第28話 神ちゃん、俺に魅了スキルしか授けてくれない

 俺と魔法使いたちがグダグダ言い合っている間に、俺のチソチソで目をやられたドワーフ少女が立ち直りかけている。


「目さえ回復すればオーガになぞ負けんぞ……」


 やべえかな。

 チソチソ一本で相手してやると言ったものの、もう一度フルバースト・セカンド使っても引っかかってくれるとは限らない。

 ……サービス期間終了しちゃおっかなあ。

 それとも、次の段階のフルバーストここで使っちゃうか……。

 実を言うと、俺はまだ3回のフルバーストを残している。


『おう、やってんねえ』


 あれ、神ちゃん?

 どした?

 また急に出てきて?


『お前、スキル経験値溜まったぞ。だから、また新スキル習得させたるわ。【ドワーフ魅了】な。世のため人のため、いいことに使えよ』


 いや、魅了スキルばっかなんだが? 俺に自由に選ばせてくんねーのかよ?


『どんな新スキルが欲しいのよ?』


 エルフ探索とかエルフ召喚とかエルフ錬成とか。

 特に自分でエルフ作れたらはかどると思うんだよね。

 自家発電ていうか地産地消っていうか。


『それゲームバランス崩れるからダメやな。チート過ぎる』


 なんでや!

 基準がわがらん。


『とにかく、うまいことやれや。じゃあの』


 神ちゃんの声が消える。

 と、同時にピロリロリン。


「……はっ……なん……っ……じゃ!?」


 戦斧使いのドワーフ少女が、俺を目にしてマヒしたように動きを止める。

 その手からポロリと落ちる戦斧。


『+999』

『対象名:戦斧使いメルガド

 好感度:+900     』

 ドワーフ式セックスが可能になりました。

 暗視プレイが可能になりました。対象をサーモグラフィで表示できます。

 地中での土属性性行為が可能になりました。

 閉所・暗所でのセックスにボーナスがつきます。


「……ぬうっ……! わたし、どういうことじゃ……」

「どうしたんですか、メルガド?」

「だ、だめじゃ……わたしにこいつは殺せない……いや、わたしがまだまともな意識を持っている内に……逃げるんじゃ! このままではお主らを……! ……あ、愛する者の敵として殺してしまうかもしれん……!」


 魔法使いたちは明らかに動揺している。


「そんな……状態異常に耐性を持つドワーフさえ簡単に洗脳するなんて」

「……メルガド、取り返す……」

「ダメです! 逃げましょう! ここはわたしが時間を稼ぎますから!」

「……2人でかかれば……まだ……」

「あのオーガの洗脳能力は普通ではありません。メルガドのように感情を操作され好き勝手に操られてしまいます……! ここは誰か助けを呼んでこなければ、それこそ全滅です……」

「……感情……私にはない……知ってるだろう?」


 マスクをした暗殺者風の女の子が短刀と左手を構えながら俺の前に立つ。


「……だから私が時間稼ぐ……行け……」

「シェイヨル……あなた……!」


『あ、言い忘れてたわ』


 あれ、戻ってきたんか神ちゃん。

 なんですの。


『さっき【カマキリ魅了】取り消した分、【アサシン魅了】、サービスでつけといたるわ。話はそんだけ。またな』


 ピロリロリン。


「……♡……♡♡♡」

「……シェイヨルさん……?」


 手遅れみたいですね。

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