第12話 『レディル・マリジェ』オープン

街にやってきた。

さっそくチラシを配りはじめた。


ふと、ふたりを見ると女性たちに囲まれていた。

思っていたとおりだな。

これは一番の宣伝になるよ~


わたしはふたりから離れ、主に男性にチラシを配った。


「こんにちは、3日後にオープンします。ぜひ奥さんや恋人といらしてください」


こんな感じに声をかけました。

あっという間にチラシがなくなり、ジェースとレオもチラシがなくなったようだった。

でもまだふたりは女性に囲まれている。


すごいな~ふたりの人気は。


ふたりは、女性たちからうまく抜け出せたようだ。


「じゃあ、待ってるね~」

「待ってるにゃん」


ちゅっ!


おっと、なげっキッス!

やるね~ふたりとも。


「おまたせ、まいちゃん」

「まったか、まい」

「ううん、わたしもいまチラシが終わったところ」

「全部配り終えたんだな」

「オープンが楽しみですね」

「そうだにゃん」

「よし、帰ろうか」

「はい」


わたしたちは街を後にした。

帰り道、突然ゴブリン5匹に囲まれた。


「まいちゃんおれから離れないで」

「はい」

「レオ、やれるか?」

「大丈夫」


ジェースのかっこいい後ろ姿だ。

わたしを守る姿はかっこよすぎる。

うっとりするわ~


レオもわたしの横で弓を構えている。


「ジェースさん、後ろは任せて」

「ああ、レオ頼むよ」


わたしもシルバーダガーを手にもって構えた。


「よし、いくぞ」

「はい」


ジェースはゴブリンをザクッザクッときっている。

レオも素手で殴ってやっつけたり弓でドスッとやっつけた。

残り1匹となった。


「まいちゃん、倒してみるか?」

「はい、やります」


わたしはいつまでも守られるばかりではだめだと思い戦うことにした。

わたしはダガーをかまえた。

ゴブリンはわたしにとびかかってきた。

わたしは無我夢中でダガーを振り回した。

ゴブリンをやっつけた。


「まいちゃん、よくやったな」

「まい、やったにゃん」

「うん、ありがとう」


ピッ!


『戦闘レベル3』


わたしはレベルがあがった。

でも、まだまだよわよわです。


――――


家に戻ってきた。


「ただいま」

「おかえり、どうだった?」

「チラシは全部配ったにゃん」

「そうかよかった」

「あとはオープンを待つのみだな」

「はい」


「今日はオープン前の前夜祭だー」

「はぁ? いつも前夜祭じゃないか」

「ああ、そうだな」


ジェースは場を盛り上げるのが上手だ。

いつもみんなを楽しませてくれる。

これがジェースのいいところだよ。


「よ~し、今日は飲もう」

「ほどほどにな」


この夜はみんなでお酒を飲み楽しく過ごした。

一致団結した。


――――


いよいよ、オープンだ!!


すべて準備万端だ。

店を開けようとドアをあけた。


わぁ!!


驚いた。

すごい行列になっていた。


「みんな、やばい! すごい行列だよ」


「『レディル・マルジェ』オープンです」


お店を開けた。


「いらっしゃいませ」


順番に案内した。

ブティックだけを見にきたお客さまとカフェにきたお客さまと列をふたつにわけた。

カフェはあっという間にうまった。

まだそとでは待っているお客さまがたくさんいる。


この待ち時間が嫌なんだよね~

なんとかならないのかね~

これは課題だね。


ブティックも順調だった。

ルーカスがお客さまのからだのサイズを見るだけでわかるのが大きい。

お客さまも納得した買い物ができて喜んでいた。

在庫がないものはルーカスが作って後日とりにきてもらう感じだ。

なるべく、お店に足を運んでもらうようにした。


思っていたとおり、女性のお客さまがほとんどだ。

カフェに関しては、ジェースとレオに会いにきているといっても過言ではない。


「ジェース、きたわよ」

「ありがと、待ってたよ」


ジェース、近い近い。

女性と話をするときの顔が近いんだよな。

女性たちはドキドキしちゃうよね。

まあ、それを喜んでるんだけどね。


あのお客さま、長い髪の毛が食べ物に触っちゃうよ。


ジェースがすかさず、髪をかきあげた。

そして、もっていた髪留めでとめてあげた。

さすが、ジェース。

気が利くわ。

でも、やってもらった女性は……。

あ~もうポワンってうっとりしちゃってる~

そりゃあ、なるわ。


これは、妄想ではなく現実だよな。


レオは?


「レオちゃん、いつも可愛いわね」

「ありがとにゃん」


う~ん、その笑顔に女性たちはやられてるんだよ~

レオはわかってやってる可能性があるよな。

あざとい……。


リエルも慌てることなく料理ができているようだ。

種類を少なくしたからよかったのかもしれない。

手際もよくさすが、スキルマックスだけある。


お客さまから料理をしているリエルが見える。

そのかっこよさも売りだ。

わたしが提案したのだ。

お客さまがリエルをみて、うっとりしてるよ。

ほらね!


料理ができる男性はもてる。

料理をしている姿は素敵だ。

これ鉄則。


ここの男性たちはみんなイケメンだ。

これを全面にアピールした結果だ。


ようやく、最後のお客さまを送りだした。


閉店です。


「ふぅ」


みんな疲れていた。


「お疲れさまでした」

「ああ、お疲れさま」

「お疲れにゃん」


「今日はすごい人だったな」

「でもしばらくは忙しくなるかもね」

「そうだな、しばらくしたら少しは落ち着くだろうけど」

「そうだね」


今日は大成功だ。


「よ~し、みんなでお風呂にはいるか」

「そうしよう」

「まいちゃんも一緒にはいるか?」

「えっ?」


わたしは冗談だとわかっていても照れてしまった。


【妄想中】

♪~わたしがお風呂に入っているとみんなが入ってくる。

「えっ? なんでみんな入ってきたの?」

「まい、今日は疲れただろう。からだ洗ってあげるよ」

「えっ? でも」

「大丈夫だよ、任せて」

いやー恥ずかしいーやめてー……♪


うふふっ、くすぐったい、やめて~

あっ!

我にかえった。


みんなに体をあらってもらう妄想をするなんて……。


「じゃあ、まいおれたちは先にお風呂に入るよ」

「はい、ゆっくりどうぞ」

「まいちゃんも入ってきてもいいよ」


もうジェースったら。

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