【第二章】三社参加のリュース売上バトルマッチ!
第4話 プリン頭のちっこいライリル!!
「セラ〜そんなに張り切って仕事しなくてもいいぞ」
金はあるんだしとは言わないけども。
「嫌よ! 不潔なところで働くなんて我慢ならないもの!」
セラが俺の店で働き始めて一ヶ月が立った。
住むところもないセラではあったが幸いなことに店の二階は住居スペースになっていて部屋の数もそこそこあるのでそこの一室を使ってもらうことにした。
最初に俺の部屋に転がり込もうとしていたが丁重にお断りをさせていただいた。
夏暑いしな。
どうせお嬢様だから何もできないと思っていたが意外も意外セラは料理以外はパーフェクトにこなしている。
「何で料理だけできないんだよ」
「……コール? なにか言った?」
「いえ、何も言っておりませんよお嬢様」
「ならいいけど」
今みたいに店の掃除はこまめにしてくれるし俺の分の洗濯もやってくれる。
料理ぐらいなら俺がやればいいし楽になったのは確かだ。
「コール、買取のお客さん来たわよ」
「はいはい、こんにちは今日は何をお持ちですか?」
「これ、お願いします」
冒険者が持ってきた小柄なナイフをカウンターに置く。
これは買取500ギークと言ったところだけど……
俺はチラッと冒険者の頭を見る。
頭の上に350の数字が浮かんでいる。
「そうですね。350ギークの買い取りで如何ですか?」
「あぁ、それでいいよ。もう使わない武器でね。袋がかさんで仕方なかったんだ」
「毎度ありです。じゃあこの書類に名前と住所と電話番号それで最後に身分証明書一つお願いします。冒険者の方なんでライセンスカードでも大丈夫っすよ」
一通り書いてもらい買取金額をわたす。
「ありがとうございましたー」
ラルドレースで分かった俺のスキルだけども、これには応用が聞くことが最近になって分かってきた。
要は頭の中で「これはギャンブルだ」って考えればいいだけなのだ。
買取や販売時の値引きもお客さんとの駆け引きが発生する事柄だ。
そこをギャンブルと考えるとこのスキルは発動してくれるらしい。
今までの人生でギャンブルを一度もやってこなかったのが悔やまれる。
「ふーっ、これぐらいでいいかしら」
「おぉ!」
見違えった。
今までホコリだらけで見るに耐えなかった店内がリュースショップとしての形になっている。
品物がイマイチなのは変わりないが。
「良い品物入れても売れてくのはその品物だけなんだよな。やっぱり古いのは売れないままで棚を占領するだけだな」
でも廃棄するにも金かかるしなぁ。
いくら使っても使い切れない金を持ってるにしろ廃棄するためだけに使っても意味がない。
それに実際今ある古い物を全部捨てたら棚がスカスカになっちゃうし悩みどころだ。
「セラこのナイフ売り場に出しといて」
片手間にキレイにしていたナイフをセラに渡す。
そんなに汚れもついてなかったので軽く拭いてから値札をつけただけだ。
かなり汚れていたりモンスターの体液がこびりついてるとか高額な品物には時間をかけてメンテナンスするが、これぐらいの品物にあまりにも時間をかけても人件費がかさむだけだしな。
「どこらへんに置く? 足元でもいい?」
「あぁ、いや。大人の目の高さくらいにしといてそしたらすぐ売れるから」
これは鉄則に近いかもしれないがすぐに売れそうな品物は視界に入りやすいところに置くのがいい。
逆に売れすぎる品物や日用品は足元にあっても簡単に売れるから楽だ。
「何気に一年やってると知識だけはついてくるよなぁ……はぁ」
「なにため息ついてんのよ」
「はーはっはっはっはっはっ! ボクが来たぞー!」
急に声がしたので入り口を見る。
「誰もいないな」
「いないわね」
「道で誰かが大声出しただけか」
「ちっがーーーーう! もっと手前見ろ手前!」
さっきより声が近くなってる気がする。
俺は自分の足元を見た。
「いねぇな」
「私の足元にもいないわ」
「カ! ウ! ン! ター!」
「あぁ、なんだよ。ライリルかよ。驚かすなよな」
「本当、貴女昔から小さいままね」
「ライリルかよじゃない! 小さくない! お前らがデカいだけだ!」
カウンターの前でピョンピョン跳ねているが頭頂部の黒髪しか見えない。
「お前、いつまでそのプリン頭なんだよ。頭の上だけ黒で途中から茶色なのダサいって言ってるだろ?」
「後、そのダボダボな服どうにかしたほうがいいわよ?」
「うるせーっ! ボクの趣味にケチつけんな!」
ぷんすか怒っているが全く怖くもなんともねぇ。
「で? シート・ストアーズの店長さんが今日はなんの用だ?」
店長って言っても武具屋の娘ってだけで店長になった俺の同級生だけどな。
「ふっふっふっ! ビックリしろよ! 今日はお前達に勝負を挑みに来た! 」
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