第14話 定休日は何しますか?

飲みまくって、朝方知らないうちに部屋に戻って寝ていた。


「おい!」


だれかの声が聞こえた。


ん?

だれ?

まだ、眠いんだけど……。


「おい! わたしだ!」


どこかで聞いたことのある声だ。


はっ!

目が覚めた。


「女神さま~」

「うわっ! 酒くさっ! 近よるな!」

「あ、すみません」


「どうしたんですか?」

「どうしたではない」

「えっ?」

「お店は順調か?」

「はい」

「そうだろうな。でも、それだけのスキルがあればもっとうまくやれるはずだ」

「え~そうなの~」

「まあ、それはいいとしてお前は自分のスキルを使わんのか?」

「わたしのスキル?」

「ああ、フェロモンスキルだ」

「ああ~あったね」

「のんきだな」

「マックスではないがレベル90もあるんだぞ」

「はぁ」

「妄想だけで終わらす気か?」


ああ~妄想してるのばれてるのか~


「あたりまえだ、わたしはなんでも知っている」


あ、ばれてる。


「恥ずかしい」

「なにが恥ずかしいのだ」

「なんとなく」

「妄想ではなく実際にそういう状況にもっていくことができるのだぞ」

「そうなの?」

「これからは、そういう目で男たちを見てみるがいい」

「まあ」

「お前が望んだ異世界生活ができるはずだ」

「そっか」

「じゃあ、わたしは行く」


女神さまは消えた。


わたしのフェロモンスキルか~

ちょっとそういう目でみてみるか~

妄想はできるんだけどね。


――――


女神さまに起こされて、早起きしちゃったな。

まだ、だれも起きてないだろうな。

のどがかわいので、水をのみに1階にいった。

すると、ルーカスとジェースがいた。


「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「まいちゃん、早いね」

「おふたりこそ、早いですね」

「ああ、わたしたちは今日用事があってね」

「そうなんですか?」


なんの用事があるんだろう。

ふたりで~


「なあ、ルーカス」

「なんだ」

「まいちゃんも一緒につれていかないか?」

「はぁ?」


えっ?

わたしをどこに?


「なあ、まいちゃん今日は休みだろ」

「ええ、まあ」

「いいだろ、ルーカス」

「まいの休みを奪ってしまうことになるんだぞ」


ええ~ どこに~


「どちらに行くんですか?」

「ああ、わたしたちの父と母に会いに……」

「え? わたしがいったらお邪魔に」

「ならないよ、むしろいてくれた方が助かる」


ジェースはすごくいってほしいようだ。

ルーカスもわたしが嫌ではなければいってほしいようだ。


「わかりました」

「やったー」


ジェースはわたしの手を握りお礼をいっている。

その手を払いのけてルーカスはお礼をいった。


ふたりの実家ってどんなところなんだろう~

わくわくしてきた。


レオが起きてきた。


「レオ、今日わたしたちは家にいってくる」

「はい、わかりました」

「まいも連れていくことになった」

「え? まいも?」

「ああ」


レオは残念がっていた。

そして、少し機嫌がわるそうだ。


「レオ、どうかしたの?」

「今日は休みだから、まいと隣街に遊びに行きたかったにゃん」

「そうだったんだ。ごめんね」

「いいよ、今度行こうにゃん」

「うん、わかった」


レオの機嫌がなおった。

すねちゃって可愛いんだから……。


ふたりは着替えをするといって部屋にもどっていた。

着替えを終えて降りてきたふたりは、まるで王子さまのようにキラキラ輝いていた。

服がいつもと違い、お城に行くような正装になっていた。


「まい迎えの馬車がきた」

「え? 馬車?」


外にでると馬車が待っていた。

え~ 

馬車ってよっぽど、お金持ちなの?

どこかの王子様たちなの?


「まい、行けるか?」

「ちょっと、着替えてきます」


わたしはルーカスが作ってくれたお出かけ用のワンピースをきた。


「おまたせしました」

「おお、まいちゃん綺麗だね」

「ああ、とても綺麗だ」

「ふたりとも……うれしいです」


ふたりに綺麗だといわれてうれしかった。

普通に言えちゃうふたりがすごいけどね。


「まい、どうぞ」


えええ~

ルーカスが手をだしているよ。

これは馬車にのるのに手をもってくれるということだよね。


わたしはルーカスの手に自分の手をおき、馬車に乗り込んだ。

もぅ~

なんてかっこいいことするのよ~


この馬車は4人のりだろうか。

わたしの前にジェースとルーカスがのった。

ふたりの顔をずっと見ながら行くの~

どこをみたらいいのよ~


「まいちゃん、緊張してる?」

「まあ、はい」

「ごめんね、一緒にいってなんてたのんじゃって」

「いえ、おふたりのご両親に会えることが楽しみでもあるんです」

「そうか、ならよかったけど」


馬車の窓から差し込む光で、ふたりの微笑みがキラキラと輝いてみえた。

これは、もう王子様だよ。


しばらく馬車に乗り、ようやくついたようだ。


「まい、ついたよ」

「はい」


降りるときはジェースが手をもってエスコートしてくれた。

この世界では普通のことなのか?

なんて素敵な兄弟なんだろう。

しつけがなってるな~

親の顔がみてみたい。

あ、今から会うんだった……はははっ。


「まいちゃん、行くよ」

「はい」


わたしは顔をあげた。


えええええっ?

なに?

このお城は?


「あ、あの~」

「なんだ」

「ここが家ですか?」

「ああそうだよ」


ええええええ~まじ~


本物の王子さまじゃん。

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