39話 5月28日 Ⅳ
「先輩、逮捕は後です。まずは市民の皆さんを避難させることが大事です」
「俺も賢人(けんと)に賛成だ。ここで逃したくないが、避難誘導を最優先にしてから相手すれば良い......おい、聴いてるのか、燐兎(れんと)!!」
怒りは、人間に備わっている自然な感情表現で、喜怒哀楽の一つ。怒らない人はいないし、失くしてしまうこともできない。身を守るための感情でもあり、怒りがパワーになって”やる気”が起きることだってある。
怒りが出てきた当初は、エネルギーが集まる活気というメリットもあり、悪いことばかりではない。強いエネルギーではありますが、重いエネルギーではなくなる。場合によっては、強い怒りが前進するための力になることもある。
しかし、怒りがいつまでも続いてしまうと、エネルギーにも”古さ”と”重さ”がでてきて”くすんだ赤色”になる場合もある。この状態にまでなってしまうといい作用はほぼ機能しなくなり、自分の考え方に凝り固まったり、批判や否定ばかりになったり、本来のよいところが覆われてしまう。
くすんだ状態になって固まると、内と外とのやりとりをする送受信機としての作用が鈍くなりますし、消耗しますから、怒りの感情は長期化させずに切り替えて、本来の自分らしさをとりもどしていくのが望ましい。
ネコ型が笑っていた。
「怪盗ちゃんも変な奴に取り憑かれたみたいだね」
「正直、全く身に覚えがないんです」
「お前らみたいなのがいるから市民が困っているんだ」
そう言って、私の方に攻撃してきた。
咄嗟に
タックルのように突撃され、パワーに負け、後ろに押し出された。後ろ回りをしながら追いやられていた。
地面に向かって
「今はそれどころじゃないのに」
上下の歯は合わせながら目の前の”敵”を睨んだ。
黄華:僕が行くよ、代わって!!
黄ちゃんがそう言ってクイーンズブラスターASKの【レッド】のスライドキーを外し、
代わりに【イエロー】のスライドキーを取り付けた。
「変身」
肩まである黄色のショートヘアー、烏の羽のような艶のある黒色のワンピース・ドレスに包まれている。ドレスの上に羽織っている深みのある華やかなイエローのコート。
黄色に輝く銃、右腕部分が黒色のガントレットに3本の爪が備わっている
巨大な黄色の鉤爪
「姿が変わったから何だっていうんだ!!」
「お前、邪魔」
受け止めた特殊警棒を一旦、払い除け、すかさず『捕食者の影爪』の手を開いてオープンの状態にし、敵の右手首を力強く持ち、身体を回転させ、自分の背中に乗せ、勢い良く思いきり上に投げた。踏ん張りを効かせるために、脚幅は肩幅以下で指先を内に絞るようにした。
投げられた敵は近くにある車にぶつかる。
黄華は近くまで行き、クイーンズブラスターASKに【スパイダー】を装填し、起動させた。
倒れている敵に向かって『スパイダー』弾を撃ち、蜘蛛糸を利用して身動きが取れないようにさせた。
「キ、貴様......」
「その口も邪魔」
そう言って蜘蛛糸で口を塞いだ。
「君達も僕と戦う?」
「いや、戦わない。最優先事項が変わっている」
「そうです、貴方を相手するよりも市民を助けないといけませんから」
「君達はこいつより良い奴だね」
「怪盗に言われても嬉しくない」
燃えている何台もの車から人を救出していた。
炎が人に当たりそうになれば『スパイダー』弾を撃ち、僕のいる所に引っ張った。
「さっさと逃げな」
「あ、ありがとうございます」
後はあの3人の女性だけだった。
僕は彼らを救うために向かった。
「一刻も早く逃げろ」
「実は......」
運の悪いことに3人中2人が足を捻挫しており身動きが取れずにいた。
「仕方がない。僕が肩を貸すから一緒に逃げるぞ」
肩を貸し、この場から逃げていた。
「怪盗ォォォォォオッォ」
左腕に付けている盾が周りの炎を吸収している紅の警察官がいた。
「おい、燐兎(れんと)良い加減にしろ!!!」
味方が押さえていてもそれを引き剥がしていた。
「これで100%だ」
『アヒェントランサー』に埋め込まれていた『Pパス』を2回押すことで吸収したエネルギーを100%解放させる。
『アヒェントランサー』蓄積率50%、蓄積率100%で使用可能になるシステムで吸収したエネルギーを放出させることができる。
蓄積率50%で半転必義(ディスチャージ)
吸収したエネルギーを強化服に様々な能力を付与できるシステム。
そして、蓄積率100%で真理必義(フルチャージ)が使用可能になる。
これは吸収したエネルギーを真理必義(フルチャージ)で自身の専用武器を強化し全て破壊力に転換できる代物。
特殊警棒は収縮式の警棒で、3本のパイプを組み合わせて構成されている。
3段式の場合、手で持つグリップ部分が一番太いパーツで、手元から先端に向かって2段目、3段目と細くなっている。3段目が一番先端部分。
真理必義(フルチャージ)を使用したことでその先端、三番目のパイプが紅色に輝きオーラが伸びていた。
その状態の武器を持ちこちらに向けてオーラを飛ばした。
「----ッ!!」
車が燃えてできた煙とはまた別の煙が発生した。
俺、緑川は燐兎を右手で殴った。
「お前、なぜこんなことした......」
「正義を執行しただけだ」
俺と賢人は燐兎の攻撃を受けた怪盗達の方に向かう。
煙を掻き分け飛び出している半透明の柱がそこにあった。
柱は段々、形を形成できなくなっており、ボロボロと落ちてきていた。
落ちてきた柱の破片の後ろに怪盗がいる。
「逃げることも出来たがこの子達を見殺しにできなかった」
怪盗の後ろには3人の女性がいた。
「お前らに任せるが良いか?」
「あぁ、後はこっちでやっておく。ウチの隊長がすまなかったな」
「あの狂犬をどうにかしろよ」
「じゃあね、君たち後はこいつらに任せるから。ちゃんと生きろよ!!」
「あ、あ、ありがとうございます」
僕はその場から離脱した。
そして......
あの混乱に乗じて逃げたネコ型ソドールを追うことにした。
39話現在、灯達が使えるソドール能力。
No.14 ライオン 白黄色
No.25 カメラ 黄茶色
No.33 ホッパー 青ピンク色
No.35 スパイダー 赤紫色
No.44 ?? ??色
No.47 シャーク 青水色
No.48 ボーン 茶橙色
No.52 ダイヤモンド 水白色
No.53 ミラー ピンク赤色
No.55 クレーン 煉瓦橙色
No.56 ラッキー 茶黄緑色
ネコ型ソドール
緑、橙のカプセル入りのアタッシュケース
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