犯人はリップクリームだった
小学五年生ぐらいのころ、リップクリームを集めるのが趣味でした。
かわいいんですよ。パッケージもさることながら、容器の形もものによってはキャップに飾りがついていたり、丸みを帯びたタイプのケースはころんとしていてなんともかわいい。ベーシックなタイプはデザインもシンプルかつお洒落だったりして。
見ているだけでも楽しいのに、さらに素敵な香りも付いているわけです。お菓子の香りなんてものがついてしまっていたらもう。レジです。香りものが好きだったんですよねえ。ねりけしとかも集めましたねえ。収集癖を持ちがちな平成の女児には刺さりまくりでした。
夏でも冬でもいつも唇ががさがさしていたので、趣味と実益を兼ねているのだ!と思っていたし母もちょくちょく買ってきてくれました。ところが。
リップクリームを塗っても塗っても唇の荒れが治らないのは、まさにその大好きなリップクリームのせいだったんですね…
本当に四六時中かさかさしているものだから、居間に一本、部屋に一本、学校へ持っていく筆箱の中に一本、リップクリームを常備していました。
筆箱に入れていたのは、ポケットだと忘れたり洗濯するのに出し忘れたりするからでした。ただ筆箱に入れたものは徐々に汚れてしまうので、前述の三本のうちどれかがなくなれば、一本新しいのを開けたらそれを部屋に置く用にして、部屋用だったのは居間に、居間のは筆箱に、とお下がり方式にしていました。
一本使い切るたびに、つぎはどれを開けようかな、ってわくわくしていましたねえ。居間にあるのがいまチョコレートの香りだから、いちごのを開けて順に使ったらいちごチョコになるかもしれない、みたいな。この、昔のリップクリームについていたいちごの匂いが好きでした。いちごつみの匂い。アンパンマンチョコみたいな裏側を剥がして開けるパッケージの、いちご棒チョコが三本くっついているあの商品と似ているいい香りだったんですよ…
そんなふうにしてずーーーっと使っていたのになんにも気付かないという。リップクリームが原因だったとやっとこ気付いたのは、たぶん六年生になってからです。
その昔、ガチャガチャの景品で化粧品があったんですよ。ミニサイズのネイルカラーやリップカラーが入っている。かわいいんですが、すごい匂いがするんですよ。クレヨンみたいな。
で一回やったらリップカラーが出て、わーい!って塗ったら皮膚科送りになりました。肌に合わなくて水ぶくれみたいなのができてしまったんですね。
で病院でもらった薬を塗ったら、水ぶくれどころか唇の荒れも綺麗につるんと治ってしまって。ここでようやくもしかして、と思うわけです。そしてその通りなわけです。現在は夏場はもうなにも塗らなくても大丈夫になりました。
でもいまだにリップクリームが好きなんですよ〜〜〜〜なのでたまに買ってきて使うんですけどやっぱりだめなんですよね〜〜〜〜〜悲しい〜〜〜〜めちゃめちゃ悲しい〜〜〜〜〜
しかし冬場はやっぱり乾燥するので、今はいろいろ試した結果白色ワセリンを愛用しています。薬局に売っているジャーに入っているやつ。ファミマのようなカラーリングの。
なにも問題なく使えているのですが、やっぱりスティックタイプだったらいいなーと思います。ご多分に漏れず口紅、リップカラーも使うとほぼだめなのであんまり使わないのですが、リップスティックを唇に引くことは好きです。うにうにと口を往復させて、体温で成分が溶けて唇が覆われるのが、なんとも言えず心地良いのです。
ワセリンは気温でだいぶ柔らかさが変わってしまうので、難しいとは思うけれども、ワセリンだけスティックがあったら嬉しいなーとちょっとした夢を見ています。
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