第26話 ハンターたちをハントする。チソチソで。

 ……まあ、チソチソで気持ちよくなることが人生における幸せだなんて、子供にはまだ早かったかな?

 このロリ闇エルフに俺の名言が響かなくてもしゃーないしゃーない。

 前向いていきましょう!


 てなわけで、俺は森の先を見通す。

 茂った木々で、昼なお暗い。

 近くの町とやらは、あとどれくらい歩けばいいんだろう?

 と、俺は鼻を引くつかせた。


「……女の子の香り……!」

「うん? 私の高貴なるフレグランスがどうかしたのか?」

「お前のじゃねえわ! もっと股間をモシモシする女の子の匂いがする……! 近くに女の子が居るぞ! しかも複数だ!」


 もしかしてエルフか⁉

 うひょおおおお!

 狩りの時間だー!

 マンハント!

 いや、ガールハント!

 盛り上がってまいりました(物理的に)!


「……気付かれた……」

「あちゃー、不意打ち失敗ですね!」


 近くの木陰から、若い女の子たちが姿を現す。

 マスクをした黒装束の少女と、短い髪に魔女帽を被った少女。

 その内の魔女帽の少女が声をかけてくる。


「こんにちは! 言葉はわかります?」

「……なんだ、エルフじゃねえのか……」

「あれ? なんだか随分テンション下がってるみたいですけど……まあ、いいです。あなた、クリムゾンオーガですよね?」

「うん、まあ、そうみたいだな。俺もよくわからんが」

「ええとですね。あなたには討伐命令が出されてまして、わたし達、あなたを倒しに来たんです。というわけで、討伐開始です!」


 身構える少女達。

 え?

 いきなり俺を殺しに来たの、この子ら?

 治安悪いな!?


 俺の横でデスメソスが鼻で笑った。


「ふん、ギルドで仕事を請け負った冒険者達というわけか。よく囀る」

「おや? あなたはクリムゾンオーガさんの仲間ですか?」

「……ルカ、あいつ闇エルフ……邪悪……」

「なるほど、悪は悪同士で手を結ぶというやつですね! 手を出さないなら見逃してあげますが、そうでないなら容赦はしませんよ」

「……これでも、この愚かなオーガに協力を約束してやったからな。それに私の方が先約済みだ。貴様らにむざむざくれてやるものかよ。代わりに貴様等もアンデッドにしてやろう」

「待て待て待て! お前は手え出すなよ⁉」

「なぜだ? こいつらは貴様の敵だぞ?」


 でも、俺、女の子と殺し合いとかしたいわけじゃねえし……。

 なにもせずに通してくれねえかなあ……。

 やれやれ。

 俺の方が超つえーってところを見せつけてやれば尻尾巻いて逃げてくれるかも。

 なら……一度言ってみたかったんだよな!

 強者ムーブってやつ。


「いいから、デスメソスは手を出すな」

「ちっ……貴様がそう言うなら」

「ふうん? 仲間の命だけは助けたいということですか? 敵ながら天晴ですね」

「……ふふふ、勘違いするな。お前らなぞ、俺一人で十分ということだ」

「……強がり……」

「そしてさらに、俺に挑むその勇気に免じてサービスしてやるぞ」

「サービス? ですか?」

「俺、両手は使わないでおいてやるよ。どうだ?」

「へえ? おもしろいオーガですね。手を使わずにどうやって戦う気です?」

「もちろんここさ!」


 ばあーん。

 股間くいっ。


「このチソチソ1本で戦ってあげますよ」


 ほーっほっほっほっ。

 私のチソチソは53万本ですがもちろんフルパワーでにゃっはろーする気はありませんからご心配なく。


「ひ……っ! ち、痴漢ですっ! このオーガ、ただの性犯罪者です!」

「……きっしょ……」


 女の子達にドン引きされた。

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