24.2人のプレゼント!?

「本当に人が多いな」


「そうだね」


俺は今、凛津と有里香と3人でお祭りを巡っている。


さっき出会った女子四人組はというと……


「邪魔したら悪いし、私達は後で合流するよ!」


「うん……それが一番」


「そーだな! 頑張れよ有里香! 凛津!」


「えっ!? ハーレムに加わるんじゃ……」


と各々が一言を残して今は別行動だ。


「ところでさ、なんでこんなに人が来るんだ? 言ったら悪いかもしれないけど、正直このお祭りにわざわざ島の外から見に来る程のものはないと思うんだが……」


俺が両隣にいた有里と凛津ねぇにそう聞くと


「えっとね、このお祭りの最大の目玉は花火なの! ここら辺で花火やってるところも少ない上に、ここの花火は雑誌に紹介されるくらいすごいんだから!」


「そうそう! めっちゃキレイなんだよ!」


「俺が島にいた時はそんなのあったっけ?」


「結構最近始めたらしいよ!」


と凛津ねぇ。


どうりで知らない訳だ……。


「花火か……楽しみだな!」


「「うん!」」


2人は満面の笑みでそう言った。







「あっ! 惜しいっ!」


「もうちょっと右だよ!」


「いや! 左だろ!」


時間は少し経って俺達は今、射的ゲームをやっているのだが……


「くっ! 当たらないっ!」


見ての通り苦戦中だ。


「こうなったら! 最終手段だよ!」


「おっ! 凛津、なにか良い方法でもあるのか?」


俺は凛津ねぇにそう聞いた。


すると……


「お兄ちゃんパワーを補充するんだよ!」


なんて言いながら今度は背中に抱きついてきた。


「お兄ちゃんパワー?」


「そう! お兄ちゃんパワー!」


「……」


また有里ねぇのよく分からない言動が始まったなんて思っていると


「わっ、わたしもっ!」


そう言いながら凛津まで俺の背中に抱きついてきた。


「おいっ! り、じゃなくて有里香までやるのか!?」


「当たり前……じゃん。だって……昨日言ったでしょ。好き……って」


有里が凛津ねぇに聞こえないように小声でそう言ってくる。


「っ!」


いかん……可愛いすぎる。


落ち着け俺!


俺は一旦落ち着く為にしばらく何も考えないようにする。


それから10分が経ち……


「そろそろそのお兄ちゃんパワーとやらも、もう補給できたんじゃないか? そろそろ離れろ!」


俺はなんとか理由をつけて二人を引き剥がそうとしたのだが


「えっ? まだ1%しか充電出来てないよ?」


凛津ねぇはそう言いながら首を傾げる。


「いや! その理屈だと俺はいつまでこの体勢じゃないといけないの!?」


「うーん……ずっと?」


「……」


もういいや……。


これは試練なのだ。


そう思うことにした。


「じゃあ2人は俺の背中にくっついてるだけだけど射的はやらないんだな?」


「「うん!」」


二人はそう言いながら依然として俺の背中から離れる様子はなかった。


「はぁ、仕方ないな……」


俺はそう言いながら、BB弾が入った銃を構える。


昔は結構得意だったし、多分当てられる。


狙いは……あのクマのぬいぐるみにしよう。


俺は標準を合わせる。


ここだ!


弾を発射しようと引き金を引く。


俺が放った球はそのままぬいぐるみに衝突して


それと同時にクマのぬいぐるみが倒れた。


「わぁーっ! すごい! 優太!」


「へー! 優太うまいじゃん!」


抱きついていた二人も喜んでいた。


俺は出店のおじさんからそのぬいぐるみを受け取る。


そして


「あげるよ。欲しかったんだろ?」


「えっ……なんでわかったの?」


「……ずっと欲しそうに見てただろ? だから……はい」


俺は気恥ずかしくなりながらも有里にそれを渡す。


「ありがとう……優太。 大切にするね」


そう言って有里はギュッとぬいぐるみを抱きしめた。


外見こそ、今は高3だが凛津は本来、中3なのだ。


俺も人のことを言えたことじゃ無いけど、まだまだ子供なんだろう。


そういうところが凛津の可愛いところでもあるんだけど……って! 俺は今何を考えて!


そんな事を思っていると、


「優太! 私にも、なにかあるんだよね?」


無言の圧力を放ちながら有里香がそう言った。


「うっ……うん! 当たり前だろ?」


あんた高3だろ! 流石にぬいぐるみプレゼントは……いや、でも女の子は年齢問わず、好きなひともいるんだろうし……


「なっ、何が欲しい?」


悩んでもわからないので直接聞こう!


俺がそう思って聞くと


「優太はなーにも分かってないな! いい? プレゼントは優太が選んでくれなきゃ意味無いの!」


怒られてしまった。


出来る事なら俺もそうしたいんだが……さっぱり分からん。


凛津はずっとあのぬいぐるみを見てたから、分かりやすかったんだけどなぁ……。


「すまん……さっぱりわからない」


「全く仕方ないな〜優太は!」


有里香はそう言って


「それじゃあ……このプレゼントは保留ってことにしとくよ!」


「保留?」


「そう。私がプレゼントして欲しいなって思ったものがあったときに使うの!」


「……いいけど、あんまり高いものは……」


「分かってるよ!」


「有里ねぇずるい……まっ、まぁ私はぬいぐるみプレゼントしてもらったしこれを優太だと思って……」


有里は小声で何か言っていたが、俺には聞こえなかった。


まぁ……凛津にはプレゼントあげられたし、有里香は保留って形だけどちゃんと納得してくれたから良かった。


俺がホッとしていると


「今度は金魚すくいやろう!!」


そう言いながら凛津ねぇが俺たちの手を引っ張る。


「分かったよ そんなに急がなくても!」


俺はそう言いながらもワクワクしながら次の出店に向かった。










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