第21話 それって冗談?
新しい配置で、さっそく開店です。
「いらっしゃいませ」
ルーカスの服をつくる姿でお客が騒ぎだした。
カタッカタッ……。
きゃー!
かっこいい!
ルーカスさまじゃない?
綺麗な手にドキッとしちゃう~
わたしもルーカスをみた。
ドキッ!
やばい!
あの布を裁断する手が素敵。
ハサミをもつ指が綺麗。
ふとジェースに目を向けた。
ジェースも完璧!
「いつもありがとうございます」
「あ、覚えていてくれてるんですね」
「もちろんです」
「今日はこれとこれで迷っているんですぅ」
「どちらもお似合いですよ。でもこちらの感じも似合いますよ」
はい!
これは、3着お買い上げだね。
「え~じゃあ、これも買っちゃう~」
「ありがとうございます。次に来るときに着てきてくださいね」
ああ~やっぱり買っちゃった。
しかも、これはまたすぐに来るよ。
ありがたいことだけどね。
あっ!
仕事、仕事!
「いらっしゃいませ」
「カフェです」
わたしはカフェに案内した。
「きゃー、厨房にいた人だわ」
「きゃー! かっこいい」
予想どおりだ。
ディアムをフロアーに出して正解だった。
ディアムがんばってるな~
あんな表情するんだな~
「どうぞ、こちらに」
「あ、はい」
いすを引いてあげて座らせていた。
かなりサービスがいい感じになっている。
お客がスプーンを落とした。
ディアムはすぐにかけよった。
「服はよごれなかったですか?」
「はい、大丈夫です」
「すぐに拭くものとスプーンをお持ちしますね」
ディアムがこんなに気が利くとは思わなかった。
でもこの間も、わたしの服が切れてしまったときすぐに自分の上着を貸してくれたっけな。
意外と優しかったりする。
厨房に目を向けた。
リエルは上手にサミルをつかっていた。
お客さまの席から厨房がみえる。
「ねえ、ぼうひとりかっこいい人がいるよ」
「ほんとだー 似てない?」
「似てるかも」
「ふたりとも綺麗な顔して素敵だな~」
「うん、素敵~見とれちゃう」
他のお客も騒いでいる。
配置換え、大成功だね。
今日も無事に終わった。
――――
「ああ~今日も疲れたな~」
「ディアムさん、よかったですよ」
「そうか?」
「はい、お客さま喜んでいましたよ」
「そうか、まいは忙しくなかったか?」
「え? あ、大丈夫です」
「なら、よかった」
ディアムがわたしを気遣ってくれて、ちょっと、ドキッとした。
「まいさん!」
「サミル、お疲れさま」
「ぼくもがんばりました」
「うん、よくがんばったね」
「もっと、ほめてくださ~い」
おっと、リエルとは真逆な性格のようだな。
甘えんぼさんだな。
まだ、おこちゃまだからかな可愛い~
「ぼく、今日は兄の部屋に泊まっていくんです」
「そうなの?」
「ぼく、まいさんの部屋でまいさんと一緒に寝たいですぅ」
それをきいていたリエルが怒った。
「おい! サミル何をいってるんだ」
「なんで、そんなに怒るの~ ほんとのことだもん」
リエルはあきれた顔をしていた。
「え~おれもまいちゃんと一緒に寝たいよ」
「そうですよねジェースさん」
ジェースがサミルの話にのってきた。
「じゃあ、ぼくも」
レオものってきた。
もう、わたしモテモテじゃん。
【妄想中】
♪~わたしがベッドによこになっている。
サミルがわたしの右側に寝ている。
ジェースがわたしの左側に寝ている。
ジェースがわたしの顔を自分の方に向ける。
「まい、おれだけ見ていればいいんだよ」……♪
きゃー!
なんかいいかも。
ふふっ。
「まいちゃんはだれと一緒に寝たい?」
ジェースの冗談かと思っていた。
「またまた~冗談を」
「冗談じゃないっていったら?」
「え?」
「なんの話をしているんだ?」
ディアムが話に入ってきた。
ナイスだよ。
ディアムなんとかこの場をおさめて。
「ん? ディアムお前もまいちゃんと一緒に寝たいか?」
「はぁ? なんでた」
「今みんなで、まいちゃんはだれと一緒に寝たいかって話をしてたんだ」
ルーカスも1階におりてきた。
「くだらない話をするな!」
おぅ!
さすがルーカス!
「じゃあ、ルーカス抜きでだれと一緒に寝たいかだな」
「お、おい! なんで、おれ抜きなんだ」
「だっていまおまえ、くだらないっていったじゃないか」
「それとこれとは違うだろ」
「はいはい、おまえもまいちゃんと一緒に寝たいんだな」
「あぁ」
なんでそうなるの~
みんなどうしちゃったの~
ガンガン攻めてくるじゃん。
でも、わたしはだれと一緒に寝たいんだろう。
だれが好きなんだろう。
みんな好き。
でもそれぞれに抱く気持ちは少しづつ違う気がする。
「まいちゃん、今日からひとりづつ交代で一緒に寝るってのはどう?」
「え?」
「それはいいにゃん」
ひとりづつ交代で寝るの?
でも、自分の気持ちを知るチャンスかも?
いやいや、これは違うだろ。
「おい、冗談はこれぐらいにしろ」
ルーカスがいった。
「そうだにゃん」
「ごめん、ごめん」
みんな笑っていた。
なんだ、冗談かぁ~
本気かと思った。
焦った~
でもなんかドキドキした。
「もう寝るぞ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
それぞれ部屋に戻った。
ああ~今日も疲れたな。
でもさっきの……。
わたしはだれと一緒に寝たいんだろう。
一緒に寝るなんて考えただけでドキドキしちゃうよ~
この恋愛経験ゼロのわたしに、だれと寝たいかなんて難題すぎる。
無理だー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます