第6話 ライリルの秘策!コールの策略!

「コール! これみて!」


 ライリルが勝負だとかなんとか言っていた早朝、街にある全ての家や店にライリルが手書きしたであろうチラシがばら撒かれていた。


『本日限定! どこの店で売っている物でも買値の倍の値段で買い取ります! アーンド! 店内商品販売価格全て90%オフ! シート・ストアーズ』


 一瞬でライリルが書いたと分かる人が読めるか読めないかギリギリの汚い文字だ。


 右下にはヘドロのようなキャラクターが描かれている。


 昔からいつもこいつを書いてるけど一切可愛くない。


「これじゃあ今日うちの店にお客さん来ないんじゃない?」


「……いや、これはチャンスかもしれないな」


 俺のスキルがピーンッと来ている。


「セラ、商品の値札全部剥がして」


「え? なんで? 値段がわからなくなっちゃうじゃない?」


「いいからいいから」


 俺は近場にあった紙とペンを使ってデカデカと「本日のみ商品全て時価!」と書き、店の入口に貼り付けた。


 そこからセラに値札をどんどん剥がしていってもらいながら俺は価値のある商品をカウンターの後ろにある箱に入れていった。


「これでいいかな」


「コール、あんた何を企んでるの?」


「ただの粗大ごみ掃除だよ。まぁ、開店したらわかるよ」


 そして開店の時間。


「早く開けろおおおおおおおおお」

「俺が先だっ!」

「てめぇやんのかこらっ!!!」

「買い物するっていうレベルじゃないぞ!」

「乗るしかないっしょ! このジェットウェーブに!」


 店の前には目がギラギラしてる奴らが集結していた。


「か、開店しまーす……きゃあぁぁぁぁ!!」


 店の入口を開けたセラがダッシュで入ってきたお客さんの波に飲まれた。


「落ち着いてください。品物(粗大ごみ)は沢山あるんでね」


「おい兄ちゃん! 本当に全部時価なのか? これはいくらだ?」


 お客さんが手にしたのは50年ぐらい前の古びた剣だ。


 いつもだったら500ギークでも売れないのだが、お客さんの頭には6000ギークの数字が浮かんでいる。


「それは今日は6000ギークになりますね」


「マジかよっ! つーことは……倍だから……いっぱいだな! 買った!」


「はいはい、じゃあ6000ギーク頂いたのでこちらが販売証明書ですね。シート・ストアーズではこちらを必ず提示してください」


「ありがとな兄ちゃん!」


「ありあとやしたー」


「俺はこれくれや!」


 10000ギークっと。


「はいどうぞ」


「わしゃあこれで」


 44000ギーク。


「あっしはこれをもらうでやんす」


 次々とお客さんが品物(粗大ごみ)を破格の値段で買っていく。


「ちょっとコール、これどういうことよ?」


 どうにかお客さんの雪崩から戻ってきたセラが俺に耳打ちする。


「ライリルの配った紙に書いてあっただろ? どこの店で売っている物でも買値の倍の値段で買い取りますってさ。だからうちの店で高値で買えばその倍の値段でシース・ストアーズは買ってくれるわけだから今どんな高い物を買ってもお客さんに儲けがでるって簡単な話だよ。じゃあ次の作戦だ。ちょっとシート・ストアーズに行って今の売上を使って買い物してきて」


 俺は結構なギーク束をセラに渡す。


「シート・シトアーズで買い物ってライリルの手助けになっちゃうじゃない」


「いーからいーから作戦、作戦」


「……わかったわよ。買えるだけ買ってくるわ」


「品物はどれでもいいよ。さーてお客さんどんどん買っててくださいねー!」


 話題が話題を呼んだのか店の前には長蛇の列が出来ている。


「さーて、儲けるのはここからだぞ!」

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