第2話
二人は結婚し、ボロアパートで生活を始めました。夏に、馬子に良く似た女の子が産まれました。
寅子と名付けました。
母は会いに来ましたが、孫を見ても抱き上げもせず、色が白いね。とだけ言って帰っていきました。
産後の肥立ちが悪く、寝ていると、昭彦が仕事から帰ってきて、料理を始めました。
這うように台所に行き、ごめんね。と声をかけると、目玉焼きを焼いていた熱々のフライパンを馬子めがけて思いきり投げてきました。
昭彦は、寅子が泣くと、うるせーとどなりつけ、馬子が少しでも言い返すと、髪をつかんで引きずり回しました。
成人式にも行くことを許されませんでした。
少しして、長男の龍成が産まれました。大好きだった父の名前を一文字もらいました。
昭彦はギャンブルにはまり、家にあまり帰ってこなくなりました。
そして馬子名義でたくさんの借金をつくり、離婚。こども二人は昭彦にとられてしまいました。
こどもをいつか取りかえそう。そう思い、スナックや、車の携帯販売でお金をたくさん稼ぎました。毎月借金を返し、こどもたちと離れてから数年後、ようやく寅子に合わせてもらえました。
寅子は昭彦に似て、目がぱっちりした女の子に成長していました。
最初自分を見たとき、覚えていないようでしたが、すぐに、おかあさん。と呼んでくれました。
寅子は学校で問題ばかり起こすし、女の子だからこれからどう接したらいいのかわからない。と昭彦が言うので、寅子だけ引き取ることになりました。
寅子を引き取る少し前に、スナックで知り合った不動産業で働く拓郎と結婚していました。
三人の生活が始まりました。寅子は全く拓郎になつきませんでした。
数年後、次女の風子が産まれました。寅子は風子をとても可愛がりました。
この頃から、拓郎は肝臓を傷めて、家にいるようになりました。
馬子は、11才の寅子に、風子の子守りをさせて、家を空けるようになりました。
そしてある日、明日出てくよ。と言い、荷造りを始めました。
明日は拓郎が病院に行く日でした。
拓郎が出掛けると、すぐに村ちゃんという、馬子の職場の同僚がきて、引っ越しの手伝いをしてくれました。
引っ越し先のボロアパートで、村ちゃんも一緒に住み始めました。
数年後、次男の薫が産まれました。
少しして村ちゃんも働かなくなり、家に毎日いるようになりました。
馬子は、朝、身支度をしている寅子に、わたし今日出てくから、今まで貧乏させてごめんね。とたばこをふかしながら言いました。
そして出ていきました。
寅子もすぐに出ていきました。
村ちゃん、風子、薫が家に残されました。
馬子は知り合いの女性の畑の仕事を住み込みで手伝いました。しかしすぐにトラブルが起き、追い出されました。
小さなアパートを借り、住み始めました。
そこに風子と薫もきて、三人で住み始めました。
その頃知り合った役所で働く男につけまわされ、馬子は拒食症になり、体重は30キロ台にまでなりました。
つらそうな馬子を助けてくれたのは同い年の前橋さんでした。
前橋さんの家業を手伝い始めました。
前橋さんは、40代で独身でした。年老いた両親に、あの女はうちの財産を狙ってる。もう会うな。と言われ、その通りにして、二人は会わなくなりました。
馬子はこの頃から下剤を大量にのみ、夜は睡眠薬がないと眠れませんでした。
ろくに食べ物を口にせず、ずっとお酒を飲み、風子や薫に当たり散らしました。
高校は義務教育じゃない。という理由で、高校から奨学金を借りていた風子は、大学生になって少しして、家を出ました。
家に薫しかいなくなったので、常に薫の行動を監視しました。
帰宅が遅いと、電話をかけ続け、わめき散らしました。
薫も、大学に入って少しして家をでました。
馬子の頭には五個のハゲができました。
ホームヘルパーの仕事をしていたので、帰宅後はお酒を飲みながら、職場の人と電話をしてすごしていました。
トイレにも、お風呂にもお酒を持っていくようになりました。
夜がふけると、お酒でミンザイを飲んでいました。
そしてある日、そのまま目を開けることはありませんでした。
税金とりすぎじゃないですか。神様
美人の税金 まりう @atorako
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