第4話 初めての吸収

 ――異世界28・どこかの林

――年月日不明

 ――時間不明


 私は大きめな元素の固まりに近づいた。

 あれ?!

 すると、元素感知を続けていたのだが、大きめな元素の固まりがもう一つ感知したのだ。

 そう、そちらも動いているように感じた。


 [ねぇ…キーユ?もう一つ動いてない?]


 {ハイ。動いているな。戦闘中か、どちらか非戦闘員で襲われているとかかもな?}


 [元素感知の精度上げられないの?!]


 {ハイ。無理だな。二人で感覚を研ぎ澄まそうぜ?}


 キーユを殴ってやりたくなった。

 出来ないのがもどかしい…。

 だが、じっくりと元素感知を行うと徐々に輪郭が見えてきた。


 {ほほう。んんんんっ!!一つは女?!女だ!!}


 [確かに!!女性が地面に倒れてる?!]


 私にはそう感じた…。

 て事は…さっきまでの私みたいに…。

 襲われてる?!

 そう思って、更に女性の方に元素感知を集中した。


 {ハイ。さっきの、僕とミナみたいだな?恐らく…犯されてるぞ?}


 [どっちも『取込』して、片方だけ『吸収』って出来る?]


 {ハイ。僕に任せろ!ああ、そうだ。伝えるの忘れてたが、『取込』すると任意で対象の『解析』を僕が行えるからな?活用してくれ。}


 なんて人なんだろう…。

 このキーユと言う人は…人でなくスライム?

 私もスライムだけど…。


 ――ズズズズッ…ズズズズッ。


 気づかれないようにそーっと…。

 そーっと地面を這い寄る私。

 身体…土まみれなんだろうな…。

 全裸で地面を這ってるんだよね…。

 想像すれば想像する程、死にたい。


 でも今は…。

 でも今は目の前の女性、助けないと…。


 いくら元素感知しても…。

 女性は諦めてしまっているのか…抵抗しない。

 犯している相手が、武器でも持っているのだろうか?


 {ミナ?もう片方の元素感知してみたんだ。『共有:意識』!!}


 [ひいいいいっ!?武器…首に当ててる…。]


 {ハイ。下手すると殺されるな…。僕にミナの身体の操作をさせて貰えるか?ゲームで言う、オートプレイモードだ。}


 そうか…!

 キーユはスライムの身体でありながら、的確に私の自由を奪った。

 それから自分の身体に取り込んだ上で、私をたっぷり心ゆくまで犯し続けたのだ。


 だが今のこの状況において、女性を救うことのできる唯一の存在は私達のみ。

 スライムの身体の操作の面だけで言えば、文句はないのは知っている。


 [頼んだよ?キーユ?]


 {ハイ。んでさ?襲ってるやつは、『取込』→『解析』→『吸収』この順でやるからさ?まぁ、次からはミナもやるんだからな?}


 は?!

 私もやる…!?


 [あ…あはは。私やらないとダメ?]


 {ハイ。他の命を吸収するしか強くなれないんだ。俺達の身体はさ…?時に冷酷になるのも大事だからな?むやみに殺せって訳じゃない。分かるか?}


 [い…今みたいな?]


 {ハイ。そうだ。恐らく、女性は犯されて死にたい気分だろうな。だけど、人間誰しも死にたくないだろ?}


 誰の前で良くそんな口が…。


 [分かる。私、助けや慈悲を求めたけど…結局殺された…。]


 {イイエ。まぁまぁ…あれはミナにこの身体をあげるために仕方なくだな…?}


 [あれが、私の為と言うのなら…犯さなくても良かったですよね?]


 私はキーユに四つの穴全て犯された…。

 あれがなんだと言いたいのだ!!


 {イイエ。悪いな?ミナがいずれ、元の身体に擬態する為の詳細な情報が必要だったんだ。}


 [えっ?!]


 {ハイ。『解析』はあくまで肉体に刻まれた情報やスキルの『解析』なんだ。『解析』だけなら外側は再現出来るかもしれない。だか…}


 私はキーユの言いいたい事を、今の言葉から読み取るのに時間は必要無かった。


 [私の為…だったんだね?異性と肌を重ねたり、排泄ぽいことをしたり、物を食べたり…。不自然じゃないように…。そうなんでしょ?]


 {ハイ。僕の言わんとしてた事理解してくれたんだな?そうだよ。詳細な解析してあれば、スライムになっても女、続けられるだろ?}


 [キーユ…ありがとう…。私の身体を蹂躙したとか犯されたとか言ったけど…色んな器官の情報を解析してくれてたなんて…。でも…ちょっと私の身体で愉しんだんでしょ?]


 {ハイ。…。}


 そうだ…。

 さっき、妊娠できるスキルを確か、獲得した!!

 キーユが私の生殖器官を解析してくれてたから…?

 そう言う事なのか…。


 [ま、まぁ…許してあげる。今後もサポートちゃんとしてくれればね?]


 {ハイ。ありがとよ。んじゃ、早速片付けてくるわ!!}


 女性と強姦魔(仮称)の接合部の辺りの元素を感知すると青色が非常に多い。

 早く、女性を助けてあげて欲しい。


 {操作:オートモード 変更しますか? (ハイ/イイエ)}


 [ハイ!!キーユ頼んだよ?]


 {操作:オートモード 成功しました。}


 {取込:自動処理 開始します。}


 ――ガバッ!!


 キーユが私の身体を上手に操作して、女性を武器で脅して犯し続ける強姦魔(仮称)を武器ごと包み込んだ。


 {取込:自動処理 成功しました。}


 {解析:自動処理 開始します。}


 強姦魔(仮称)が私の身体の中で暴れ出した。

 すると急に、何か鈍い刃先で身体の中から突き刺された。


 [痛っ!?て?え?痛くない!?]


 先程獲得したスキルの『無効:痛覚』の効果だろう。

 だが、音も聞こえず目も見えない私。

 急に刺されると結構メンタルにきて辛い。

 例えるなら、急に生理が来てしまい、下着やらズボンやら汚してしまった時くらい、メンタルにきている。

 

 何度も何度も、身体の中から突き刺してくる強姦魔(仮称)。

 その度に、身体の外側に何かか突き出る。

 それを『再生』スキルで塞ぐ。


 {解析:自動処理 成功しました。}

 {解析結果:オーク・♂ です。}

 {解析情報:オーク・♂1 を追加しました。}


 強姦魔(仮称)はオーク?!

 それは女性も抵抗できないかも…。


 [オークって…。]


 {ハイ。初獲物にしては上出来だな?犯されてた女性、孕んでないと良いけどな。}

 {とっととこんなやつ吸収するぞ?}


 {吸収:オーク・♂1 自動処理開始します。}


 私の身体の中でオークが暴れているのが分かる。

 さっきよりも激しい…。

 急に身体に穴が開く感覚がした。

 私は急いで『再生』スキルで塞ぐ。

 だが、直ぐに同じ場所をやられていた。


 このままだと私の身体…。

 もたないかも…。


 {吸収:オーク・♂1 成功しました。}


 {身体にかなりの数、穴開けられたな。でも、良く耐えたな?ミナ。}


 ええええ!?


 {肉体構造:五感 獲得しました。}


 「スライムさん!!大丈夫ですか?!」


 あれ?

 声が聞こえ…!?

 綺麗な人間(仮称)の女性が目に飛び込んで…?!

 目も見えるし!!


 ――グチョォッ!グチョォッ!


 ダメだ…。

 スライムには声帯無いから、声が出ない。

 代わりに身体から何か…音がしている。


 「スライムさん…。私のこと襲う気ですか…?」


 いやいやいやいや!!

 私、アナタと一緒で女だし!!

 そんな指向ないから…。


 {肉体構造:声帯 獲得しました。}


 「襲わない襲わない!!…って!!声出せたし?!」


 「スライムさん!?私の言葉…分かるんですか?!」


 『究極スキル:訳する者』のおかげなのかな。


 「うん!分かるよ?お姉さん…オークに犯されてたよね?大丈夫??」


 {地理:異世界28 獲得しました。}


 {吸収スキル:催淫 獲得しました。}

 {吸収スキル:強制種付け 獲得しました。}


 {擬態:オーク・♂1 獲得しました。}


 [ちょっと!!私、女だよ?!]


 {イイエ。スライムになった時点で、ミナはどちらでもない。}


 [そうなんだ…。]


 「私…身体が熱いんです…。下腹部の方も…。」


 キーユと話をしていると、人間(仮称)の女性から返事があった。


 「お姉さん、落ち着いて聞いてね?オークに『催淫』使われて、『強制種付け』されてるかもしれません…。」


 「いやああああっ!!オークの子なんて孕みたくない!!私には夫がいるのに…。」


 凄く取り乱していた…。

 無理もない。


 ―続く―


――――

ここ迄の主な登場人物とステータス

――――

名前   :ミナ=ルナ

種族   :レッドスライム

魔法   :なし

称号   :なし

二つ名  :なし

容姿   :肌【赤】、髪【-】、頭部【-】、目【-】、背中【-】、その他【五感、声帯】

究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫

特別スキル:異世界ジャンプ

特殊スキル:無性受胎

固有スキル:擬態、取込、吸収、溶解、再生、火球

吸収スキル:催淫、強制種付け

感知スキル:元素

無効   :状態異常、痛覚、火属性

耐性   :物理、温度

擬態   :杉田美春、????(ロック状態)、オーク・♂1

再訪先  :異世界28

解析情報 :オーク・♂1

地理   :異世界28

――――

名前   :キーユ

種族   :ナビゲーター

魔法   :不明

称号   :不明

二つ名  :不明

容姿   :肌【-】、髪【-】、頭部【-】、目【-】、背中【-】、その他【-】

究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫、引継ぐ者、閃く者、焚べる者、その他不明

特別スキル:魂転送、解析、共有、オートモード、その他不明

詳細   :異世界転生者と思われるが不明。

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