第15話《三》赤絲再逅(えにし ふたたび)-1-
一族の中でも、特に一人娘の
ある日の午後。
「ねえ、あれは何事かしら?」
何か
「さあ、
「そう、お気の毒にね・・・」
そう言ったきり、
その夜―。
いつもより早目に
そこには、忘れ得ぬ
言うまでも無く、
あの時、彼が自らの
「その節は、まことにありがとうございました。是非とも、今一度お目にかかってお礼申し上げねば、と気になっておりましたので、こうしてお会いできましたことが、何より
「あれくらいのこと、気になさるものではありません。それより、こんなことを申し上げて、失礼だったらお許し下さい」
「どこがどう、と言うのではないのですが、あなたは、私の姉にとてもよく似ていらっしゃる!あなたとお話していると、まるで、姉がそこにいてくれるような気さえ致します」
「まあ!私が、あなたのお姉さまに⁉それで、お姉さまは今、どちらにおいでですの?」
彼女の言葉に
「姉は・・・死にました。私の身を思いやる余りに自害してしまいました。そして、私ももうじき、姉の
謎めいた
すると、
けれど、その顔は、どういう訳かひどく
「
思わず河の中に足を
二人の間を
「
「どうなさいましたの、お嬢様⁉」
彼女の顔を心配そうに
「なんだか、ひどくうなされておいでなんですもの!『河が』だとか『火が』だとか・・・」
そう言いながら
「
早口にまくし立てる一方で、
その夢から
〈なぜ、
彼女は、しきりに胸騒ぎを感じた。
〈もしかしたら、あの方の身に何かあったのかもしれない。昼間見た
以来、彼女は
そうこうするうちに、数日が
その
明け方の冷気が、ひんやりと彼女の
〈思い切って、誰かを
そんなことを思いあぐねて、
誰にも
「
半分
が、その直後、彼女の瞳は異様な光景を
彼女が立っている場所から、やや前方に
〈誰なの?こんな時刻に、こんなところで、何をしているのかしら⁉〉
そのくせ、すぐにその場を立ち去ることが、なぜか出来ずにいるのだ。
そして、
それは、まだ、うら若い男だったが、体力のすべてを
もともと純白であったろう着衣は無残にも引き裂かれ、
もはや、顔を上げることも
―でも、でも
「
彼女のその声が、今にも気を失いかけていた
彼は、相手を確認しようと痛々しく
「あ・・・あなた・・・は?・・・」
しかし、ただ、それだけの言葉が
その体を
「
あらん限りに絶叫する時ならぬ
ところが、である。
彼らはまたまた、
何せそこには、彼らの女主人が、
一同は皆、打ち
「何をしているのです⁉」
「早く早く、この方を、
ともかくも、
丁度、朝食の
その
あれやこれや、こまごまと、
「ねえねえ!ずっと男嫌いで通して来られた、あのお嬢様がよ、御自分から殿方のお着
「それもさ、直接、お手であの方の肌に
「でもさぁ、ほんっとに、なんていい男なんだろ⁉あんな美しい
「やーね、あんた!お嬢様と張り合おうっての⁉」
「シッ、
なんとも口さがなく
しかし、一番
無論、異性の体を直接
当然、ひとかたならぬ
なぜこんな気持ちになれるのかは、自分でも
〈この人を助けたい‼〉
ただ、その
彼女はまだ、はっきりと気づいてはいないにせよ、それは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます