王都編
第1話 異世界
目を覚ますと俺は、お城の玉座のような場所にいた。周りにはクラスメイトもいる。パッと見全員いるな。
奥の方にはローブを着た魔法使いのような人が10人程度。そのさらに奥にある玉座に30歳ぐらいであろうイケおじが座っている。30はおじさんか?
何はともあれ、恐らくコレ異世界転移ってやつだな。細かく言うのならクラス転移に該当するだろう。
となるとあの魔法使い達が俺たちを召喚したのだろう。そして玉座に座っているのが多分この国の王様的な人。
一見落ち着いているように見えるだろうが、正直結構混乱している。俺は異世界物のアニメやラノベは大好物だが、自分が異世界に行きたいとは思っていない。いきなり知らない世界で殺し合いしろと言われても困る。ただまあ、焦っても仕方ないので冷静に状況を整理する。
俺の経験から言うに、クラス転移って良いイメージないんだよなあ。戦争に利用されたりスキルが弱くて追放されたり。
そもそも状況が悪いのだ。こっちの世界の人間が召喚した時は元の世界に帰れない可能性が高いし、戦うための
まあ文句を言っても仕方ないし、どうにかして生き残るしかないか。死んだら終わりだしな。さくせん:いのちだいじに
そんなことを考えていると、ふと周囲から視線を感じた。嫉妬の視線を向けてくる者と温かい目で見てくる者の2パターンだ。
「お~い、優人~」
「ん?」
何かと思って声のした方を見るとそこには困った表情をした凛がいた。なんだなんだ。こいつなら異世界キマシタワー!とか思ってそうだが。
「そろそろ手放してくれない?」
「ん、ああ、悪いな」
そういえば転移する前から握ったままだったっけ。てか、さっきの視線の原因はコレか。というか温かい目で見てた奴、放課後校舎裏な。
「優人ってば意外と力強いから中々離れなくてさ~」
「スマソスマソ」
俺はパッと見結構細身な方だが、体はそれなりに鍛えてるためそこら辺の運動部くらいには力がある。運動神経は並だけどな。
俺が手を離すと視線は無くなった。と思ったら今度は別の方に注目が集まる。
周りの視線を追うと王様?が玉座から立ち上がりこちらに歩いてくる。その佇まいは堂々たるもので、クラスメイトの何人かはオーラに気圧されている。俺も少しびっくりした。隣の凛はなぜかケロッとしているが……。
服の上からははよく見えないが、恐らく体は相当鍛えられている。その歩く様だけで体幹の強さが分かる。それに、俺の筋肉センサーもバッチリ反応している。近接戦闘ならこの中の誰よりも強そうだ。
「ご苦労だった。下がっていいぞ」
ふむ。どうやら言葉は俺達にも理解できるようだ。たまに一から言語を習得しなければならないハードモードな異世界系もあるからこれには安心した。というか王様イケボ過ぎて。声優に引けを取らないレベル。二次元において声が良いのはデフォルト設定だからなあ。羨ましい。
王様の一声に従う魔法使いたち。見た感じかなり従順そうだ。いやいや従っている者はいないように見える。王様は俺たちの方に向き直り口を開いた。
「ようこそ、異世界の者たちよ。歓迎するぞ」
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