2日目 やっぱりギルドは民間が良い??

4.軍制があぶない

 治安維持編

②ギルドが民営のケース


 多くの貴族は治安維持(魔物・賊対策)にギルド、傭兵募集業を許認可しておりその上、依存してね? と前頁で述べた。

 ただ現金がどんどん出て行くから怖いとも言った。

 いうて、自前の貨幣に信用があるのはスゴイ事です。

 さらっとやってるのがキュート。

「俺なんかスゴイ政策やっちゃってました?」

 ってじつのところ貴族も、無自覚系活躍をしてるの。こういうトコもちゃんと見てあげて。


 ギルド民営のハナシだった。

 同業者組合は貴族にとって、ぶっちゃけ、おもしろくない存在である。

 なぜなら権利を主張しだす前フリでもあるから。

 ただしコレは異世界の話なので、我々の世界と同じような経緯でいわゆる冒険者ギルドが発展したかと考えると、あまり面白くはない。


「うちの畑がゴブリンの夜盗に毎夜荒らされて、困ってんだよ」

「うちの灌漑路がワームに荒らされて田が干からびた」

「冬がこせねーよ……。どうしよう」

 って第一次生産者が、戦闘職を頼り出したのが始まりと思われる。

 

 彼らは農民とか漁民なので、戦えない。

 異世界では戦闘職と非戦闘職の色分けがかなりハッキリしており中間はほぼない。だって生まれつきのスキルやジョブ、ステータスがあんだから。当然、偏りが出てくる。まあ村の力自慢とか喧嘩自慢ぐらいならいるだろう。村どうしで水争いとか、祭りの喧嘩とかあるから。しかし所詮はちょっと他より腕力のあるモブ。

 そんな人数を集めたところでモンスターの群れに勝てるのか?

 大いに疑問、いや絶対ムリだ。

 当然の帰結として

「プロに頼もう」

 ということになる。そりゃそうだ。みなさんも水回りのトラブルの時用のアレ、水道屋さんの電話番号マグネット、なんだかだで冷蔵庫に一個貼っとくでございましょ?

 仕方ない、少しずつみんなでカンパして依頼料にしようか、という流れになる。村長とか長老ポジが金を集める。


 ただ常識的に考えれば、農民も漁民も現金はあまり持っていない。

 本業で現金が稼げない。現代みたいに、収穫を現金に換えてくれる農協や漁協はないのだ。

 余った穀物や魚を町行って売ってもいいけど、いわゆるヤミ品になってしまうし、バレようものなら翌年からは課税爆上げとか農地没収とか。悪役貴族ならやる。

 そもそも加工するだけの施設と手間暇、結局は余裕がないと生鮮品なんか物流ラインに乗らないんですね。


 ということで、

 作業ができない夕方以降の、わずかな内職の成果。

 子供でもできるぐらい安全なトコの、わずかな原料採取。

 罠設置でとれる害獣の、わずかな皮革。

 どうせこの程度が、細々とした直接の現金収入である。商人が現金で買い取ってくれるのこんなもん。しかも足元みられて超激安買取り。安くてもみんなやらざるを得ないから。

「貧しい俺らだけど、いつか息子か娘が教会で式をあげるときくらいは、立派な服を着せてやろう」

 みてーな想いで、少しずつ貯めてる涙の現金を切り崩すのだ。ほんと涙でてきた。ていうか書きながら自分で泣く人いる? 一緒にドッグセラピー行こ?


 さて、ここで「いや、領主にたのめば?」と思った人もいるかもしれない。

 それはちょっと違う。むしろ全然ちがう。

 このタイミングで颯爽と登場して問題を全部解決しちゃう貴族は、『暴れん坊将軍』とか『水戸黄門』的存在である。それかファイアーエムブレムの人。普段からしっかりしてるタイプ。

 残念だがジャンル違い。俺が愛でたい貴族じゃない。

 そりゃ将軍なんて武家のトップオブトップだし水戸光圀はOBだけど超カリスマで組んだパーティーだし、異世界ならもうカンストしてるレベルだろうけど、違う。

 それにいうほどノベルで読みたいかい? それ。殺陣は映像で見たくない?


 それまくって長くなって、この第3項が全然終わらない。

 民営ギルドの話に戻す。

 いいか、俺は何回でも戻すぞ。

 

 

 

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