第14話

中央の広場にいたツインズは、剣と弓を持っていた。



「おまたせー」


『クエスト終わった?』


「おわったよ、二人は剣と弓にしたの?」



なにやら、とりあえず初期武器を購入して途中で武器を交代しながらぷるるんを討伐したらしい。

近接と遠方とがいるといいかもしれないとか、でも盾がいるんじゃないかとか回復も必要だとか何やらいろいろ考えているらしい。



「それで、いろはは何かレベルあがったの?」


「うん?」


「…あ、ステータスって思うとでてくるからね、いろは」



ステータス、と思うと確かに出てきた。

こんなところは非現実的という感じがして楽しいかもしれない。

中には、名前と種族等が書かれている。



「んん…あ、採取レベル3だって!」


『薬草採取してたもんな』


「あ、それ以外にもモモ採取したんだよね、あげる」



忘れるところだったと採取したモモを渡す。

捻りがないなぁといいながらまた図書館で一応調べてみるか、と話している。

フレンドの名前の横に小さなハートがあり、これは友好度を示すらしい。

この世界でどれだけ関わっているか、というもののようで、二人の横についている。

高いから何が、ということも特に現段階ではわかっていないのでなんとも言えないものでもあるが。



『他は?』


「探索レベル?が4になってる」


『なにか探した?』


「薬草」



ツインズ曰く、たぶん何かを探すときに見つけやすくなる、だとかだろうということと、もし罠がはってある所に行くときには、それを察知して解除できるのかもしれない、ということだった。

スキルは成長していく段階で、派生することもあるらしい。

探索が高くなると、罠感知とか気配察知とか~と説明されたが今一つわからないし、そのうちでてきたらわかるかな?と説明を聞き流す。

ツインズもそれをわかっているので、ざっくりと説明を切り上げる。



「あ、薬草もそうだけど、住民のクエストがお届け物だったから家も探したしその人自体も探してた」


『それかもね、4まであがってるから』



初期スキルのような扱いだからか、人でも物でも探索に集約されているのかもしれない。

そんな二人も剣と弓が3に、探索が2になっているという。ぷるるん探したからなーと笑っている。



「いろいろあるのね。じゃあ私、一回ログアウトするね。なんか疲れちゃったし。」


『あぁ、俺らも一回落ちる。』


「そうなの?どこでログアウトするのがいいの?」


『街中でログアウトすると、この街だと中央広場に次はログインするらしい。』



それなら問題ないね、といったん全員でログアウトを行うことにした。



ログアウトをして、寝転がり続けていた体を伸ばす。

実際ゲームの世界では動き回っていても、現実世界は寝転がり続けているから、変に体が疲れてしまう。

そして頭を使っているから、すごく糖分が欲しくなってしまう。


自室から出ると、ツインズもそれぞれ居間に降りていて、何かを作り出している音がする。



「なにつくるのー?」


『ホットケーキ』



ホットケーキミックスは使わず、小麦にバター、ベーキングパウダーと卵に牛乳を混ぜて、ゆっくり低温で焼く。

その横では桃が綺麗にむかれて、コンポートになっていく。



「桃食べたかったんだー」


『モモみたからな』



ホットケーキに桃のコンポートとバニラアイスが目の前にでてくる。

ちょっとした家のおやつもこの二人にかかれば、ミントが飾ってあって、お店のような出来栄えになる。さすがパティシエ。

すこし手を加えるだけで違うもんだよなぁと感心しながら、ありがたくいただく。



『いただきます』


「んー、ホットケーキふわふわ」



やっぱり疲れていたのか甘いものがとても美味しく身に染みる。

冷蔵庫で冷やされていた紅茶はアールグレイでさっぱりしているから、飽きずに2枚分しっかり完食してしまった。


そのままいそいそとツインズはパソコンを持ち出して、何かをみている。

ちょいちょいと手招きされ、覗き込むと、掲示板のようだった。



「掲示板?」


「そう、情報が集まる」


「スキルとか武器とか敵とか」



確かにいろいろなスレッドが立ち上がって情報交換がなされている。

みんないろいろ考えてゲームをしているらしい。

あんまり考えていない私は浮くかもしれないなぁと思いつつ、そうそうにスレッドを目で追うことから離脱した。



『いろはいいのか?』


「目が疲れるから無理…」



情報収集は必要そうなものだけを教えてーというと任せろと返事が来たので大丈夫だろう。

ちょっとそんなんでいいのか?と言われそうだけど、あまりゲームが得意でないから仕方ない。

そのうち自分で必要を感じたら考えようと思いつつ、夕飯用のお米を炊くことにした。

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