第11話 お店の名前

朝から大忙し。

リフォームする1階の配置を話し合った。


わたしは、もとの世界でやっていた仕事がまさにこれ。

リフォーム後のイメージを提案して、お客さまが納得するまで話をして、OKがでたら施工にとりかかるという感じでしょうか。

わたしの得意分野です。


昨日、手書きだがリフォーム後の図案を書いてみんなにみせた。


「まいはすごいな」

「まいちゃんやるね~」

「すごいにゃん」


みんな喜んでいるようだ。


「この図案もまいがかいたのか?」

「はい、そうですが」


ディアムが怪しそうにいってきた。


「どこか気に入らないところがあったら言ってください、直しますから」

「いいや、気に入った」

「えっ?」


気に入ったのね。

よかった。


「気に入ったのならよかったです」

「やるな、まい」


なんか嬉しい。

異世界にきて、ようやく役に立てた気がした。


「この図案さえあれば、あとはおれがつくれるぞ」

「はい、お手伝いします」

「おう、頼むな」


お~ディアムが頼むなんて……。


「ディアムがまいちゃんに頼み事をするなんてめずらしい~」

「な、なんでですか」


ジェースがちゃかした。

ディアムは照れていた。

いつもクールなディアムが照れちゃってかわいい。


「みなさんにお願いがあります」


「「「「「なんだ?」」」」」


「お店の名前を考えてください」

「おう、そうだな」

「一番大事なことを忘れていました」

「ん……」

「何がいいかな……?」


それぞれ考えて、次から次へと出てきた名前はこちら。


「ふくカフェ」


服を売ってるカフェだからとディアムがいった。


「衣装カフェ」


リエルも続けていった。


「ふくりえ」


レオがいった。

みんな黙り始めた。


「……」


「ルーカス」


それはわたしの名前だ。


「……」


「チーン」


案がでなくなった。


わたしも考えた。


ん……。


「たとえばみんなの名前をあわせた名前とか……」

「なるほど」

「繁盛するような名前とか……」

「ふむ」

「わたしたちもお客さまも幸せになりそうな名前とか……」

「……」


「レディル・マリジェ」


リエルがゆっくりいった。


「いいねそれ」

「うん、かっこいい」

「いいにゃん」


「それもしかして、みんなの名前からとったの? リエル」

「そうです」

「いい」

「ほんとですか?」

「うん」


「それにしよう」


「決定だな!」


――――


さっそく、リフォームのためにみんな動きだした。

みんなディアムの支持で動いている。


リエルはレオとお食事のメニューを考えている。


ルーカスさんはワンピースからベストなど流行りの衣装作りを始めた。

ジェースが街にいき女の子たちが着たい服を聞きだした。

いろんな年代の女性から聞いているようだ。

さすがだ。


わたしはディアムと図案通りにできるように確認しあいながら作業をしていた。


スキルがマックスで高いため、全体的に進みが早い。

尋常じゃないくらい早い。

すぐにでもオープンできそうだ。


――――


お店の内装は扉をあけて左側がブティックになっている。

そして右側がカフェだ。

まずは、ブティックから紹介。

ショーウインドウがあって流行りの服をかざります。

外からも見えるようにしてあります。

そして何着かハンガーラックにかけて、基本オーダーになります。

お客さまの体のサイズはルーカスさんが見ればわかるのでわざわざはからなくても大丈夫です。

まあ、女の人たちはルーカスさんにからだのサイズをはかってもらいたかったのかもしれませんが……。

ブティックはルーカスさんとわたしでお客さまの相手をすることになりました。

カフェは扉からはいって突き当りにカウンターを設置して、注文をとりさきに支払いをしてもらうことにしました。

メニューは本日のメニューという感じにその日その日で違うメニューにするそうです。

シェフはもちろんリエルです。

ディアムが補佐に入ります。

ジェースとレオはお客さま相手をします。

このふたりは適任だ。

うまくやれる、想像ができる。


【妄想中】


♪~「いらっしゃいませ」

「レオちゃん、またきちゃった」

「毎日こないと泣いちゃうにゃん」

「う~ん、毎日きちゃう」……♪


♪~「いっらっしゃいませ」

お客を案内するジェース。

「こちらになります」

「ありがとう、ジェース」

「本日のメニューはこちらになります」

「え~わたしジェースが食べたいかも~」

「でしたら、違うお部屋にご案内いたしましょうか」……♪


おっと、また妄想してた。

まあ、今のは妄想とはいいきれないな。

実際ありそうで怖いわ~。


ブティックとカフェの奥に厨房があります。

とにかくみんなで協力をしてなんとか軌道に乗せたい。


オープンは3日後。

それまでに、チラシや口コミで宣伝をしておかないとね。


紙にお店の名前を書き、オープンの日時と場所、ちょっとしたイラストを描き配りに街にいくことにした。


「わたし、街までこのチラシを配りにいってきます」

「では、わたしも行こう」


ルーカスが一緒に行くといってくれたが、服を作らなくてはいけなかったので忙しかった。


「でも、ルーカスさんは忙しいでしょ」

「ん……」

「ルーカス、心配するな。わたしが行こう」


ジェースが一緒にいってくれることになった。


「では、ジェースさんお願いします」

「ああ、行こう」


「ルーカス、まいちゃんのことはおれにまかせろ」

「ジェースさん! ぼくも行くにゃん」


レオも行くといってくれた。


「レオも一緒に行くか?」

「うん、行くにゃん」

「ありがと、レオ」


わたしたちは3人で街にチラシを配りに行くことになった。

このふたりと一緒なら安心だ。

特にチラシを配るのは適任だろう。

ニヤリ!!

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