第15話 コール!生還!!
ボタボタと何かが落ちてくる感触があり、俺は痛みを感じながらゆっくりと目を開けた。
「ゴォォォォォォォォォォルゥゥゥゥゥゥじななぃでぇぇぇぇぇ! じんじゃやだぁぁぁぁぁぁ!」
もはや触れてるんじゃないかって距離でライリルの顔がある。
しかも大量の涙と鼻水付き。
「きったねぇぇ! いってぇぇぇぇぇぇ!!!」
ライリルから顔を避けようとすると薄く感じていた痛みが激痛に変わる。
息ができないぐらいの痛みを感じて俺が悶えながら苦しんでいるとドアが開く音がした。
「ゼラっ! コールおぎだァァァァ! じんでながっだぁぁぁぁ! ょがっだぁぁぁぁぁぁ!」
ライリルが背中に抱きついてくる。
くっそ痛い。
「だから最初から死んでないって何回も言ってるじゃない」
セラは部屋に入ってくるとすぐに俺の頭を叩いた。
「いってぇぇぇぇぇ!!」
「あんたは無茶しすぎ。本当に死んだらどうすんのよ」
「だってさぁ」
「だっても、ろっても、ないのよ! 本当に昔から怒るとろくな事しないんだから!」
また頭を叩かれた。
「ごめん……」
「全くだ」
ん?
「今ミールの声したよな?」
「え? 部屋にいたはずだけど?」
部屋の周りを見渡しても姿が見えない。
「いでっ」
足に何か当たったぞこれ。
恐る恐る自分にかかっている布団をめくる。
「おはよう」
布団の中にはラルドがプリントされた寝間着を来て丸まっているミールがそこにいた。
「何で布団の中におんねん!」
「布団は寝るためにあるものだろう」
そう言うことを言ってるわけじゃない!
「仕方ない。起きるか」
モソモソと布団から出てくるミール。
よく見たら頭にも三角の帽子被ってラルドの抱きまくら持ってやがる。
「で、ここは何処だ? 一応検討はつくけど」
「ギルドから一番近い病院よ。あの後すぐに担ぎ込まれたんだからね。で、今が次の日の午後三時、まるまる1日意識飛んでたのよ」
「マジか……迷惑かけてゴメンな」
「クー……クー……」
って、ライリル寝てるしっ!
「「コールが死んじゃう! 死んじゃう!」って言って今まで一睡もしてなかったんだから無理もないわね」
「私も一睡もしてないぞ」
大嘘こけ。
「とにかく明日か明後日まではここで安静にしておきなさい。店の方は私達三人でどうにかしとくから」
「悪い、頼むわ。所でハナは?」
「わからないわ。でも命の恩人なのは確かなんだから次にあったらお礼言わないとね」
「そうだな」
「後……まぁこれは退院してからでいいわね」
「なんだよ気になるな」
「たいした話じゃないわよ。ほらっ、ライリル起きて、ミールも行くわよ」
「やだぁ……コールと一緒にいるぅ……」
目をこすりながら俺の服を握っているライリルの頭を撫で、本当に迷惑かけたなと反省する。
「コールは怪我人何だから私達がいたらゆっくり休めないでしょう?」
「ぐすっ……すぐに帰って来るんだぞ……」
「分かってるよ」
三人が出ていくと一気に部屋が静かになる。
「はぁ……やっちまったなぁ……」
ハナはどうなったんだろうな。
勝手に転生させてギルド連れてってイザコザに巻き込んじまって……あれ?
これまた俺のせいじゃね?
「お、落ち着くために一回寝よう」
俺は目を閉じ、どうにか俺のせいじゃなくならないかを必死に模索し始めた。
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