第20話 これって恋!?

あのおばあさんとミサさんの一件から、わたしは胸のときめきがおさまらなかった。


なんだろう、この感情は。


恋!?


いや~違うよな~

だって、普通の行動にドキドキしてるんだもん。

しかも、だれのではなくみんなの……。

全員に恋してるなんてことはないよね、はははっ。


朝、レオがいつものようにわたしの部屋にきて起こしにきてくれた。


トントンッ!


「まい、朝だよ~起きて~」


レオはわたしの顔をじっと見る。

わたしは眠くてなかなか目を覚まさなかった。


「ん~もう少し~」


ちゅっ!


ん?

今のなに?


今おでこにキスされたような……。


「起きて、まい朝食できてるよ」


目の前にレオの顔がある。

そして近づく。


ドキッ!


いままで感じたことなかった感情。


「おはよう、起きたかにゃん」

「うん、おはようレオ」


わたしは起き上がって1階にいった。

みんな食卓に集まっている。


「おはよう、まい」


ルーカスはいつも輝いてみえる。


「おはよう、まいちゃん」


ジェースがわたしのいすをひいて座らせてくれた。


「ありがとう、ジェースさん」

「いえいえ」


そして、リエルが食事を運んでくれた。

そしてわたしの隣に座った。


「どうぞ、まいさん」

「いつもありがとう」


今日もおいしそうだ。

リエルは色どりも考えて、いつも食卓が華やかだ。


いつもの朝食の時間が始まった。

ここで仕事の話をする。


わたしも、提案をした。


「あの、みなさんに提案があります」

「なんだいってみてくれ」

「この間、持ち場をいろいろ変えてみて思ったことがあるんです」


みんな真剣に聞いてくれている。


「ルーカスさんを服を作る専属にしたらどうかと」

「それはどういうことにゃん?」

「お店に作業場を用意して、そこで作ってもらう」

「なるほど」

「お客さまもルーカスさんの作っている姿をみることができたら嬉しいかと」

「いいかもにゃん」


レオは賛成しているようだ。


「まいちゃん、それで?」

「それでジェースさんをブティックの売り場に」

「なるほど、おれが売れば売り上げが増えるもんな」

「はいそうなんです。だから、ルーカスさんが忙しくなるので専属にと」

「いいんじゃない」


ジェースも賛成してくれているようだ。


「でも、カフェの方はどうする?」


ディアムが心配していた。


「そうなんです。レオひとりでは無理なのでディアムさんに入ってもらって」

「やっぱり、おれか~」

「嫌ですか?」

「いやではないが……」


ディアムは考えていた。


「厨房はどうする?」


ルーカスが聞いてきた。


「はい、そこなんです。もうひとりお手伝いしてくれる人をさがしたいと思うんですが」

「なるほど……」


ルーカスも考えていた。


「……」

「……」


「あの~」


リエルが声をあげた。


「なんだリエル」

「あの、みなさんがよければぼくの弟をお手伝いに呼びたいんですが」

「リエルの弟?」

「はい、ぼくの弟も料理人を目指していて手伝いたいと言われていたんですが……」

「そうなのか? もっと早く言えばよかったのに」

「でも、うまくお店が回っていたので。でもまいさんの話をきいて、それなら弟が手伝えるのではないかと思ったんです」

「そうか」


「……」


「よし、わたしは賛成だ。みんなはどうだ?」


ルーカスがみんなに問いかけた。


「おれは賛成だよ」

「賛成だにゃん」

「おれもフロアーやってみるよ」


「では、みなさんいいんですか?」


みんなが私を見た。


「じゃあ、みんな賛成だな。リエル急いで弟を連れてこれるか?」

「はい、いってきます。仕込みは終わっているのでお店が始まるまでには連れてきます」


リエルは走ってでていった。

ルーカスはジェースとディアムに話をした。


「ジェースとディアムは、わたしの部屋にある道具をお店に運ぶのを手伝ってくれるか?」

「ああ、わかった」


「じゃあ、わたしとレオはお店の準備をしよう」

「わかったにゃん」


わたしたちは急いで準備にとりかかった。


ディアムが2階から重そうなミシンをひとりで運んでいた。

その腕の筋肉をみた。

すごい、筋肉。


ドキッ!


え?

いまのなに?

わたし筋肉好きだったの?

うそ~


「まい、お店の方は大丈夫か?」


ディアムが話してきた。


「あ、はい大丈夫です」

「ならよかった」


そう言い放ったディアムの優しい顔が、いつまでもわたしの頭から離れなかった。


わたしったら、どうしちゃったの?

もう、こんな忙しいときに~


ブティックに道具を運び配置された。

ジェースがわたしを呼びにきた。


「まいちゃん、こんな感じでいいかな」


お店にミシンを置き、ルーカスがいすに座っている。


「いい、いいです」


これなら、お客さん絶対に喜ぶよ~


――――


「ただいま」


リエルが弟を連れてかえってきた。

う~わ!

そっくりだ!

イケメン!


「サミルです。よろしくお願いします」

「ルーカスだ」

「ジェースです」

「ディアムだ」

「レオだにゃん」

「まいです。よろしくね、サミル」


「わぁ! まいさん、本当にお綺麗ですね」

「え?」

「兄さんからいろいろと話は聞いています」


どんな話を?


「おい、サミル余分なことをいうなよ」

「なんで? 兄さんが好きになるのもわかります」

「わっ! な、なにを!」


え?

好き?

リエルがわたしのことを?

気づかなかった。

わたしって鈍感なんだから~

もう~


「まい、サミルのスキルは追加できるのか?」


ディアムがスキルの話をしてきた。

すっかり、忘れてた。

たぶん、料理だろうけど。

まだ練習させたほうがいいような。


「しばらくリエルに教えてもらって、様子をみて追加した方がいいと思うんです」

「まいさん、そうしてください。まだ、修行がたりません」

「そうだよね」


「そっか、そうだな」


ディアムも納得していた。


でも、未熟でも特技スキルって追加できるのかな~

今度、女神さまにきいてみよっと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る