セラは自分の恋を紐解きたい

 セラはその日、顔に穴が開くのではないかというぐらいコールの顔を直視していた。


「セラ、怖いんだけど」


「気が散るからちょっと黙ってて!」


「何をだよ……仕事しづらいなぁ」


 セラはどうして自分がこのコール・リードに恋しているのかを分析していた。


 顔が好みなのかと先程から髪の毛から首元まで見つめ続けているが分からない。


 そこら辺にいる一般人と何も違いはない……はずなのだが。


「かーーーっ! 何でそんなに可愛いのよっ! ムカつく!」


「いって! 殴るなよっ!」


 コールの顔のどこを見てもセラには可愛く見えてしまうのだ。


「全く可愛いなんて親にも言われたことないぞ」


「ちょっと可愛くない顔してみなさいよ」


「はぁ? ヤダよ面倒くさい」


「いいから! やらなかったら夜ご飯抜きよ!」


「いつもご飯作ってるの俺なのに!」


「いいから! 早く!」


 コールの変顔なら可愛くなんて思わないはず何なら恋も冷めるはずそうセラの考えはコールの「疲れた時のラルドの顔真似」により、もろくも崩れ去った。


「可愛くて面白いとかなんなのよっ!」


 反射的にコールにビンタをかましていた。


「理不尽すぎるっ!」


 コールには言っていなかったが過去にセラには何人もの婚約者候補がいた。


 中には見ただけで惚れそうなイケメンや、ドが着くほどの御曹司、大帝国の第一王子などもいたのだが全ての縁談を断り続けていた。


 全てはこのコールのお嫁さんになりたいが為に。


「なのにあんたときたら!」


「なぜ! どうしてほっぺをつねるの!」


「どうしてこんな美人が隣にいるのにそんな普通でいられるのよ!」


「伸ばさないで! ちぎれるからマジでっ! いてててててっ!」


 触れている頬でさえ愛おしい。


「なになになに! 何でそんなに笑ってんだよ!」


「あははははっ変な顔ね」


 セラ・エルフィンの初恋はまだまだ続きそうである。

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