第22話 胸のときめきは嘘つかない!
トントン!
「はい」
その夜、ジェースが部屋にきた。
「ごめん、まいちゃんちょっといい?」
「はいどうぞ」
「さっきはごめんね、しつこくして」
「いえ、いつもの冗談なんだから気にしてません」
「……、交代で寝るのは冗談だけどおれがまいちゃんと一緒に寝たいのはほんとだから」
「え?」
ジェースはまじめな顔でいっていた。
「おれ、ほんとにまいちゃんが好きなんだよね」
「え?」
「こんな気持ち初めてなんだ」
ジェースの告白にときめいていた。
「おれ、いままでいろんな女の子と遊んできたけど本気なんだ」
はいはい、たくさんの女の子と遊んできたんでしょうね。
見てればわかります。
「まいちゃん、おれと付き合ってほしい」
わたしは戸惑っていた。
ジェースの告白にときめいているけど、これは恋なの?
自分の気持ちもわからないのに付き合っていいのだろうか。
「ジェースさん、少し考えさせてください」
「ああ、わかった」
ジェースは部屋をでていった。
きゃー!!
きゃー!!
このわたしが男の人に好きだと告白されたー
夢じゃないよね。
少し考えさせてといったけどほんとはすごくうれしかった。
その場でOKしそうだったよ。
どうしよう。
嬉しすぎる~
しばらくして、わたしは落ち着いた。
でも、どうしよう。
ジェースはひといちばい優しい人。
オーガ族、王のご子息さま。
悪いことはひとつもない。
ことわる理由もない。
でも、なぜか心がざわざわする。
この夜一睡もできなかった。
――――
トントン!
「まい、おはっよう」
「おはよう、レオ」
「まいが起きてるなんてどうしたんだ?」
「別に」
レオがわたしの顔をみた。
「まい、どうしたんだその目の下のクマは」
「え? クマ?」
あ~やばい、寝不足だよ~
「後で冷やしてあげるよ」
「ありがと、レオ」
朝食のため1階に降りていった。
「おはよう、まい」
「おはようございます」
「どうした、まいその顔は」
「なんでもないです」
ルーカスやディアムにもクマを言われた。
「まいさん、どうぞ」
「うん」
リエルもわたしの顔をみるなり驚いていた。
「その顔は」
サミルは意外と鋭かった。
「まいさん、寝不足?」
う、鋭い。
「ん、まあ」
「何か悩みでもあるの?」
みんな心配してくれていた。
2階から、ジェースが降りてきた。
「おはよう、なにかあったのか?」
「んん? まいが寝不足のようなんだ」
「え? ああ、ごめんおれのせいかな?」
「どういうことにゃん?」
おいおい、、ジェース余計なことは言わなくていいよ。
「おれ、昨日まいちゃんに好きだと告白をした」
「ええええ?」
みんな一斉にわたしのほうをみた。
「付き合いたいといった」
「それで、まいは?」
「まだ返事はもらってない」
「ふぅ……よかったにゃん」
「なにがよかったんだ? レオ」
「だって、ジェースさん抜け駆けはずるいですよ」
「はぁ?」
「おれもまいが好きだ」
ええええ?
レオまで何をいっているの?
でも、嬉しいかも。
ふたりに告白されるなんて。
でも、これ以上ややこしくしないで~
「ジェースさん、勝負しましょう」
「いいよ、望むところだ」
えええええ?
勝負って、なにするの?
「ふたりの邪魔をしてすまないが、その勝負わたしも参加していいか?」
はぁ!?
ルーカスまで何をいっているの?
「わたしも、まいが好きだ。だれにも渡したくない。それがジェースならなおさらだ」
ドキッ!
わたしの胸がときめいた。
今のはなに?
ジェースとレオのときとは違うときめき。
これが恋?
わたし……ルーカスが好き?
「さんにんとも落ち着け」
ディアムが仲裁にはいった。
ありがとう、ディアム。
「まいの気持ちが大事だろ。さんにんが勝負してどうするんだよ」
「そうだな」
「そうだにゃん」
「すまなかった、まい」
「いえ……」
ディアム、ありがとう。
「ごめんなさい、少し時間をください。わたし真剣に考えますから」
「「「わかった」」」
わたしは真剣に考えることにした。
「よし、仕事だ!」
「はい」
わたしたちはいつものように働いた。
でも、わたしは気になってしまってつい姿を追ってしまう。
ルーカスが動けば、ルーカスをずっと見ちゃう。
ルーカスが気づいて目が合うと、そらしてしまう。
ジェースが可愛いお客さんと話をしているとなんの話をしているのか気になってしまって近くによっていく。
それに気づき、ジェースがわたしにウインクをしてくる。
もう気絶寸前よ。
カフェのフロアーでレオが綺麗なお客さんと仲良くしていると気になってずっとみちゃう。
レオはイケメンで可愛いけど、いままで意識したことなかったのに変に意識しちゃう。
レオが気づく。
レオがわたしに手をふってきた。
んんん~可愛い~
なんなんだ、あの笑顔は。
そんな日が何日も続いた。
――――
ある日の夜。
「お前は、何をしているのだ」
ん?
この声は!
女神さま!
どこ?
どこ?
「ここだ」
「女神さま~会いたかったです」
「わたしを何度も呼ぶな!」
「え? わたしがよんでるの?」
「そうだ」
「どうやって?」
「しらん。お前がわからないなら無意識だな」
「そうなんだ~でもちょうどよかった」
「なんだ、今度は」
「あの~わたし男の人3人から告白されました」
「よかったではないか」
「それが、自分の気持ちがわからないのです」
「好きな奴に決めればいいだけだ」
「みんな好きなんです」
「案外男好きなんだな」
「えええ? そういうことなの?」
「その中でも一番はあるだろう」
「いちば……ん」
わたしは、ルーカスが頭に浮かんだ。
「いま、お前の頭にうかんだやつが一番だ」
「そうな……の?」
「そいつのことが好きなんだろ」
「は、はい。でもいまの関係を壊したくないんです」
「壊れるかどうかはわからんよ」
「え?」
「お前がかってに決めることではない」
「ま、まぁ確かに」
「お前の心に素直に行動してみろ」
「わ、わかりました」
「わたしから言えることは、せっかく異世界にきたんだから幸せになれよ!」
「はい!」
わたしは女神さまのことばが胸に刺さった。
そして、このときはじめて恋というものを知った。
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