3日目 民営ギルドの続きと成り立ち、そして危うさ……

4.軍制があぶない

治安維持編

②ギルドが民営のケース


 さて前ページからの続きですが


 ・魔物の害に困った農民達が冒険者に依頼しようと頑張ってカンパをしました。

 ・まとまった額の金が集まったのですがツテがありません。

 ・だからマッチングに需要が生まれて、民営ギルドが生まれたんだと思います。


 はい瞬殺ー。俺だってな、やればできるんだよ。

 でも色々と勝手に沸いてくるので書こうと思います。随筆、随想なんで。だいたい上の3行だけあって読んで面白い? べつに面白くはないでしょ。そもそも面白がってるの俺だけ説あるけど。


 続き。強い冒険者へのツテがありません。

 どのパーティーに任せましょう。

 冒険者というのは定住してない。

 農村なんて通りすがりか短期滞在しかいません。辺境の農民達にはよくわかりませんよ。それに信用できるのでしょうか。

 賊だろうが大道芸人だろうが連続強盗殺人犯の集団だろうがコスプレイヤー集団だろうが、とりあえず強そうな衣装であれば全部同じに見えます。

 しかし暮らしの苦しい中みんなでがんばって集めた金。選択ミスは許されない。

 いや、そこで実際に強かったとしても担保がありません。まあ村に公正証人になれる役人ぐらいたまに来るものとして、請負契約書を結びましょうか。心を痛めているであろう村の牧師さんとかは神学校くらい行ったでしょ? 彼ならさすがに文字ぐらい書けるでしょう。

 それで、これ、だれが検収するんすか。

 俺が小学校でどうとくの時間寝ていた、倫理感のないすごい悪い奴だと仮定します。仮の話。

 俺が悪徳パーティーのリーダーで、討伐に村の検分役が同行してきたら、まずソイツを殺します。死体は毒沼のど真ん中とか魔物の巣の中とか、とにかく村人ごときにはとても立入れない場所に遺棄。

 村人には「守り切れなかった、本当にスマン……」とか演技します。遺族のために髪の毛くらいは持って帰ります。

 仕事はテキトーにやってすぐ帰る。時代はライフワークバランス。

 ゴブリンの巣をひとつ壊滅させる請負契約だったとしましょうか。100匹とか200匹くらい?

 実際に倒すのは弱そうなの10匹ぐらいでオーケーでしょ。早々にひきあげたら、リアルさを出すため、メンバーみんなで地面をゴロゴロ転がって擦り傷と服の汚れを作ります。それはなんて青春。いちおう倒した魔物のシッポも少し持って帰りますか。

 

 当然、村への被害は継続するでしょう。

 しかし言い訳はいくらでも効きます。不払いなんてもっての他。

 被害が止まない?

 そもそもの見立てが甘かったのではないんですかね。”巣穴”は“二つ”あったッ!!

 想定の倍以上の数がいたんですよ。さらに近辺はドラゴンの生息域で本当にやばかったんです。証拠? わかりませんよ、はぐれドラゴンかもしれませんし。なんなら現地を確認に行かれてはどうです? もっとも他の魔物に喰い荒らされた後で、僕らが倒した敵の確認は難しいかもしれませんねぇ。一晩たってますからねぇ。心苦しいです。


 ……酷い奴らですが、ほぼ詐欺師と気づいたところで金を払わずに済むでしょうか。性根がくさってるとはいえこんな奴らでも武装してますし、暴れられちゃかないません。もともと村人の命が犠牲にならないために集めた金です。ここで死人がでちゃ本末転倒なんで払わざるを得ないです。あっもう一人死んでるか。


 好きに書いてたらケーススタディに千文字かかりました。ま、魑魅魍魎が跋扈するファンタジー世界ですからこんなゴロツキは腐るほどいるでしょう。

 こうしたミスマッチを防ぐための紹介業ですと、相当の需要が見込めます。出会い系アプリの市場規模なんか目じゃない。あと命がけなんで、多少マージンが高くても許されそう。

 各地に窓口を置きたい事業者が現れ、勝ち残った権威ある民間ギルドのネットワークが形成されていったものでしょう。

 貴族としてはさほど悪いことだけじゃありません。民間ギルド窓口が増えるというコトで、併設されるであろう宿泊施設も増えてきます。官吏の派遣が容易になり領内集落の把握がもろもろ捗ります。戦闘職しか使わない道具類の流通もいくらか進むでしょう。

 なにより公営ではないので自分の腹は痛みません。贅沢ができる。


 しかし恐ろしいことが一点。

 貴族と民間ギルドの利益が衝突した場合、おそらく貴族側に勝ち目はありません。まあ貴族の血にも戦闘スキル持ちや魔法スキル持ちは多く生まれるようなんで、総合戦力は民間ギルドの冒険ガチ勢とほぼ同じと、一応しときましょう。

 とはいえ城下の最も栄えた繁華街を中心に全土にめぐらされた情報網と即応力。さらにギルド側には常日頃の民衆の支持と信用があります。貴族が平定しなければならない土地がめちゃ広いですね。さらに収税が行き届かなくなった地域から順に、その富はギルド側戦力に行くでしょう。長期化すると泣く。


 安いし中抜きもするが、まあまあ適正価格で死活問題を解決してくれるギルド。

 税を取り家内でわちゃわちゃ、魔族とか悪の帝国とか戦争状態起こしちゃう貴族。

 まあどっちがどんな相手を先に殴ったかじゃなくて、殴り合いしかなくなってホントに殴り合いになったらそこでもう政治の責任なんでちょっと気の毒。

 異世界一般人はどちらの肩をもつんですかね。いやー、結構愚直に教会とか女神に従順だからなあ、民衆同士でも割れるかな?

 なんかどう転ぶかわからん気がしてきた。


 貴族が実権を失うパターンとして、平民の支持がある軍事力に強く出られずにいるうち、ズルズルと外堀を埋められて気が付いたらあとがねえ! というのが結構ありますな。まあ配慮しないとヤバい時点で既に詰んでるんですけど。

 異世界貴族は超強気なのでやっちゃうでしょう。

 読みたいもの。異世界貴族ⅤS異世界民間ギルドの大決戦。


 次は貴族の軍隊の選手層うすすぎじゃねとか書きそう。ただギルドやスキルに関わる色んなディレンマが関係しているように思います。ここまでの内容とまったくの無関係では多分ない。かなり仕様かも。






 

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