18話 立髪が立派なライオンを救うため、悪魔に鉄槌を
激しい小競り合いが行われていた。
己の得物でぶつけ合いながら互いに後ろにジャンプし態勢と整えてから踏み込みからのまたぶつけ合い。
橋が右へ左へ揺れ動いていた。私たちは木の影に隠れ2人の戦闘を見ている。視界が揺れ、丈夫な板があっても足がもつれながらそれでもバランス良く攻撃をしていた。足場ごと揺れているため、思うように敵に当てられない制限があっても一歩も引いていない。
しかし、あんな不安定な場所で戦闘しているといずれ橋を支えているロープがその重さに耐えれることができなくなり下の川に落ちてしまう。
致し方ないが、緋山さんの方に加勢し悪魔を退けるしかない。そのためには......。
「皆さん、助けを呼びましょう!! ここにいてはいずれあいつの攻撃が当たるかもしれません」
「そうだな。ここにいても緋山さんの邪魔になるしね」
私達は五のコースに進み助けと呼ぶことにした。
私は最後尾。3人が走るタイミングでどこかに隠れ、変身する算段。
「行かせるかぁぁ」
悪魔は自分の武器のチェーンソーに何かを刺した。
『ライオン』
ドスの効いた声が鳴り響き、悪魔の持っているチェーンソーのソーチェーン、ガイドバーにかけて黄色の光を纏っており、纏ったオーラのようなモノを私達に向けて放った。
先程、【ライオン】と鳴り響いてので薄々感じていたが、放たれたモノはライオンの顔を模したモノだった。
世界中で”百獣の王”として有名でライオンの外見で一番の特徴とも言えるたてがみがアンテナ風に鋭くなっており、ライオン型のエネルギー弾がこちらに迫ってくる。
あんな巨大なエネルギー弾を食らったら人間じゃなくても怪我だけでは済まない。逃げる一択になるが咆哮とたてがみで威嚇され私以外は腰が抜けてその場に座り込んでしまった。
全員が助かるのは時間的に間に合わないので、せめてみんなだけでもと、敵に背を向ける姿勢でみんなを覆うようにして自分が犠牲になるようにしゃがんだ。
(あれ? なんで、こんなことを......)
自分でもなぜ、このような行動を取ったのかわからなかったがそんな考える時間を与えないかのように迫ってくるライオン型のエネルギー弾。
覚悟して目を力一杯閉じていたが、当たる瞬間は訪れなかった。顔を上げ辺りを見渡すと私達がしゃがんでいた場所の丁度、真上が黄色の光のかすかな残留物が漂っており、エネルギー弾は一直線に木々を抉るように遠ざかっていった。
休止に一生を終えたが、あまりの強大な攻撃だったのか地面にも影響を及ぼし、揺れ動いていた。左右によろめきながらとにかくここから逃げようと死に物狂いで走っていると、私と鈴木さんの間の地面に亀裂が走り、私の方の地面が崩れた。
「えっ?」
私を見て慌てて手を伸ばしてくれた鈴木さんの右手を掴むよう左手を伸ばした。
「ーーーー!? ーーーーっ!」
掴むことができなかった。両者の指先が当たるも「滑った」のだと気づいた。
届かない。滞空中の私はどう足掻いても腕の長さにも限界がある。徐々に鈴木さんの手が遠ざかっている。どれだけ手を伸ばしてもつかむことができない。
(嘘でしょう......? こんなところで死ぬの??)
崖下は川になっておりそのまま川に落ちても流され水の中でもがきながらやがて動かなくなる。
川に落ちなくても川岸にある岩や石ころに身体が強打し当たりどころが悪ければ、最悪死ぬ。
どちらにしてもよほどの幸運がなければこの窮地を脱することはできない。
(まだ、私には成し遂げなければならないことがいっぱいあるのに......)
灯はこれから訪れる自分の行く末がはっきり理解できた。
「えぇ......?」
自分の後に落ちてきた影があった。太陽の光でよく見えなかったが私に追いつき抱きしめてながら空中で回転しその影の人物が仰向けになりながら川に落ちた。
「ちっ! 逃げられたか」
「やっぱり未完成で100%の力は制御が難しいな......」
チェーンソーから抜いたそれは無色透明で、銃のマガジンに似たような見た目の細長いモノだった。
黄華:「きろ......。起きろ......。起きてってば、灯!!!」
頭の中がズキンズキンと痛みながら俯けの身体を起こした。
(何が起こったんだっけ......)
自分の行動を思い返してみる。
(確か、崖から落ちたところまでは覚えている......。そこから......。あっ!?)
辺りを見渡すと私と同じように川岸に打ち上げられていた緋山さんがいた。
戦闘服が解除されていて生身のままになっていた。
私の代わりに数十メートルから受け身なども取れず水圧をもろに受けたためそのまま気を失っていた。
おかげで、私は多少の擦り傷や服が汚れていただけで大事には至らなかった。
急いで、緋山さんを引っ張り日陰に寝かせた。水に中に長時間いたためか身体中が冷え切っていた。
火を起こすことにした。まさか、昨日やったことがすぐ役に立つとは思わなかった。
火を起こすことで煙が立ち、狼煙になり近くにいる誰かに気づいてもらえる可能性はある。
ただ問題なのは狼煙を見てあの悪魔、カサンドラが来てしまう可能性もある。
一か八かの賭けだがこのままでは私と緋山さんが死んでしまう。
周りにあるもので火を起こすことに成功した。
身体が温まるのが服越しでもわかるのを感じた。
燃え立っている火を見つめながら今度のことを考えていた。
青奈:取り敢えず、無事で良かった。一時はどうなるのかと思ったよ!!
黄華:全く危なかったしいな、灯は......。
灯:ごめん、2人ともーーこれから、どうしようか?
青奈:今いるのがどの地点かわからない以上、闇雲に歩くのは得策ではないかしら。黙って、助けが来るのを待つしかないわね
黄華:しっかし、緋山だっけ。後で礼を言うしかないな......。
青奈:後、問題がいくつかあるわ。あの黄色の悪魔のこととやつが持っていたモノよ。
黄華:やつが【ライオン】を持っていたとは思わなかった。研究所で璃子さんが全部、破棄したって言ってのに復元でもしたか、不安定だったみたいだけど
青奈:いくら悪魔であってもセーフティ機能がされていない100%の能力は使いこなせていなかったみたいだね。いい機会だし、あれも回収しちゃいましょう!!
黄華:良いね、それ!! 乗った!!!
「見つけたぜぇぇ」
その言葉に反応しすぐさま、灯は後ろを向いた。
そこにいたのはーーーーーー黄色の悪魔、カサンドラがいた。
改めて見ても、蛮族な見た目。今にも私を噛みつきそうな狂暴な獣のようだった。
「よくも俺様の邪魔したなぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!」
先程のように明らかな激怒を感じさせる咆哮を轟かせていた。
18話現在、灯達が使えるソドール能力。
No.25 カメラ 黄茶色
No.33 ホッパー 青ピンク色
No.35 スパイダー 赤紫色
No.47 シャーク 青水色
No.48 ボーン 茶黄緑色
No.52 ダイヤモンド 水白色
No.53 ミラー ピンク赤色
No.56 ラッキー 茶青色
No.59 アイヴィー 緑黄緑色
new
No.37 ??? ???色
カサンドラ所持。
No.14 ライオン ???色
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます