第6話 人里に連れられて
――異世界28・レイズリー村付近の林
――年月日不明
――時間不明
「じゃあ、イースさん?全身取り込んで検査するね?」
私とイースさん…。
二人とも裸で抱き合って立っている。
先程まで、私の身体はイースさんに色々と調べられていた。
「ミナさん!早く診て…?お願い…。手遅れになりたくないの!!」
自分勝手にも程がある。
それならば、私の身体を調べるとか流暢なことはしなければ良かったのに…。
まぁ、イースさんのお陰で、キーユのこと見直せた。
それはそれで良い。
[キーユ?イースさん取り込んでくれない?]
{イイエ。ミナの良い実験台じゃ無いか!これから自分でやってくんだぜ?試してみな?}
何故だろう?
キーユがやってくれてもいいのに。
[キーユ!!お願い…手伝って?]
{イイエ。ミナ自身でスキルを使わないと、新しいスキルを覚えたり、スキルや肉体を進化させたり出来ないんだ。}
ああ。
そう言う事か…。
だから、今はゲームで言えば…チュートリアル中なのか。
「えいっ!!」
――ポヨンッ!
「ミナさん?スライムに戻ったの?」
「『取込』!!」
――ガバッ!!
あれ?
何か超イージーじゃない?
『取込』スキルを使ったら、勝手に身体が拡がってイースさんを包み込んだ。
「きゃああああっ!?ミナさん?!」
{取込:手動処理 成功しました。}
何が、きゃああああっ!?だよ。
診て欲しいって言うから、やったのに…。
[キーユ?イースさんの解析お願い!!]
{ハイ。解析:自動処理 開始します。}
「何これ?!何か入ってきた!!嫌!!嫌!!助けてえええええ!!んぐっ…」
まぁ、孕まされてないか、診てあげる(解析する)んだから…。
そりゃ、一つくらい入るでしょう。
騒いでたのに、黙ったのは??
自分の身体の中を見ると、イースさんの口に何か入っていた。
うるさいからキーユが黙らせたのかも。
{解析:自動処理 成功しました。}
あ、もう終わったんだ!?
{解析結果:人間・♀ です。}
人間だった。
良かった!!
{オーク・♂1の子を孕んでたぞ?}
[マジですか…。]
{ハイ。いやマジマジ。}
え…。
マジって言葉の意味が分かるの?
{解析情報:イース を追加しました。}
[イースさんを排出して。]
{ハイ。体外排出:イース 開始します。}
イースさんに入っていたものは、そっと抜かれた。
「はぁ…はぁ…はぁ…。苦しいじゃないの!!あとどこに入れてる…」
――スポンッ!!
<体外排出:イース 成功しました。>
イースさんが私の身体から排出されたようだ。
凄い剣幕で言いかけてるタイミングで。
[キーユ?グッジョブ!!]
{ハイ。頭くるよな?このアマ!!}
キーユ。
異世界転生者って聞いてるけど…日本人なんじゃ?
アマって…女の人を蔑んで言う表現。
日本人じゃ無いと使わないと思う。
[うんうん。友達にはしたく無いかな。]
{ハイ。ハハハハッ!!その方がいいよ。}
「ねぇ!!ちょっと!!アナタ?何のつもりなの??私の大事なところに入れてきて!!」
馬鹿なのか…。
孕まされてないか診るのに、この世界に他に方法あるのだろうか?
ここは、大人の対応をしよう。
「オークの子孕まされてないか、確認したかったんだよね?」
「あ…。」
馬鹿なの…?
天然ちゃんなの…?
「折角、アナタの事心配だから診てあげたのに…。そんな言い方あるわけ?」
もう、どうでもいい。
そう思って、本音をイースへぶつけた。
「ゴメンね?ミナさん。そう言うつもりじゃ…。」
「で、伝えた方がいい?やめたほうがいいかな?」
「ゴメンナサイ!!教えてください!!お願い…ミナさん。」
「『擬態』!!」
――ポヨンッ!
私は人間の姿になった。
「イースさん?オークの子供妊娠してる…。気をしっかり持って?」
私はイースさんの手をとって、ギュッと握った。
するとイースさんは震え出して、顔面蒼白になった。
まぁ…普通、無理もない。
私だってそうなると思う…。
「嫌だよ!!産みたくない!!オークの子供なんて…嫌だよ!!あ…。私、捨てられる…。私の村…夫以外の子供妊娠したら、即離婚させられて…追い出されちゃう…。」
「バレないように、堕胎するしかないよね?」
「協会に行けば…司協さんが闇施術して下さるかも…。でも、闇施術になるから…司協さんの夜伽相手の女の子一人連れてかないと…。」
私の方を見つめながらイースさんはそう答えた。
ああ、私がその司協に手篭めにされるだけで良いのか。
私はスライムだから、妊娠を望まなければ基本はしない。
それに司協を今後何かあれば使えるかも知れない。
「私、紹介すれば良いよ。」
{おい!!僕もまだ抱いてもいないのにか?!ダメだってやめとけ!!}
[まぁまぁ?減るもんじゃ無いでしょ?スライムだし。]
{イイエ。後悔するぞ?きっと…。]
キーユが急に彼氏ヅラするようになった。
「ありがとう!!じゃあ、早速私の村に帰ろう?私の手、離さないでね?『帰還』!!」
そう言うとイースさんは何かの翅を上に投げた。
――ビュンッ!!
気がつくと私とイースさんは、地球で言う教会の裏手の直ぐ脇に手を繋いで立っていた。
ふと、足元を見るとしっかりとした造りの石畳のようなものが敷き詰められていた。
そこには魔法陣のようなものが刻まれている。
「これは?」
「固定式転移法陣だよ?協会で売られている翅をね?『帰還』って言ってさっきみたいに上に投げればここにワープ出来るの!凄いでしょ?」
本当にゲームの世界に来たような感じだ。
と言うか…私達裸だ。
周りをキョロキョロと見たが、場所柄誰も居なさそうだ。
「おや?イースではないですか?どうしましたかな?裸のようですが…。」
「ウィレン司協!!良いところに…。」
このウィレン司協というのがさっきの…。
今日、私が抱かれる相手になるかも…。
じっくり見極めておこう。
イースさんはウィレン司協に自分の身に置きた出来事をありのまま包み隠さず伝えた。
「なんと、そうでしたか。それは大変だ。ところで、イース。隣の御人はどうされましたかな?」
明らかに、私を犯すような目で見てきている。
それでも司協なのだろうか…。
「はい、ウィレン司協。こちらは、私を身を挺して救って下さいました。ミナさんと言います。」
「それはそれは!女性でありながら、勇ましい限りですな!イースをお救いいただいた事感謝いたします。」
そう言いつつ、ウィレン司協の目線は私の胸と下腹部を行ったり来たりしていた。
「いえ。明らかに…イースさんがオークに種付けされてましたので…。助けなければ連れ攫われて、今頃は苗床にされていたことでしょう。」
久しぶりにこんな丁寧な言葉を使った。
「ところで、イースよ。お前さんに施術するにあたって誰か連れてきておるのかな?」
その話をした時の、ウィレン司協の表情は悪人の顔をしていた。
「ウィレン司協、その件なのですが…。こちらのミナさんでは如何でしょうか…。」
「おお!旅のお方…ミナと言ったな。信心深い事は良い事ですぞ?では早速、裏手の扉から二人とも入られよ。」
そう言うと、ウィレン司協は私の横側に来て、お尻を鷲掴みにした。
「さぁ、ミナよ恐れる事などないぞ?」
はぁ…。
何でこんな事してるんだろ…。
私へのメリット…本当に何かあるのかな?
そんなことを考えて歩いていた。
――ガチャ!
協会の裏手の扉に、イースさんが手をかけた時だった。
私のお尻を掴んだままの司協の指がお尻の中に入ってきた。
「おお!ミナお主、鍛錬されておるのか?良い事ですな!」
一体、どこの鍛錬だよ!!
エロ司協!!
と言うか、お尻は…。
元カレの大きく太いアソコで奥まで開通させられたから…。
「ウィレン司協、ここでは…ちょっと…。」
私がそう言うと、扉を開けて直ぐの場所に、司協私室と書かれた部屋の扉が見えた。
―続く―
――――
ここ迄の主な登場人物とステータス
――――
名前 :ミナ=ルナ
種族 :スライムリーダー
魔法 :なし
称号 :なし
二つ名 :なし
容姿 :肌【青】、髪【-】、頭部【-】、目【◉:黒】、背中【-】、その他【-】
+肉体構造:五感、声帯、性感、愛の雫、体温調節
究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫
特別スキル:異世界ジャンプ
特殊スキル:無性受胎、分析
固有スキル:擬態、取込、吸収、溶解、再生、火球、統率、扇動、分裂、
吸収スキル:催淫、強制種付け
感知スキル:元素、気配
吸収 :火属性
無効 :状態異常、痛覚
耐性 :物理、温度
擬態 :杉田美春、????(ロック状態)、オーク・♂1
再訪先 :異世界28
解析情報 :杉田美春、オーク・♂1、イース
地理 :異世界28
――――
名前 :キーユ
種族 :ナビゲーター
魔法 :不明
称号 :不明
二つ名 :不明
容姿 :肌【-】、髪【-】、頭部【-】、目【-】、背中【-】、その他【-】
究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫、引継ぐ者、閃く者、焚べる者、その他不明
特別スキル:魂転送、解析、共有、オートモード、その他不明
詳細 :異世界転生者と思われるが不明。
――――
名前 :イース
種族 :人間・♀
魔法 :不明
称号 :不明
二つ名 :不明
容姿 :肌【白(イエベ)】、髪【茶】、頭部【-】、目【茶】、背中【-】、その他【身長162cm、体重47kg、Eカップ】
スキル等 :不明
詳細 :レイズリー村に暮らす人妻。夫と二人暮らし。オークに襲われ、オークの子を孕んでいる。
――――
名前 :ウィレン
種族 :不明
魔法 :不明
称号 :レイズリー村協会司協
二つ名 :不明
容姿 :肌【白(イエベ)】、髪【白】、頭部【-】、目【青】、背中【-】、その他【身長175cm、体重65kg】
スキル等 :不明
詳細 :レイズリー村協会の司協。堕胎行為や性病の治療を闇施術する。見返りに、夜伽相手を連れてこさせる悪徳ぶり。
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