第36話 みんな大好き! わからせタイムの時間がまたやってきたよ!

 ニヤニヤ笑いの冒険者達、大うけ!

 爆笑につぐ爆笑!

 よせよ、俺、そんな面白いこと言っちゃいました?


「ただじゃぁ済まねぇってぇ? じゃあ、俺たちゃぁどうなっちまうのかなぁ?」

「ふへへ! 怖いな。怖くて怖くてナイフもった手が滑りそうだ」

「……くっ、この下賤な人間風情が……私に気安く触れる身分でもないくせに、身の程を知れ……!」

「ふへへ、ガキが!」

「ぎ……っ!」


 ニヤニヤ笑い達のつま先が倒れているデスメソスの鼻面に入る。

 赤い血の花が咲いた。


「おら、もう一度舐めた口ぃきいてみろよガキィ」

「ぶ……っ……ぐっ……!」

「泣いてごめんなさいっていうまで蹴るのやめねぇぞぉ?」

「ひ……ぐ……も……やめ……」

「ごめんなさいはぁ?」

「……うぅ……がっ! ……わ……」

「なあ? お前らだけで遊んでる場合か?」


 ゴゴゴゴゴ……。

 俺はニヤニヤ笑い達に問いかけた。


「お前らは俺を殺したいんじゃなかったのか?」

「ふへへ! そうだ。だから、お前の聞き分けがよくなるように仲間を痛めつけてやってたんだろうが。それで、こいつの指の2、3本でも切り落とせば、もっと俺達に敬意を払って敬語で話すようになる。だろ? それとも、まだ足りないか?」

「わかった。降参する」


 俺、即答。


「……なにぃ? 本気かぁ?」

「ふへへ、早速聞き分けが良くなってくれて助かるな!」

「……な、なんのつもりだ? 貴様……え? 私を……ええ?」


 鼻血で汚れた顔に戸惑いを見せる闇エルフ。

 俺は降参したと言いつつ腕組みをし、威圧的なポーズで奴等に立ちはだかった。

 ゴゴゴゴゴ……。


「おいぃ……降参したんなら俺達に手を出すんじゃねえぞぉ」

「約束してやる。手出ししない」

「ふへへ! そして俺達には敬語で話せ、くそオーガが」

「ところでお前ら、予習はしなかったのか? 怠惰な奴らだ」

「敬語ぉ! ……あぁ? なんの話だぁ?」

「俺は手出ししないと言ったんだぜ?」

「はぁ? だからなんだってんだぁ?」

「俺が手を出さないと言った時……すでにチソチソは出し終わっているんだ!」


 ばぁーん。

 俺はこの最中に自然な形でフルバースト状態にまでもっていったチソチソを、珍妙なポーズでアピールタイム。


「げぇ、変態かぁおめぇ……」

「ふへへ! こいつは頭がいかれてるようだ」

「……フルバースト状態のチソチソが急速に萎えた時、チソチソがあった空間は虚無の真空状態となる……フルバースト・リバース!」


 ガオン!


 そんなチソチソがしぼむ音と共に、俺の傍にはデスメソスが引き寄せられている。


「なぁ!? なぁんだぁ!? なにが起こったぁ!?」


 踏みつけていた人質が、何の挙動もなく瞬時に足元から消えたことにニヤニヤ笑い達は笑いを引っ込めた。


「……貴様……私を助けた……? ……え? 好きなのか?」

「黙って、その汚い血まみれの顔をどうにかしとけ! ……さて、今度はおめーらのわからせタイムみてーだな」


 最早ニヤニヤ笑いを失った冒険者達に、俺はニヤリと笑った。

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