文化祭-1
どうしよう。結局告白ってなんだ?
昨日はその後、文化祭に向けた最終確認で三年生だけ残ることになった。清水がバイトで早々に帰ったので、俺は原田に相談しようと二人きりになるのを待っていた。
しかしその時は訪れず下校時刻になってしまったのでしぶしぶ帰宅した。家に帰ってからも何も思いつくことはなく、床についてもどこか落ち着かない気持ちで眠ることができず、寝不足でその日を迎えることとなった。
「大丈夫か鈴谷、あんまり眠れなかったみたいだな。」
原田の笑みを想像すると返事する気にもならなかった。早めに登校したこともあって部室には原田と俺しかいなかったが、今の原田に相談してもろくな回答は帰ってこないだろう。
「おはようございまーす。」
「おう、おはよう。」
清水がキッチンのほうに鞄を置きながら俺のほうを見る。
「鈴谷どうしたの?机に突っ伏しちゃって。」
「文化祭が楽しみすぎて眠れなかったんだって。」
「へえ、小学生みたい。」
散々な言われようだが清水に理由を説明するわけにもいかないので、なにか別の話題を振る。
「俺と清水は初めの1時間店番だったよな。」
「うんそうだよ。」
幸いにも俺は展示植物の解説、販売だけなのでこの体調不良の身でもこなせそうだ。
文化祭の始まる時間が近づいてきて、部室にも部員が集まってきた。俺は一年生が楽しそうに話しているのを聞きながら、ずっと突っ伏し続けていた。そうしてはいるものの仮眠をとることもできず、期待と焦りと不安の混ざったよくわからない感情でその時を待っていた。
その時、部室のスピーカーからマイクのこすれる音がした。文化祭の始まりを告げる放送だ。
「おはようございます。文化祭実行委員会です。文化祭を開くにあたって、委員会でもクラスでもクラブでもたくさんの苦労がありましたが、それらを乗り越えて無事文化祭を開催できたことをうれしく思います。今日一日、めいっぱい楽しみましょう!では葭山高校文化祭、スタートです!」
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