうかね〜」
何故か、ニヤニヤしているすずちゃん。
(まさか......だよね)
私達は掲示板から少し離れた所で談笑していた。
2人で話しをしていると下を向いて歩いてくる影が一つ。
そう、灯ちゃんである。
で、周りの人。
特に2年の男子は下を向いて暗い表情をしている灯ちゃんに群がっている。
介抱してあわよくばの展開を期待しているゲスな男子はしっかり周りの女子に粛清されていた。
「2人とも、今までありがとう......」
「どうしたの、急に!?」
「私は穢されました、もうお嫁に行けません」
「結果はどうだったの?」
「......位」
「「えぇ?」」
「51位でした......」
「すごいじゃん!」
「ご愁傷様!」
「「えぇ?」」
すずちゃんと綾ちゃんは相手が発した言葉に思わず驚いていた。
「だって、51位だよ。私が獲れるのなんてできっこないことだよ!!」
「いやいや、綾。さっき綾自身が言っていたじゃん。罰ゲームの内容ーー今回は見事に灯の負けだね」
「でも、私はすごいと思うよ。ここまで良く頑張ったんだから、誇るべきだよ」
「まぁ、そこは誇っても良いかもね。前回は確か80位ぐらいだっけ? それに比べれば順位が急上昇したから喜んで良いけど......。結局、賭けは灯の負けなんだからそこはね、一度言ったことは守らないとね、灯!!」
「うぅ......。い、良いわよ......。やってやるわよ。この私、天織灯(あまおりあかり)を舐めないでよね!!」
「カッコいい、灯ちゃん」
「いや、唯のやせ我慢だから、あれ」
「天織さん。ちょっと良いかしら?」
灯が振り向くとそこには......。
「なんで!!?!?! ここに......」
「私はこの学園の養護教諭なんだから、居るのは当たり前だけど? それで、ちょっと保健室に来てくれるかしら。あぁ!! そうだわ!! 橋間さんも鈴木さんもご一緒にどうかしら? コーヒーを飲みながらゆっくりお話ししませんか」
「はい!! ぜひ」
「すずちゃん即答だね」
「鈴木さんはどうしますか?」
「じゃあ、私も行きます」
「何逃げようとしているかしら、天織さん。残念ながら、貴方は強制よ」
「......はい」
こうして4人は保健室に向かった。
綾は若干2名の顔の表情が緩んでいたのを見過ごさなかった。
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