第2話 マルティナの紹介





サングラニト王国指定の勇者パーティーから追放され、心晴れやかに王都の街を歩いていた。



これで、もうひとつのティーレマンス王国の勇者パーティーに専念できる。


いや、あそこでの扱いは特に散々なものだから、一層追放された方が自由に人助けができるな。




と、そうでした。

いきなりの追放でみなさん(読者)に紹介が遅れましたが、ここで私のことを話したいと思います。




私は、マルティナ•プリズム。

15歳、男性。


体重:90キロ

身長:177センチ



ミーシアが『デブ』と言っていた通り、確かに私は太っている。


※顔にはそこまで肉はついていなく、そこそこ整っていると思う。

痩せればイケメンとよく言われるし•••。



ただ、これは私のスキルによるものだ。






◇◇◇◇◇◇

スキル

•脂肪蓄積

•脂肪分解

•異世界料理スキル

•異世界料理レシピ(随時更新)

•亜空間収納(無限)

•千里眼(使用時は体重消費•小)

•各種剣技(使用時は体重消費•小)

•魔法全適性(使用時は体重消費•中)

•魔法付与(使用時は体重消費•中)

•転移(使用時は体重消費•大)

•リミット解除(使用時は体重消費•特大)

◇◇◇◇◇◇




◇◇◇◇◇◇

Lv67

HP:2,060

MP:0

体重:90キロ(最大)

身長:177センチ

◇◇◇◇◇◇







スキルと能力を見てもらえば分かる通り、私にはMPと言われるものがなく、全て体重(脂肪)を消費してスキルや魔法を使う。



『脂肪蓄積』スキルのお陰で、人より太りやすい体質で、1,000キロカロリーで1キロ太る。



貯めた体重を『脂肪分解』スキルを利用して、他のスキルや魔法に体重を割り当てて使用しているのだ。



因みに、Lv67はこの世界では群を抜いて1番だと思う。

この世界の人間平均はLv20程で、冒険者ランクでいえばC相当がやっとだから。



それと、私はたくさんのスキルを持っているが、普通はスキル持ちは稀だ。



なぜ、私がここまで強く、スキルを有しているのか、理由はっきりとは分からないけど、恐らく授かっている加護のお陰だと思っている。






◇◇◇◇◇◇

加護

《悪神の友達》→究極の依怙贔屓

 •悪神から強者のプレゼント

 •Lv上昇でスキル追加

 •悪神が気が向けばスキル追加

 •悪神が気が向けば能力強化

 •何かあれば悪神が助けるかも

◇◇◇◇◇◇






もう察している方もいると思うけど、この世界で加護持ちも稀だ。




そうそう


加護とスキルの話をしていたので『勇者』について触れておくと、別に『勇者』の加護やスキルがこの世界に存在している訳ではない。




ただ単純に、私が強いから『勇者』と言われているだけだ。


まあ、正確には戦果を挙げても戦うところを見られていなかったため、強いだろうから、ってことになるのかな?





紹介も済んだところで、私はティーレマンス王国に向かう準備を始める。


ティーレマンス王国までは馬車で5日間かかるため、サングラニト王国には当分戻れない。


そのため、お忍びでお世話になっている冒険ギルドに顔を見せてから向かうことにする。




『転移』スキル持ちなので、これを使用すれば一瞬で移動は可能だが、体重20キロ分消費するのだ。


転移先で戦闘になり、他のスキルを使うことを考えた場合、安易には使えない。




あと、非常に大事なことだが、私は決して大食いではない。


人並み以上には食べれるかもしれないが、無理しても1日に5キロ太るのがやっと。


だからこそ、体重消費の大きなスキルは簡単には使えないという訳だ。






みなさん(読者)に説明しながら10分程歩いていると、冒険者ギルドに到着した。


王都の冒険者ギルドということもあり、横に広い3階建の石造で綺麗な外観をしていて、まるで大貴族の屋敷のようだ。




冒険者ギルドの重厚な扉を開けると、中にいた男女十数人の冒険者が一斉にこちらを見てくる。


屈強な体格をした冒険者、綺麗な魔道服を纏った冒険者、様々な冒険者がいるが、みんな私を見る態度は一律だ。




「マルティナ様!!」

「師匠ー!!」

「兄貴、久しぶりです!!」

「お兄様、お元気でしたか??」




そう

みんな私のことを慕ってくれている。


ここにいる冒険者は私に助けられた人が多く、師と仰いでくれたり、兄貴やお兄様と呼ばれたり、いつでも温かく迎えてくれるのだ。



「マルティナさん、今日はどうされましたか?」



顔馴染みの受付嬢、ミナさんがこちらに駆け寄り、話掛けてきた。

ミナさんは所謂美人受付嬢であり、スタイルもよく、明るく気さくで、とても魅力的な人だ。



「はい。訳あって、しばらくこちらに来れないかもしれないので、挨拶にきました」


「そう、なのですか•••」



ミナさんは寂しそうな表情を浮かべたが、すぐにいつもの笑顔に戻って話してくる。



「仕方ないですよね。この国の勇者なんですから」

「え、え〜と、それがですね•••」



「マルティナ、何を暗い顔をしている?」



どう説明しようか悩んでいた時、ギルドマスターのセリアさんが2階から降りてきて、私の顔をまじまじと見てきた。


セリアさんもミナさんとは違う雰囲気の美人さんなので、顔を近づけられて少し慌ててしまう。



「ここではちょっと•••」



私がそう言うと、セリアさんは直ぐに察してくれ、私とミナさんを連れて2階のギルドマスター室に案内してくれた。


そこで、今日あった勇者パーティー追放のこと、ティーレマンス王国に向かうことを話した。




「な、な、何ということだ•••」

「この国は終わりました•••」



セリアさんとミナさんは、その場で頭を抱え込んだ。



「大丈夫ですよ。それに、これまで通りお忍びでギルドの活動もしますし」


「本当に!?」

「本当ですか!?」


「本当です」


「「やったーーー!!」」



2人は手を取り合って喜んでいる。

こんな2人が勇者パーティーのメンバーだったら、追放になんてならなかったんだろうな。



「では、女性のマルティナとして、これからもよろしく頼むわね」


「はい」




セリアさんが今言った『女性のマルティナとして』、これがお忍びと言っていた訳だ。



勇者パーティーの活動とは別に、冒険者として活動していた私は、王国から無駄な詮索をされることを避けるため、性別を偽っている。


別に勇者パーティーと冒険者活動の併用は禁止されていないが、この国の国王様は脳筋のため、冒険者と知られればとことん話に付き合わされそうだからだ。



それなら偽名を使えばと思うかもしれないが、この世界は契約の取り交わしが頻繁に行われるため、偽名ではまずい。


契約には名前と掌の認証が必要で、性別は特に関係ないため、女性として登録している。



ギルドカードに性別は表示されないし、表向きはバレない。

万が一バレても、登録ミスはたまにあるそうで、心配するなとセリアさんは話してくれた。





それから他愛のない話をして、私は冒険者ギルドを後にした。








★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★



本作の登場人物の新たな物語を作りました。



【タイトル】

歳を取らない姉妹

〜国外追放・チート魔物、色々あるけど、寿命スキルで乗り切ります〜



是非、ご覧いただけると嬉しいです。

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