ー第1章ー 1-1
ガラクタだらけの荒野に、名も無い1人の絡繰り少女が自分の仕事をしていた。
投げ捨てられてくるガラクタを、物事に分けて山のように積み上げる、終わりのない仕事。普通の人間であるならば、とっくに飽きている頃だろう。
だが少女は絡繰り人形である。何を考えることもなく、決められた仕事を淡々とこなす少女は、ピクリとも表情を動かさない鉄の仮面をしていた。
積み上げたガラクタの山に、またガラガラとうるさい音を立てながら新しいガラクタが空から降ってくる。
「...またやり直し。」
少女は不満を漏らす訳もなく、先程と同じ作業を同じようにやり始めた。そこで崩れ落ちたガラクタ山の中から、古く灰を被った1冊の本が少女の目に留まる。
少女は文字が読めない。だが、何故かその本には少女は惹かれた。手に取り、灰を払ってよく見てみると、汚れた本の表紙は微かに青色を残していた。しかし少女はそれが何か分からなかった。
「文字が読めたらなあ...」
少女は初めて、何かに強く想いを抱いた。初めて少女の歯車が狂った。
その時、ガシャガシャとガラクタの山を踏み歩く音が聞こえてきた。不意に少女はその音がする方へと目を向け、再び崩れ落ちるガラクタの山から顔を表したのは、ボロ布を纏うなにかだった。
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