第30話 【悲報】俺ちゃん、自分でもなにをいってるのかよくわからない

 ミラーイメージとかいう魔法が切れたのか、魔法使いは二重三重の分身状態から単身に戻っている。

 そして、自分が今どうして俺の横にいるのか、まだ納得がいっていないようだ。


「……く……! そんなはずは……!」

「ふっふっふ、まだやるかい?」


 そう言いながら、俺はチソチソをフルバースト状態に持っていく。

 ゴゴゴゴゴ……。

 チソチソに血流の流れ込み続ける音が、川の流れのようなざわめきを辺りにもたらした。

 大体、ゴゴゴゴ……って音がしてる時は、チソチソがふっくらしてきてるんだなと思ってもらって間違いないです。


「……とっておきです! インビジブル!」


 魔法使いの姿がぱっと消える。

 透明化!

 エッチなことし放題じゃん!

 ええな、それ!


 取り乱しちゃった。

 ま、ここは実力差を思い知らせて二度と敵対しなくなるように、徹底的にわからせるとするか……。

 俺のチソチソには絶対敵わないという絶望を叩き込んだるわ……!

 さっき逃がさずにつれ戻したわけでもあるし、ここで見逃すのもおかしい気がするしな。

 てなわけで!


「……フルバースト・リバース!」


 ガオン。

 そんな音と共に、俺のチソチソは瞬時に縮小した。


「……え!? また……!?」


 俺のすぐそばで魔法使いの声がする。

 姿は見えない。

 だが、彼女の実体は確実に捕らえていたようだ。

 分身しようが透明になろうが関係ない。

 なにしろ、俺は空間毎、彼女の本体を引き寄せていたからだ。


「なにが起きてるんです……!?」

「教えてやろうか? 今、俺のチソチソを急速に萎えさせたんだ」

「……は?」

「そうすることで、元々フルバースト状態でそこにあったチソチソ分の空間を一気に真空化させられる。それまでそこにあったチソチソが急になくなるわけだからな」

「な、なんの話です?」

「そうして虚無化した空間はその真空を埋めるために、周囲の空間を引っ張りこむ……今、お前が俺の傍に引き寄せられたように!」

「なにを言って……空間を埋めるために引っ張られた……? そんな理屈が通るわけ……」

「通っとるやろがい!」


 俺のチソチソが瞬時に萎むことは『空間を削った』ことになり、削られた部分が閉じるように、すなわち削られた空間分の距離が縮まるのだ。

 そうなの!

 勢いで乗り切る。


 透明化していた魔法使いの姿が再び目に見えてきた。

 その表情は苦悶に満ちたもの。


「だ、男性器とは鍛え上げればそんなことができるんですか!?」

「そうだよ?」


 しらなかった? あれあれ? こんなの誰でもできるんじゃ……?

 俺はまたなんかやってしまったらしい。


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