第17話《三》赤絲再逅(えにし ふたたび)-3-
自分が、なぜここにいるのかさえも、彼には
彼は―
えも言われぬ
いや、横たえられていた、と言うべきか・・・。
編髪を
目に見えぬ何物かによって金縛りとなった体は、ピクリとも動かすことが出来ず、ほんの
〈ここは、
瞳を閉じたままで、彼は
やがて彼の周囲に、どこからか、妙に
血の匂いを含んだ、不快な風だ。
それと同時に、
しかも、その直後から
〈うっ!!〉
すんなりと伸びた長い
大蛇の方もまた、
〈貴様は、
ニヤリと笑った大蛇―
だが、決して、ただ見ているのではない。
彼は視線で、この美しい若者を
明らかに『
「
〈
彼の肌一面が痛ましく
「ふふ、どこまでも
〈この上、
声は
「さてもさても、
くくっと
〈あうっ!〉
思いもよらぬ
「ほ、さすがじゃ!思うた以上の、よい
ニンマリとそう
その指先の
「何と美しや!!まさにおぬしは、
〈お、おのれ!!・・・おのれ、
〈化物め!!よりによって、貴様などに
「け、
切れ切れに、しかし、
「殺せ!殺してくれっ!!」
「
彼の余りの
けれども、見かねた
「いいの!」
「いいのよ
〈お嬢様!あなたはそれほどまでに、この方を!・・・〉
「かしこまりました、お嬢様!」
またもや
「殺してくれとな?おお、よいとも!
その言葉が終わり切らぬうちに、
〈怖い!!〉
彼の全身を、生まれて初めての異様な恐怖心が、一気に駆け抜けた。
「い、厭だ!!厭だっ!!こわ・・い!
熱に浮かされて火のように熱い息を吐き、彼はひたすら姉に助けを求めて、両手を激しく、宙にさ
『姉は・・・死にました』夢の中でそう言い、ふっと瞳を
〈あれは、本当のことだったのに違いない!〉
あの
「
宙を泳ぐ彼の手を両の
『あなたは、私の姉にとてもよく似ていらっしゃる!』夢ではあっても、
ならば今、私はこのひとの姉になろう!それが多少なりとも、彼にとっての救いとなり得るならば、たとえこの身は姉の
「
彼の体の熱さに負けないくらい身を
突然、上空からサアっと
「おのれえっ!
今にも
〈
「・・・
〈
反射的に目を見開き、救い主の顔を
「
傷ついた彼を、
「
そう叫んで、
「
彼女の
「泣いている!」
泣いているのだ、
〈ああ、何て!・・何て
一瞬、
―結ばれなくてもいい!愛してもらえなくても構わない!このひとのために生き、そして死ねるなら、ただそれだけで、私は幸せ!!
「医者は不要のようじゃな・・・」
ポツリと
それからしばらくして、博士を送り出した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます