第4話 緋色の産室
神聖なる悪魔の楽園に混入した異物たちに取り調べを行うことにした。
人間は脆く、悪魔と違って苦痛に慣れていない。少し痛めつけると簡単に情報を吐くことを、元々人間だった俺は知っている。
しかし、痛めつけて情報を吐かせたら終わりじゃない。
心の底から屈服させ、悪魔に忠誠を誓わせるのだ。そうすれば、やつらが地獄の苦しみによって息絶えたとき、鮮血の中から新しい悪魔が産声をあげる。
ブレイズという女は、人間にしては優秀な魔法使いだった。
このポテンシャルは有効活用できると思い、悪魔として生まれ変わった彼女に魔鉱石を与えた。デビルロードのように上位悪魔に進化させるため。
ブレイズは、アルテミア族という
驚くべきことに、転生したブレイズは悪魔とは真逆の性質を持っていた。
大抵の悪魔は枯れ果てた老女のように擬態してしまうものだが、彼女は美しく、優雅で気品のある妖女に転生した。
「ブレイズ。悪いが、お前の完成された人間の姿を、我々、悪魔の王国のために使わせてもらう。俺の指人形として再び人間の世界に戻れ。そして俺に人間の情報を流せ」
「ダンジョンマスター様! 私は人間の世界には戻りたくありません。私はあなたの眷属ですから。あなたの御側に置いて欲しいのです」
「これはお前にしかできない仕事だ。俺はお前を眷属として認めている。」
「・・・・仕方ありませんね、マスター。わかりました、やりましょう」
こいつらは、ダンジョンコアを狙う人間の君主に遣わされ侵入してきた。今度は逆にスパイとして送り返してやる。
ところで、もう一人の男の冒険者はビエラ族という人間の種族だということがわかった。
―――でも、わかったのはそれだけだった。
やつは簡単に音を上げたが悪魔にはなり損ねた。悪魔に忠誠を誓っても、永遠の罪を被る器量が存在しなかったのだ。今は、人間でも悪魔でもない異形の生物として地下世界を這いまわっている。
さてと。
新たな仲間が増えたが、まだこのダンジョンは小さすぎる。そして、もっと強力な悪魔を仲間にする必要がある。人間を侮ってはいけない。弱いフリを見せて、急に牙をむくのが人間というものだ。
ダンジョンをもっと拡張し、強化しなくては。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます