第20話 俺ちゃん、ついに転生してまで為すべきこととはなんなのか、悟る!

 チソチソを小さくする邪神のせいで人々が滅びかけた。

 まあ、それはわかった。

 そういうこともあるだろう。

 でも、あくまで、滅びかけた、だ。


「……でも、滅んでねえだろ? 今はそうじゃねえんだろ?」

「それはそうだ。今、人々のチソチソは元の力を取り戻している」

「ということは、今度はチソチソを大きくする聖なる神でも現れて、チソチソをかけた最終戦争でも起きた? そして、チソチソをデカくする神が勝った?」

「残念ながら、神はチソチソを救わなかった。チソチソを救ったのは、人々自らの強い願いによるものだ。この脅威に対して、あまたの冒険者達がチソチソを小さくする邪神を討伐せんと試みた。そして遂に一人の勇者が邪神を封印したのだ。そうしてチソチソを小さくする魔法は失われ、人々のチソチソは元の大きさにふっくらと戻ったという」

「よかったじゃん。じゃあ、めでたしめでたしで話は終わりだな」

「そして人々は学んだ。チソチソを小さくする力はまだ人類には早い。過ぎた力だ、と」

「……なんでだよ⁉ グロテスクなチソチソを小さくしてプリティウィンナーにするとか役立つ場面はいっぱいあるだろ! 要は使いようだ!」

「ふん、でっかいチソチソをウィンナーにするとかそんな冒涜、許されるわけないだろう。正義道徳賢人会も、それは冒涜である、と判断した。だから今では正義道徳賢人会によってチソチソを小さくする魔法は正式に禁術とされ、研究や開発も禁止されているというわけだ」

「さらっと聞いたこともねえ賢人会とか話の中に入れてくんな。なにそれ?」

「権威ある魔法使いたちが寄せ集まった老人会だ。それでも、人々や国々に影響を及ぼすだけの力はある。今でもチソチソを小さくする魔法を研究しようという邪悪な魔法使いの元には正義道徳賢人会から刺客が差し向けられるそうだぞ。貴様も馬鹿なことを言っていたら、奴らに狙われるかもな」


 デスメソスの小馬鹿にした目つき。

 ふん、と鼻で笑っている。


 ほうほう。

 なんとなくわかってきた。

 俺の目指すべきもの、やるべきことが。

 ……邪神は勇者に封印された……。


「……じゃあさ? その邪神を復活させれば、チソチソを小さくする魔法がつかえるようになるってことだよな?」


 デスメソス、雷に打たれたように身を引きつらせ、見開いた眼で俺を見上げてくる。


「……邪神を……復活……? ま、まさか貴様……そこまでして、チソチソを……」

「エルフとエロいことするためなんや! 仕方ないんや!」


 俺は正論を闇エルフにたたきつけ、完膚なきまで論破する。


「ふざけるな、馬鹿が! 貴様がそこまで愚かだったとは……! この世の全てのチソチソが再び小さくなる世が来るのなら……そうなる前に、私が貴様を殺してでも止めてやる、止めてやるぞ!」

「でさあ、邪神を蘇らせるにはどうしたらいいと思う?」

「話を聞いてるのか!? 私は貴様を殺してでも止めさせると言っている!」

「んな心配すんなよ! 俺のチソチソだけ小さくしてもらったら邪神にはまた封じられてもらうからさぁ。他のチソチソに手出しできねえって」

「そんなお手軽に邪神を使おうとするな!」

「それに協力してくれたらちゃんとお礼するからさあ」

「薄汚いオーガになど誰が手を貸すか! いくら金を積まれようが、そんな甘言に乗る私では……」

「邪神復活させてくれたら、俺のチソチソ、お前にぶっこんでやってもいいぞ?」

「……え?」


 デスメソスの口がぽかんと開いた。

 よだれ。

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