異世界28編

第3話 今日からスライムとして…

 ――どこかの林・スライムの身体

――年月日不明

 ――時間不明


 <さて、転生の処理中だから、続けるぞ?>


 [え?!まだなの!?]


 {ハイ。美春が僕に話しかけるから悪いんだぞ?}


 やけに馴れ馴れしい…。

 まぁ…。

 私の身体を蹂躙して弄んだスライムだし。


 {魂:美春 を 肉体:スライム へ転移します。}


 ちょっと!!ホントにまだだったの!?


 [嫌!!]


 {魂転移:美春 失敗しました。}


 <イイエ。おいおい!!抵抗するなよ!!>


 え?

 え??

 拒否出来るってこと?


 [ねぇ…?聞きたい事あるんだけど…。]


 {ハイ。何だよ?}


 [私の身体…どうなったの?]


 これ。

 今…。

 私の一番聞きたい事だ。


 {ハイ。僕に吸収されて、消滅した。}


 [いやああああああああ!!]


 聞きたく無かった…。

 聞かなきゃ良かった…。

 辛い現実…。

 全て…。

 全て…このスライムが悪い…。


 {辛いだろうが、耐えてくれ。異世界に来た以上、生き残らなくちゃいけないんだ…。}


 なに…それ…。

 その言葉…。

 このスライムも…?

 まさか人間だった…?

 馬鹿な…。


 [アナタも人間だったなんて言わないよね?]


 {ハイ。美春と同じ人間だった。}


 へぇ…。

 そうなんだ…人間…。


 ふと目の前にあるディスプレイに見入る。


 このディスプレイって…。

 このスライムの記憶から…?

 似たような世界から来た?


 [ねぇ?同じ人間の私を弄んでどう思った訳?]


 {ハイ。久しぶりに…人間の女を抱けて、良かった。}


 良かった…?

 良かった…だけ?


 あんな長い時間…耐えたのに…私。


 [良かった…だけなの?]


 {イイエ。でも、今は言いたく無いんだ。ゴメンナサイ。}


 何なの?

 さっきから…。


 {魂:美春 を 肉体:スライム へ転移します。}


 諦めるしか…ないか。

 私の身体…。

 もう無い…。


 {魂転移:美春 成功しました。}


 私の自慢の容姿…サヨウナラ。


 {転生:スライム 成功しました。}


 転生…。

 スライム…。

 私、スライムに転生しちゃった…。


 {転生:スライム により関連スキルを獲得可能です。}

 {獲得しますか? (ハイ/イイエ)}


 [ハイ。で…。]


 {固有スキル:擬態 獲得しました。}

 {固有スキル:取込 獲得しました。}

 {固有スキル:吸収 獲得しました。}

 {固有スキル:溶解 獲得しました。}

 {固有スキル:再生 獲得しました。}


 {無効:状態異常 獲得しました。}

 {無効:痛覚 獲得しました。}


 {耐性:物理 獲得しました。}

 {耐性:温度 獲得しました。}


 {擬態:杉田美春 獲得しました。}


 {再訪先:異世界28 登録されました。}


 あれ?

 以上?

 以上なの?!


 {擬態:???? 獲得しました。}


 え?

 誰??


 {擬態:???? ロックされました。}

 {使用にはロックの解除が必要です。}


 [ねぇ…擬態:????ってアナタ?]


 {ハイ。そうだ。だから利用不可だ。}


 何でだろう…。

 そんなに醜悪なのかな?

 モンスターみたいに?


 [分かった。と言うか…私の姿になれるのね?]


 {ハイ。悪く無いだろう?まぁ、擬態だから、妊娠は出来ないがな?}


 [もし、今好きな人出来ても…無理なんだ…。]


 何か、辛くなった…。

 雅幸さん…。

 もしも、雅幸さんと再会できても…。

 子供は諦めないといけないんだね。

 美穂から雅幸さんを取った罰なのかな…。


 {イイエ。スライムはそもそも無性生殖だしな?妊娠したいのか?}


 [はい…。雅幸さんとだけでいいの…。]


 {!閃いた!}

 {特殊スキル:無性受胎 獲得しました。}


 [え?]


 {ハイ。僕の大事なスキル何個か犠牲にしたけどな?文字通り、無性だけど受胎出来るぞ?}


 [なんで…?スライムさん?]


 {イイエ。まぁまぁ、良いから良いから!!あと、僕の名前は…キーユだ!うん。キーユ。}


 今、決めた感が凄いけど…。


 {あ、美春も…もうスライムだし、名前は違うのつけようか?一度決めたら変えられないから注意しろよ?}


 やたら馴れ馴れしい…。

 上から目線で…。


 しかも、私を弄んだ挙句、スライムの身体に転生までさせて…。


 [あの…。キーユさんは一体私に何をさせたいんですか?]


 {イイエ。別に何も望んではいない。美春が無事にこの異世界で生きていければいい。それだけさ?}


 彼氏でも何でも無いのに…。

 ただ同じ異世界から来ただけなのに。


 [そうですか。でしたら、私をこんな身体にした責任取って下さい!]


 {ハイ。ああ、サポートは抜かりなくさせて貰うよ。で、名前は決まったのか?}


 名前の話…してたんだっけ。

 一度決めたら変えられないって…。

 何かゲームみたいだ。


 [ミナ=ルナにする。]


 {ハイ。名前:ミナ=ルナ 設定しました。}

 {名前 の設定によりレッドスライムに進化可能です。}

 {進化しますか? (ハイ/イイエ)}


 [ハイ。だけどさ…?もう、私…進化しちゃうの??]


 {ハイ。進化:レッドスライム 開始します。}


 [デメリットとかないの?!]


 {イイエ。とりあえず、この異世界で色々とスキル獲得しないとな?}


 ハイ、イイエ。

 この返事は何なんだろうか…。

 ナビゲーターだから…?

 決まり文句で言っているのか…?


 {いいかな?もう。}


 あ…。

 また私が、スキル獲得の進行を妨げているのか?


 [ゴメンね。進めて?]


 全く…。

 こんなのんびりしていたら、敵から襲われそうだ。

 林の中に私は居るんだから。


 [あれ?]


 でも、私は気づいてしまったのだ。

 周りの景色が見えない…。

 周りの音が聞こえない…。


 触覚のみありそうだ。

 味覚も恐らく無いだろうな。


 {ハイ。どうした?ミナ。}


 [この身体…視覚、聴覚は無いの?]


 {ハイ。味覚もないぞ?しかも声帯も無いから声、出ないぞ?}


 スライムに転生したはいいけれど…。

 いきなり不自由な生活を強いられるのことについて、私は想像すらしていなかった。


 [私、どうしたら良い?]


 {ハイ。とりあえず、僕の言う事を聞く事だね。スキル獲得のアナウンス続けていいかい?}


 [はい!!遮ってスミマセン!!]


 スキル獲得アナウンスが終わるまでは、声かけたくても我慢する。

 今の私には、それしかできない…。

 無力だった…。


 {固有スキル:火球 獲得しました。}


 {無効:火属性 獲得しました。}


 {進化:レッドスライム 成功しました。}


 は!?

 もう、終わった?!


 [え…。それだけ…?]


 {ハイ。それだけだ。今から、頑張ろう。}


 [ど…どうやって動けばいい?周り見えなくて…。]


 {ハイ。意識集中してみな?この世界の生きるもの全てには、四大精霊の力が宿ってる。その元素を感知してみるところから始めようか?}


 [んんんんーっ!!]


 一向に元素を感知出来そうな気配もない。


 [んんんんんんんんーっ!!]


 {イイエ。あ、ゴメン!!僕がやるんだった!!ホント、ゴメンね?}


 はぁ!?

 今の私の集中した時間返せ!!


 {元素の感知を試みます。}


 {!閃いた!}

 {感知スキル:元素 獲得しました。}


 すると、今までが嘘の様だった。


 [私の周囲に緑、青、黄の色を感じる!!]


 {ハイ。緑は風、青は水、黄は大地、赤は火の精霊の元素だ。}


 もしかして、この色だけで判断しろと言うことだろうか…。


 [生き物はどんな色になるの?]


 {ハイ。大体は青と黄が入り混じったような固まりに見えるのがそうだ。更に、それが動いたりしたら間違いないぞ?}


 私はとりあえず、周囲に向け元素感知を行った。

 すると付近に、大きめな黄と青が入り混じった元素の固まりを感知した。

 その大きめな元素の固まりは動いている様に感じた。


 [あれは…生き物か?]


 {ハイ。恐らく、生き物だろう。}


 大きめな元素の固まりにそぉーっと、私は近づいてみることにする。

 こちらはスライムだ。

 相手が人間や魔物等の場合、そのまま行けば攻撃される危険がある。


 そこで私は、キーユと相談して水溜まりくらいの薄さになった。

 これで近づいてみる。


 ―続く―


――――

ここ迄の主な登場人物とステータス

――――

名前   :杉田美春→ミナ=ルナ

種族   :人間→スライム→レッドスライム

魔法   :なし

称号   :なし

二つ名  :なし

容姿   :肌【白→青→赤】、髪【焦茶→-】、頭部【-】、目【焦茶→-】、背中【-】、その他【身長160cm、体重50kg、バストD→-】

究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫

特別スキル:異世界ジャンプ

特殊スキル:無性受胎

固有スキル:擬態、取込、吸収、溶解、再生、火球

感知スキル:元素

無効   :状態異常、痛覚、火属性

耐性   :物理、温度

擬態   :杉田美春、????(ロック状態)

再訪先  :異世界28

――――

名前   :????→キーユ

種族   :スライム系→ナビゲーター

魔法   :不明

称号   :不明

二つ名  :不明

容姿   :肌【灰色→-】、髪【-】、頭部【-】、目【-】、背中【-】、その他【-】

究極スキル:傍にいる者≪ナビゲーター≫、引継ぐ者、閃く者、焚べる者、その他不明

特別スキル:魂転送、解析、オートモード、その他不明

詳細   :異世界転生者と思われるが不明。

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