第16話 エルフ狩り

ルーカスとジェースのお父さんがお店にきた次の日。

お店が閉店してみんなでくつろいでいた時、手紙をあずかった。


「ルーカスさんとジェースさん宛てです」

「ああ」


ルーカスが受け取った。

中をあけて読んでいる。


「ルーカス、だれからだ」

「ああ」


ルーカスはジェースに手紙を渡した。

そして、わたしのところに近づいてきた。

そっと、わたしを抱きしめた。


えっ?

なに?


「どうしたんですか? ルーカスさん!?」


ルーカスがわたしを抱きしめている光景をみんながみていた。

そして、驚いている。


ジェースも手紙を読み終え、近寄ってきた。

ルーカスはわたしから離れ、かわりにジェースが優しく抱きしめた。


ええっ?

なに?

なんで、ふたりにこんなに優しくだきしめられてるの?


「ありがとう、まいちゃん」

「なにがですか?」


「ジェース、もう離れろ」

「ええ~いいじゃん」


いつものふたりに戻っていた。

ふたりはとてもうれしそうだ。


あとでレオからきいた話だ。


「おれ、テーブルにおいてある手紙みちゃったんだにゃん」

「え? そうなの?」

「ふたりのお父さんからだった。店に来たんだって」

「ああ……」

「知ってたのか?」

「う……、まあ」

「まいに感謝してるって書いてあったぞ」

「そうなんだ~」

「まいがなにかしたのか?」

「べつに~」

「お店、頑張れってかいてあった」

「そっか、よかった」

「よくわからないけど、応援してるって」

「そうか」


ようやく親子関係がうまくいったのかもね。

よかった。


わたしが役に立てたのならよかった。


――――


それから、ルーカスとジェースの両親は暇さえあればカフェにきて食事をしていった。


「また、きてるにゃん」

「もう、来すぎだろ」


「こどもが可愛くてしょうがないって感じだね」


ルーカスとジェースは照れながらも嬉しそうだ。


――――


そんなある日。


カフェにきていた女性のお客さまの会話だ。


「最近、怖いわね~」

「なにが?」

「ほら、エルフが切りつけられてるって」

「ああ、わたしも聞いたわよ。エルフ狩りっていったっけ」


レオがそのお客さまに詳しく話を聞いた。


「あの~それってほんとうですか?」

「ん~なにが?」

「エルフ狩り!」

「あら、レオちゃんは大丈夫よ」

「エルフだけ切りつけられているってことですか?」

「そうみたいよ。なんでもエルフの耳を切り落として闇市で高く売ってるとか」

「……」


レオはその話を夕食の時にみんなに話をした。


「そんな酷い!」

「そいつらを見つけて切り刻んでやろうか!」


ディアムが言うと本当にやりそうで怖い。


リエルはおびえていた。


「リエル、大丈夫だひとりで行動はするなよ」

「うん」


お店の休みの日、隣街まで買い出しに行くことになった。

ルーカスとジェースが用事があっていけない。

ディアムは用事で先に隣街にいっていた。

リエルとレオとわたしの3人で行くことになった。


「本当に3人で大丈夫か?」

「大丈夫だにゃん」


リエルは少し不安そうだ。

わたしもエルフ狩りが気になっていた。

でも、いざとなればわたしも短剣で戦うよ。

腰にシルバーダガーをセットして気合をいれて家をでた。


「いってきます」

「ああ、気をつけろよ」

「はい」


わたしたちは隣街へと向かった。


「今日は何を買うんだ?」

「何の野菜が安いかな~」


レオはわたしたちの緊張をほぐすかのように会話をつづけた。


突然、3人組の男たちが現れた。

頭にターバンを巻いていて盗賊のようだ。


え?

なに?


「おおぅ! エルフ見っけ!」


やばいっ!

これって、エルフ狩り?


わたしは急いで短剣をとり手にもってかまえた。

レオも戦う気だ。

リエルは少しおびえている。


盗賊たちが襲いかかってきた。

わたしは短剣を振り回し男の腕にあたって切りつけた。

やったー


「よくも、やってくれたなー」


その男はわたしに切りつけられたのが、頭にきたようだ。

でも、こっちは大事なリエルの命がかかってるんだよー

ひるんではいられないよ!


ひとりの男がリエルをつかまえていた。


「早く切り落としちゃおうぜ!」

「やめろ!」


リエルがやばいよー

わたしはリエルを捕まえている男に切りかかった。


「おっと、危ない」


よけられてしまった。


「リエル大丈夫?」

「うん」


ひとりの男がわたしに向かってナイフで襲ってきた。

やばい、よけられない。


「ファイヤーボール!!」


リエルが魔法を放った。

男は飛んだ。


「すごい、リエル」

「大丈夫? まいさん」

「うん、大丈夫だよ」

「まいさんを傷つけるやつはゆるさない!」


リエルの顔が頼もしくみえた。

レオも傷つきながらも頑張って戦っている。

でも、なかなかあきらめない3人組だった。

もう、わたしたち3人の体力は限界だった。


「リエル!まいを連れて逃げろ!」

「レオ! なにいってるの?」

「だめだよ、レオ」

「そんなこといっている場合じゃない。まいを傷つけるわけにはいかないだろリエル」

「……そうだな」

「だ、だめだよ。みんなで戦おうよ」

「行け! リエル!」


レオはおとりになってふたりを逃がすつもりだ。


「なにをごちゃごちゃ言ってるんだ?」

「レオは3人の男の前に立ちはだかった」


だが、1人がリエルを逃がさなかった。

わたしたちは囲まれてしまった。


だれか、助けて!

お願い!

リエルを助けて!


わたしは祈った。

わたしたちは捕まってしまった。

もうだめかと思った瞬間!

目をつぶりかけたとき。

目の前にだれかが現れた。

光の加減でだれかわからないが、斧を振るシルエットだけが見えていた。


ザクッ!

ザクッ!

ザザッ!

と音がした。


3人組の男たちをやっつけた。


「大丈夫か?」


そういうとその男は自分が着ていた上着をわたしにかけてくれた。

よく見るとわたしの服は結構切られていて下着が見えていたのだ。

なんて紳士なのだろう。

でも、どこかで聞いたことある声のようだけど……。


「ディアム! ありがとう」


レオがいった。

え?

ディアム?


よくみるとディアムだった。

わたしはディアムだとわかった瞬間、涙が出てきてしばらくとまらなかった。

ディアムは泣いているわたしを優しく抱きしめてくれた。

わたしはディアムの腕の中で泣いた。

しばらくして落ち着いた。


「ディアム、ありがとう」

「ああ、みんな無事でよかった」

「とりあえず、今日は帰ろう」

「買い出しは出直そう」

「はい」


3人組の盗賊たちはロープで木に縛りつけておいたので、つかまった。

エルフたちは安心して生活ができるようになった。

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