41.図書室!?
「はぁ……酷い目にあったな」
「それくらいの罰は受けてもらわないとね〜」
「……はぁ。 こんな事なら来るんじゃ無かった……」
俺がバドミントン部の部室から解放されたのはさっきのことだった。
俺は今、ため息をつきながら、学校の渡り廊下を3人と一緒に歩いている。
今度も先頭を歩いているのはやはり凛津で、その横に有里ねぇ、その2人の後ろに俺とテルが並んで歩いているという構図だ。
「今日ここに来た理由は、みんなに謝るだけって訳じゃないんだからもっとワクワクしながら歩いてよ!」
前にいる凛津がまた、俺に無茶振りを言ってくる。
「いくらなんでも……あの状況からワクワクしろって言われてもな〜」
「優太、ここは一応女子校なんだよ? ドキドキしないの?」
「凛津……俺は、お前の中で一体どんなイメージなんだよ……」
「えーっとね、好きな女の子がいるのに他の女の子に優しくしたり……」
「……」
「それから、好きな人の友達もあわよくばワンチャンを狙いに行くような……そんな人?」
「おいっ! 初めに言ってる事はまだいいとしても、2番目に言ってたのって絶対、田﨑さんの事だろ! 俺はそんな目であいつを見てねぇよ!」
「……怪しいね」
今度は、有里ねぇまでもがそんな事を言い始める。
「勘弁してくれ……2人とも。テル、お前もなんとか言ってやってくれよ!」
俺がテルに助け舟を求めると
「うーん……」
と少し唸ってから
「まぁ、優太君も少しは反省しているようですから許してあげたらどうですか?」
―いいぞ! テルその調子だ!
テルはなんだかんだ言っても、やっぱりいいやつなんだよな……
「あっ……でも、さっき優太君は男の子も行けるという話を聞いたので……」
「おいっ!」
少しでも期待した俺が間違っていた。
テルは元々、こういう男だったというのを今更ながら思い出して頭を抱える俺だった。
☆
「着いたよ〜」
「ここ……か?」
次に俺達がやって来たのは、図書室だった。
凛津はこくんと頷く。
それから一人で図書室の奥へと入っていった。
「へ〜。結構広いんだなぁ〜」
俺達も、凛津に続いて部屋の中を見回すようにして進んでいく。
学校の図書館とは思えないほど多くの本が並べられており、さながら図書館のようだった。
「確かに広いですね。ここにある本、全部読もうとしたらどのくらいかかるんでしょうね」
「ん〜〜。私には一生かかっても無理そうだな〜」
有里ねぇとテルは歩きながらそんな事を話していた。
―それしにても、どうして図書室なんだろうか?
俺がそんな事を思いながらも凛津について行っていると凛津はある棚の前で立ち止まった。
「ここ……」
「ん? ここ……は」
棚の上のラベルには『卒業文集』と書かれていた。
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