42話 FREEDOM VS JUSTICE Ⅱ
あの大剣はなんだ。
目の前の怪盗は左腕を顔の前に出し、右腕に持っている大剣を横に向け、身体は少し前屈みの状態でこちらを見ていた。
大剣を横に向けながら走り加速してくる。
相手の力の正体がわからない状態で無闇に攻撃をするのは得策ではない。
だが、今この場でこの怪盗を止めなくてはいけない自分がいた。
右膝を曲げて伸ばした勢いを利用して怪盗はこちらに向かって高くジャンプしている。
大剣を自分よりも後ろに引いていた。
近くに駐車されている車に移動し身を隠すことにした。
当然、怪盗にはバレバレの状態だが、相手が車を攻撃した瞬間、隙ができる。
そこを打つしかないと考え、敵に背中を向けながら走る。
灯は緑川が近くの車に身を隠すのではないのかと考えていた。
灯が
しかし、今の灯には別の攻撃手段が残っている。
この
反射能力と聞こえが良いが、黄色の悪魔であるカサンドラは己が鍛えた奴を自分の手で倒し、己の糧とし自分の攻撃手段を増やす行いをしていた。
この
吸収した力はトリガーを引く回数で発動できる。
あらゆる斬撃、銃弾、特殊能力などの攻撃を吸収可能。しかし、3つ蓄えられている状態で新たに何かしらの攻撃を吸収してしまうと古い力から抜けていく。
古い力を再取得するには敵が同じ攻撃をしてくれないといけない。
なお、これは
先程、七上に使用したのは2番目に吸収した彼自身の攻撃。それを喰らわせた。
今から発動させるのは最初に吸収した攻撃。緑川が灯に対して放った『追弾貫撃』(フルバースト)。
灯自身は彼らの爆発的な1度きりの攻撃の仕組みは分からないが、昨日のこうちゃんが体験した緋山(ひやま)の最大出力の攻撃を理屈は同じでだろうと考えている。
正直、あんな巨大な攻撃を吸収できるか不安だったが、難なく蓄えれることができた。
灯はトリガーを1回引く。
引いたことで
灯はその状態になった
黄色くなっているミサイル弾はそのまま、緑川が身を隠している車目がけて飛んでいった。
ミサイル弾を受けた車は爆発し、近くにいた緑川もその爆発をモロに受けてしまった。
そして、そのまま七上の方に転がりながら変身解除になる。屋上に設置されている塀に背中からぶつかる。
灯はそのまま前足部であるつま先から着地し、着地時にかかる衝撃を分散ができ、足への負担を軽減し、着地の勢いを殺すようにしっかり止まりながら地面に着地した。
「後は......」
灯は少し離れているネコ型のソドールと
少々、ネコ型のソドールが押され気味になっており倒されるのは時間の問題だった。
「これは賭けかな」
何かを決意した灯はネコ型のソドールと
(こいつ面倒くさいな......)
熊手を上手に操作し、執拗異常に攻撃してくる紅の警察官を致命傷を避けるために回避していた。
右端からすごい勢いでこちらに向かってくる者がいた。
怪盗ちゃんだった。今まで戦っていた姿とは異なり山吹色の服に身を包んでいて、大剣を持っている。獲物を狩るが如く大剣を振り回している。
本来、山吹色は、インテリアに取り入れることで、和の落ち着いた雰囲気を演出し、また、温かみのある色なので、心を穏やかにしたり精神的に安定させるために取り入れる。ファッションで取り入れると、落ち着いた上品な大人の雰囲気を与えることができるとされている。
だが、今の灯からはそれが微塵も感じさせない荒々しい戦い方をしていた。
そして、何より、笑いながら獲物を狙っているのだ。
笑いながらこちらに向かって大剣を振り回している者が来るのだ、狂気の沙汰である。
大剣を振り回していると思いければ、投擲し始めた。
投げられた大剣は加速し始め、光の刃のようにこちらに向かってきた。
光の刃になった大剣から無数の数のミサイル弾が出てきて、あらゆる方向からこちらに放射される。幸いにも私と紅の警察官には当たらなかったが、それとは引き換えに私達の周りの地面にミサイル弾が突き刺さり爆ぜた。
コンクリート地面が崩れ流。コンクリートが先に下へ落ち、今まで足場にしていた物がなくなり空中に2人が存在していた。
「じょ、冗談でしょう......ッ!!」
すかさず、怪盗ちゃんは持っているライフル銃で近くにいた紅の警察官に銃弾を浴びせていた。
銃弾を浴びた警察官はそのまま屋上の塀を越えて落ちる。
突き刺さっていた大剣を持って、吹き抜けの状態になった穴から自ら落ちた怪盗ちゃん。
「貴方の成分頂きます!!」
私は空中で上手く身動きができないが持っていた熊手は動かすことができたので、熊手で防御した。
「——ッ!」
灯は横に構えている
ネコ型のソドールは当然の事ながら、絶句し、灯は目を見開いて驚いていた。
一撃で自分の武器が敵の武器を破壊できるとは思わなかった。
なんて威力の武器なんだ。
でも、これがあれば......
灯は
ネコ型のソドールは左手の爪で追撃の動きを見せたが、熊手と同様に粉砕した。
攻撃手段を全て失ったネコ型のソドールはそのまま落下するだけだった。
「これで、終わりよ!!!!」
1階まで落ち、地面と
意外に立体駐車場が頑丈だったのか灯が開けた穴とその周りは亀裂や破損していたが、全体に被害が及ばなかった。なので、屋上にいる緑川と七上は無事だろうと上を見ながら灯は思った。
成分を抜かれたソドールは見る見るうちに姿が変わり、人間態に戻っていく。
灯は倒れている彼女を運び立体駐車場の外に避難させた。
先程、私達がいた場所を隈なく探しても橙色のカプセルは見当たらなかった。
(どうしようか......クロになんて言おうか......)
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