第39話 おっほぉおお!って鳴く人 登場

 俺とエロいことしてくれるの確約済みエルフちゃんのタマリエルと思わぬ再会を果たしたんだけど、再会したのはタマちゃんだけじゃなかった。


「出やがったな! 邪悪なオーガめ!」

「……く……っ! ……だ、大丈夫……負けたりなんかしない……っ!」


 俺の元からタマちゃんを連れ去っていった光の戦士と聖女見習いも一緒だ。

 なんだ?

 もしかして、俺とタマちゃんの別れの嘆きを憐れんで、返しに来てくれたの?

 愛する2人を引き裂く権利なんか誰にもないと心痛めた?

 いい奴らじゃん!


「なるほど、アレク殿。あれがクリムゾンオーガで間違いないのだな?」


 そう言ったのは俺の知らない奴だ。

 白とか銀でピカピカの重装鎧をまとった女の子。

 女騎士ってやつか?

 くっ、殺せ! ってよく言う人。

 からの、おっほぉおお! とかよく鳴くと聞く。

 古の伝承は本当だろうか?


「赤きオーガ様! ようやくまたお会いできました……! この時をどれほど心待ちにしていたことでしょう!」


 タマちゃんは完全に目が♡状態。

 俺は今ほど転生できて感謝したことはなかったね!


「くぅ……っ! こんなにかわいいエルフが俺をここまで慕ってくれるなんて……! 夢みてえ!」

「……そうかあ? あのエルフ、そこまでかわいくはないだろう」

「! お前なあ!? タマちゃんになんの文句があんだよ、ああ!?」

「乳に慎みがない」

「ええやないか! 最高やろがい!」


 俺の横から闇エルフが腐すので、俺は顔真っ赤にして怒鳴った。

 こいつは、ほんとに……!

 人の好みにケチつけるとか価値観の否定やぞ! そういうの嫌われるんだからな!?


「オーガ様! あ……っ!」

「だ、ダメよ、タマリエルさん……! 行っちゃダメ……! お願いだから……近寄らないで……!」


 タマちゃんは俺に駆け寄ろうとするも、すぐに聖女見習いに抑えられてしまう。

 光の戦士がタマちゃん達の前に立って、俺を睨みつけてきた。


「いい加減、彼女にかけた洗脳を解け! 人の心をもてあそぶのはやめろ!」

「お前ら、タマちゃんを俺の元へ返しに来てくれたんじゃねえのかよ!? 鬼! 悪魔!」

「ね、ねえ、メリルさん? どうして、この子までこの場に連れてきたの? わたしも……そ、その、全然洗脳が弱まっていないみたいなんだけど……」


 聖女見習いはそう問いかけながら、顔を真っ赤にしてタマちゃんを抑え込んでいる。

 メリルというのは女騎士のことらしい。


「それはこのクリムゾンオーガの洗脳か呪いか……ともかく、それを解除するには、本人が受けた呪縛をクリムゾンオーガ本体に直接返さねばならぬからだ」

「? どういうことだ、メリル?」

「我が神の教えの1つにそういうものがあるのだ、アレク殿。受けた呪いを術者本人に返す法が。ただ、術者と被術者が近くにいなければそれは発動させられぬ」


 女騎士は聖印のような物を首にかけている。

 ただの騎士ではなく聖騎士とかそういう神様系の騎士なのか?


「我が神の教えがあれば、クリムゾンオーガの洗脳は直せるし、弾き返せる。あとは純粋に力でねじ伏せるのみだ」


 女騎士が剣を構え、俺は剣呑な雰囲気を感じた。

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