第4話《三》喪姫血涙(とわのわかれ)-2-
とりわけ、
ゆくゆくは、当主となる
今年で、
そして彼は、心中深く、美しい女主人への尽きせぬ
しかし、このことが
屋敷の様子がおかしいことに
この時刻には当然閉ざされている
〈まさか、打ち
〈一体、何が起こったというのだ⁉〉
彼の全身を、冷たい
そこにはなんと、さらなる
皆、一様に目を
この有様では、恐らく一人の生存者もいないのではないかと
そして、次の瞬間、彼はものすごい勢いで、死体を飛び越え飛び越え、廊下を走り出していた。
そのまま、
「だんな様!御無礼、お許しください!」
声をかけるのもそこそこに、勢いよく
「うっ!!」
予感はまさに的中し、彼は二、三歩よろめいた。
それを
「だ、だんな様っ!!」
「だんな様!だんな様!お痛わしや、何者がこのようなことを‼・・・」
彼は物言わぬ主人に向かって声を
〈さては、先ほどの
そうとなれば
いかに事が終わってしまったあととはいえ、もしも追ってさえいれば、せめてその正体なりと、
「何たる
息せき切って彼の後を追ってきた五人の従者たちは、信じ
「う!?」
「
主人の体を再び
離れへの距離を、普段の何倍、いや何十倍も長く感じながら、やっとのことで
そして、その
だが、
胸に抱きしめた一通の手紙が、
「
二、
「あ、あすん‥
彼女は
「お許し下さいませ、
けれど
「いいえ・・そなたのせい・・ではな・・・い・・
彼女の命の火は、まさに消えようとしていた。その最後の火を
「ど・・うか・・・あの子を・・・・・しー・・ふぁんを・・・たのみ、ます…つ・・たえて・・・・・いつま・・でも・・か・・わらずに・・・ねえさまの・・・ぶん・・まで・・・」
彼女の
「いつまでも変わらずにいてほしい。そして姉さまの分まで、生きてほしい!」
彼女は、そう言いたかったのに違いない。
だがしかし、彼女にはもう、残された時間は無かった。
「
ついに耐え切れず、
〈
彼の秘めた想いもまた、胸の中で、血を吐くような叫びを
そして、つい今しがたそこに来合わせた、
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