第17話 ドキドキがとまらない!

家にかえるとルーカスとジェースになにがあったか話をした。

すると、ふたりの顔色がかわり怒りだした。


「まいをこんな目に合わせたのはだれだー」

「おれのまいちゃんによくもー」


ふたりの気はすさまじかった。


「わたしは大丈夫ですから、落ち着いてください」


わたしはふたりに抱きしめられた。


「よくがんばったな」

「うん」


ふたりに抱きしめられて、なぜか安心した。


「リエルも無事でよかった」

「はい」

「レオもよくがんばったな」

「うん、でもふたりを守りきれなくてごめん」


レオは申し訳なさそうだ。


「そんなことないよ、レオは守ってくれた」

「まい……」


「傷薬をぬらないとな」

「まいちゃんにはおれが塗ってあげるよ」

「なんで、お前がぬるんだよー」

「わたしが塗ろう」


なんか、最近ルーカスがジェースにつられてすごいこと言ってる気がするけど……。

血は争えないってことかな、ふふっ。


【妄想中】

♪~「まいちゃん、薬塗ってあげるから服ぬがしてあげるね」

「え、いや、あ……」

ジェースに服をぬがされる。

それをみていたルーカスも塗る。

「わたしが塗ってあげるよ」

「あ、いや」

ルーカスとジェースのふたりから体中に薬を塗られる。

恥ずかしいような、くすぐったいような、いやらしいような……♪


この妄想がいけないのか?

でもこれが妄想ではなく現実だったらすごいことだよな~

照れる~


「まい、おれが塗ってやってもいいぞ」


ええ?

みんな振り返った。

いま言ったのは、ディアムだった。

えええええええ?


ディアムまで、どうしたんだろう。


「どうしたにゃん? めずらしい、ディアムがそんなこと言うなんて」

「な、なんでだよ。冗談だよ」


なんだ、冗談かぁ~

びっくりした~


一瞬おかしな空気になったが、いつものみんなにもどった。


「まい、服をまた作ってあげるからな」

「うれしいです、ルーカスさん」


好きな時に服を作ってもらえるっていいよね~


部屋にもどり、自分で薬をぬっていた。

背中の傷に手がとどかなくてこまっていた。


トントンッ!


「まい、ちょっといいか?」

「あ、はいちょっと待ってください」


ルーカスが部屋にきた。

わたしは急いで服をきた。


「はい、どうぞ」

「ごめんな、新しい服の色は何系がいいか聞きたくて」

「あ、なににしようかな~」


「まい、薬はちゃんと塗ったか?」

「はい、でも背中に手がとどかなくて塗れない場所があって」

「わたしが塗ってあげよう」

「え? いや、大丈夫ですなんとかしますから」

「いいから、恥ずかしがらずに服を脱いで背中を見せてごらん」


え?

ほんとに?

脱ぐの?

これって、そういうこと?

妄想ばかりではなく、とりあえず言われた通りにやってみようか。

よし!

わたしは、後ろを向いて服を脱いだ。

体の前を服でかくし、ベッドに座った。


「お願い……します」

「ああ」


ルーカスは優しく薬を塗ってくれた。

そして、急に抱きしめてきた。


「今日は守ってあげられなくてごめんな」

「そんな」

「まいに傷を負わせてしまってすまなかった」


ルーカスはしばらくわたしを抱きしめていた。

わたしの心臓は今にも飛び出そうなくらい、ドックンドックン大きな音がなっていた。

ルーカスに聞こえたら恥ずかしい。

わたしは今にも倒れそうなくらいクラクラしていた。


「ごめん、まい風邪をひくとこまる。着替えてくれ」

「あ、はい」


わたしは急いで服をきた。


ルーカスは照れながらも話をしてきた。


「服の色はどうする?」

「あ……」


わたしが照れて言葉にならなかった。

でも、何か言わないと……思いついた色をいってみた。


「お、オレンジ系で」

「そうか、わたしもオレンジがいいと思っていたんだよ」

「そうですか」

「わかった、楽しみにしていてくれ」

「はい」


ルーカスは部屋をでていった。


ふぅ!

もう、ドキドキがとまらないよ!

今のは何だったの?

わたし下着つけてたけど、ほぼ裸じゃん!


わたしは部屋の中をうろうろしていた。


――――


「まい食事の時間だよ」


レオが部屋に入ってきた。


「あ、うん」

「どうしたの?」

「なんでもないよ」


レオは感が鋭いんだよね~

1階に降りていった。


みんな待っていた。


「さっき、ジェースさんとディアムさんと一緒に買い出しにいってきました」


レオがいった。

どうやら3人でいったようだ。


食卓にはおいしそうなものがたくさん並んでいました。

リエルは元気になったようだ。

よかったー


「おいしそう~」

「そうだな、じゃあ食べよう」


ルーカスがいった。

わたしはルーカスの顔を見るのが恥ずかしくなってそむけてしまった。

レオは怪しんでいる。


やばいな~

レオがちらちら見てくるよ~


「まい、ルーカスさんとなにかあった?」


わたしは口の中にはいっていた食べ物をふいてしまった。


ごぼっ!


「わぁ! 大丈夫? まい」

「ご、ごめん」


レオはわたしの服やテーブルをふいていた。


「なにしてるんだよ~まい~」


すると、ルーカスが立ち上がった。

なに?

ルーカス!

何をいうの?


「まい、おれはまいが好きだ!」


ええええええ!?

突然何を言うの?


「ルーカス、突然何をいってるんだ?」


ジェースがいった。


「そんなのおれだってまいちゃんが好きだよ」

「違う、わたしは本気で好きなんだ」


ええええええ!?

ほんとですか?

うれしい~

突然の告白に胸がキュン!となった。


「ルーカス! おれも本気だぜ!」


ええええええ!?

兄弟でわたしのことを好きに!?

こんなラブコメみたいなこと起きちゃっていいの~


「まあまあ、ふたりとも落ち着いて」


レオがその場をおさめようとしていた。


「ぼくもまいが好きだにゃん。みんな好きだにゃん。ねえ、ディアム」

「ああ、そうだな」

「そうです。わたしもまいさんが好きです」


リエルも好きだといってくれた。


「みんな、ありがとう。こんなわたしを好きになってくれて……」


わたしはみんなと仲良くなれた気がしてうれしかった。

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