となりの部屋の住人




 賃貸に住んでいるので、壁のむこうには隣人が暮らしています。当たり前なんですけども、不思議だなーと思ったりもします。


 うちはまあ安普請なので、となりの部屋の物音がフツーに聞こえます。アラーム・聞こえる、テレビ・場所によって聞こえる、床にコロコロをかける音・めっちゃ聞こえる、ぐらいの壁の薄さです。

 実家でおかんが居間に掃除機をかけてるのが部屋から聞こえるレベルで聞こえる。なのでなんかこう、妙な安心感があります。ああ人がいるな、という。

 昔に、一人暮らしをしていた友人がテレビを付けっぱなしにするので、なんで?と聞いたら、人の声が聞こえてほしいんだよね、と言っていました。これだなあ、と思います。

 しかしこれだとこっちの音も筒抜けなので、ひそひそと暮らしています。ヘッドホンは耳が痛いのでイヤホン派です。


 で、隣人の話。

 部屋が安普請なうえに変な造りなので、部屋の中から隣の部屋の窓が見えます。夜になるといるかいないかわかってしまいます。


 隣人は夜に働いているようで、私が寝る頃に帰ってきます。なのでこう、今日もお疲れさまでした。そう思いながら就寝します。

 たまに遅くまで帰ってこないとちょっと気になります。忙しんかな、とかなんでしょうか妙に気になってしまいます。まだ会ったことはないのに。


 なんでこんなに気にしているかと言うと、隣の部屋は人の出入りが激しかったんですね。早いと2週間、長くて2ヶ月ぐらいで住人が変わって、ポストにテープが貼ってあったりする。それが何度もあったのちの、ようやく半年ぐらい隣人をしている隣人なのです。


 道へ出る前の敷地の中に墓場はあるし、木造なので家鳴りがするためあれかな、事故物件だと思われてみんな出てっちゃうのかな、と少ししょんぼりしていたので妙な嬉しさがあります。あんまりにもすぐいなくなるので、もしかしたら家鳴りではなくてマジなんでは…?といっとき怯えていましたが、それも杞憂だったようです。


 休みの前の日に夜ふかしをして本を読んだりしていると、隣人が観ているテレビや動画の声が聞こえてきます。そこそこ聞こえます。声が男女かどうかぐらいは確定です。

 で、その中のひとつに対してずっとこれなあ、なんだ、たぶん聞いたことあるな…?と思っていたんですが、こないだ妙に音量が大きい日があってわかってしまいました。ゆっくり実況でした。もう本当に実家。


 実家を出るのは二回目です。前回はほぼ十年前でしたので、やっぱりどっかでさみしいんでしょうか。子どものころのように、またハムスターとか飼いたいな、と思っています。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る