第15話 三崎の課題

雅です。一木とともに家に帰ったら、一木がまだぼんやりしていて、二条くんに問い詰められたとです。

雅です。三崎からはなぜか探るような目を向けられたとです。

雅です。なんで一木には何もお咎めなしなのでしょうか。雅です。雅です……


しかしどんなにヘタれていても翌朝というのはやってくるのだ。

って、なんでテレビから懐かしのピン芸人のネタが聴こえてくるんだ?


「さて三崎、いつの間にテレビの使い方を覚えたんだい?」

「いやぁ、「この黒い板の使い道」を見たら結構面白そうだったからさ~。

 二条に頼んで使い方見てもらったんだよ」


ですよね。

しかし予想はしてたけどゴールを見つける「直感眼」と手段を見つける「理解眼」の組み合わせ強すぎるな。



ひーちゃんの助けもあり一木の活動方針は「自然に触れる」になりました。

二条くんももう一度碁会所につれていきたいし、三崎の課題まで見つかったら、

管理者権限/アドミン命令増やして外出自由にしたほうが良いかな~とか思っているところだ。


「しかし「直感眼」ねぇ。

 私の妄想脳を使ってもそこまで曖昧だと実際どう使えるのかさっぱりなんだよねー」


「何でもできる」ことは「何もできない」と同じようなものだ、と言うのはよく言う話。

「理解眼」「解析眼」はまだ縛りがわかりやすかったけど、

「直感」というひどく曖昧なものに対してどうアプローチしていくべきか。


「ぶっちゃけ俺もそこまで頻繁にこの眼を使ってたわけじゃないんだよな~

 ただ面白そうって思ったら使ってただけで」

「ん? 「魔眼の使い手」として大々的に使ってたんじゃなかったっけ?」


確か以前の説明ではそんな感じだったよね?

王子じゃなくて魔眼使いとしか見られていなかった的な。


「俺については事情が違うんだよね。

 見えたっぽい内容を適当に書き足したり書き換えて発表してたんだと思うよ」

「そうなの?」

「大体、未来がカンペキに見えるとか不気味っしょ?

 それに下手なこと見て言ったら国際問題待ったなしだし」


あー。不気味かぁ。確かにそういう扱いを受ける可能性もあるね。

他の2つと違って「直感眼」は結果だけが見える魔眼だ。

こっちの世界でも「1999年世界は終わる大予言」みたいなイベントが有ったらしいけど、

それに近い扱いになるってことか。


「確かに下手な目的じゃ使えないねぇ。

 前言った天気予報とか災害警報ならまだいけそうだけど」

「俺もあのアイデアはびっくりした。

 確かに! って思ったもん」


私の名誉維持のために、あれが苦し紛れのアイデアだったことは伏せておこう。

さて、そうなるとだな。


「三崎の課題、どうしよっか」

「え、もしかしてそれが決まらないと外に出られない感じ!?」

「いや、別にそういうわけじゃないんだけどさ。

 ただ目的なしに外に出て時間使うのどうよって思っただけ」


この三人の王子様はこっちの知識・技術に興味があって転生したはず。

私としてはできる限りその目的を果たしてあげたいのだ。

……そうだよ。目的聞いてない。


「三崎はなんで転生してこっちに来たの?

 そこの目的、まだ聞いてなかった気がするけど」

「う~ん、一木と二条だけ行って俺がいかないてのもなーってのと。

 あとはこっちの世界そのものに興味があったから、かな」


世界そのもの? またずいぶんと漠然としてるな。


「……あとは「自由」にも興味があった。

 俺、城の中じゃ自由に遊べなかったし、窓から見える景色か城の敷地しか知らないし」

「よし、外へ行こう今行こうすぐ行こう」

「ってどしたの急に!?」


そういう根本的なところは先に言え。自由の経験がほしいんだったらいくらでもくれてやるってんだ。


「三崎、お前の課題(仮)が決まったぞ。

 「外に出て課題を見つける」ことだ」


こうして、三崎と私の長い一日が幕を開けたのだった。

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