第34話 俺ちゃん、なんにもわかってない奴にキレそう

「9号機! お前というやつは……!」


 フレッシュゴーレム達の作り主である中年魔法使いは血管ブチギレ状態で喚く。

 無理もねーけど。

 このゴーレム、仲間のフレッシュゴーレムをぶち壊して、自分が最強になるとか言い出したんだから。

 完全に仲間割れ。

 自律的に行動や判断ができる分、このフレッシュゴーレムはコントロールするのが難しいってことか。


「お前がチソチソを装着する必要はない! そんな形態は望んでいない! 許さんぞ! 少女の体に最強のチソチソを接続するなど、断じて許さん! それは世界のバランスが崩れる行為だ!」

「……我は最強を目指すよう設計されている……最強のチソチソを欲するのは基本設計理念に沿うものと判断……対象のチソチソをさいつよと認定……モード『はっ、はっ、焦らさないでぇ意地悪ぅ……負けました負けましたからぁ……はやくご主人様のぶっとくてたくましいおチソチソちょうだ~い♡』に移行……おチソチソを恵んでいただいた際『おっほぉ♡』発動の許可を求む……」


 なにいってんだこいつら!?

 なんだよその下品なモード!?

 エロマンガのフレーズ並べただけやないか!


「ダメだ、『おっほぉ♡』は許可できない。そもそも少女形態にチソチソが生えている個体は存在してはならない。これは世界の理であり、冒してはならない絶対なのだ!」


 中年魔法使いがなにに怒っているのかと思ったら、そこかよ!?

 こいつ、男の娘とかダメなタイプか?

 俺は中年魔法使いにおチソチソランド開園の容認を勧めてみた。


「思ったより繊細な奴だな。いいじゃねーか。女の子にチソチソ生えてても。俺はエルフだったらチソチソ生えてても全然いけるぜ! ……だからって俺のチソチソをそこのゴーレムにやるわけにはいかねーが」

「オーガよ、お前は本当に馬鹿なのか? 想像力が無いのか? 思い浮かべてみろ! 清楚な少女の衣装をすっと捲ったそこに、バッキバキのそれがあったら……! それは冒涜だろうが! 逃げろ、罠だ! となるだろうが!」

「かたくなな奴だな。百合に突然チソチソ生えてきておっぱじめるとかもダメか?」

「そもそも百合の間に挟まるチソチソは何者であれ排除されねばならない……! それが元は美少女だろうが同じことだ!」


 まあ、ダメな奴はダメなんだろう。

 性癖は人それぞれだからな、わかるよ。

 俺は多様性を大事にするオーガだ。


 と、中年魔法使いは胡散臭そうな目で俺を見る。


「……それにしても、お前は思ったより気持ち悪い奴だな。エルフになら生えていても全然いける、だと……? 変態オーガが……エルフが趣味だというやつにロクな奴はいない」

「はあああああっ!? エルフを馬鹿にすんのか!? やるか? 戦争すっか? あ!?」


 キレちまったよ……。

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