第6話
数時間かけてたどり着いた山奥の小学校は近隣の村の子供を受け入れていた小さな、しかし田舎にはありがちなごく普通のものだった。
「山の中なのに船、ねえ。不思議な名前。この小学校、母体になったのは寺子屋みたいなものだったのよね?山の中で海にも大分遠い。ざっくり江戸時代にできたとしても中々海になんて行ける距離じゃないのに」
「それを調べるのも任務の一環なんだろ。まあ起きた事件からしてくねくねの類型怪異なんだろうけどな」
いまだ残っている小学校の名前が書かれたプレートを見て首を傾げる雫を置いて、多少古くなっている鍵をガチャガチャ鳴らしながら開けた。電気と水道はかつてここを利用していた村の人々の提案で通っており、廃校になったとはいえ時折利用されてもいるためか想像していたよりは綺麗な状態が保たれていた。送ってくれた運転係も麓に帰っており、明後日の期間予定時間まで風呂以外では実質外出することはない。田舎故か温泉があり、今回はそこで入浴を済ませられるだけ比較的ましな任務と言えた。
ガタガタする引き戸を幾つか開けて、事前に掃除して宿泊できる状態にされている部屋に荷物を下ろしつつ、調査課の事前資料にあったこの周辺で起きた事件の概要を廃校になった間接的な原因と仮定して雫に伝えるべく、口を開いた。
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