第16話 闇エルフ様はこくらせたい

 いくら俺がエルフ大好きでも、こいつとエロいことしようという気は完全に失せた。

 グロイことばっか言うから。

 俺、こう見えても、相手が性的な対象じゃなくなったらすげえ冷淡よ?

 転生前、あらゆる男のことをいつも、くせえ! 近寄んな! って思ってたし?


 俺は腕組みした。

 ぐっと胸を反らして、上から見下す。


「あのさあ……帰ってもらえます?」

「……ははあ、貴様、馬鹿だからわかっていないのだな? 私のような闇エルフが低級モンスターであるオーガに口をきいてやるという栄誉を与えるのは、滅多にないことなのだぞ? 低級モンスターに優しく接してやるのは、闇エルフ族にとって掟破りにあたるくらいだ。……私をここまで煩わせていること、光栄に思うがいい」

「帰れ」


 ピロリロリン。

『+55000』

『対象名:死人使いデスメソス

 好感度:+250000     』

 菊門開放! アナル切腹が可能になりました。

 カー切腹が可能になりました。

 ドラゴンカー切腹が可能になりました。


 あーあー好感度250000になっちゃったよ。

 ほんと、冷たくしても勝手に好感度上がるのな。

 それで可能になったのが……なに?

 ……どういうプレイかよくわかんねえけど、ぜってぇ気持ちよくないやつだろ、これぇ!

 アナル切腹って、尻から刀刺して腹かっさばくのか?

 いてて……。

 考えるだけでチソチソ縮むわ。


 デスメソスは俺から拒絶されたのに、どこか訳知り顔。

 余裕の薄ら笑いで、俺を見下しているのがありありだ。


「ふふん、なるほど? 私があまりに恐れ多くて謙遜しているというわけか?」

「違うよ?」

「本来なら手の届かぬ存在である私に触れること自体怯懦して、私を遠ざけようというのだろうが……馬鹿め、貴様の本当の欲望はお見通しだ! 薄ら汚い性欲と食欲を私に向けているくせに。隠すな隠すな! 貴様は結局人食い鬼なのだから。素直に私の言いなりになればそれでいいのだ」

「だから、俺は人を食いたいとか思わねえの。エロいことするにしても、痛いのとかかわいそうなのとかはNGね。何度も言わせんな」

「思ったより臆病な奴だな。そこまで恐縮して、私に手を出さない言い訳をしなくてもいいと言っているのに」

「言い訳じゃなくて本心なんだよ」

「そういうのもういいから。さ、誰も見ていないし……やっていいぞ」


 デスメソスは悪そうな笑みを浮かべて、纏っている黒ローブの裾をふわりと持ち上げる。

 ローブの奥に素足と、闇に紛れた暗黒が見えた。

 パンツ、黒?


「……かじりつきたいだろう?」

「いや、全然」

「……全然?」

「ああ。見ればわかんだろ? 俺のエッチピストル、にゃっはろーしてるか?」

「ピㇲ……? にゃっは……?」


 と、デスメソスの余裕が剥がれ落ちる。

 再び、ぷーっとふくれっ面。

 

「……そんなバカな話があるか! オーガなら人系種族を破壊し食い殺して当たり前だろうが! なのに……!」

「俺はオーガだけどそういうオーガじゃねえ」

「……もう……! もう! 貴様は意地の悪い嫌なオーガだ! 真の邪悪とは貴様のための言葉だろうな! こ、この私に恥をかかすんだから……! ……ええいもうっ! い、いいから、やるのだ! 私を汚してくれ……く、この……た、頼む。頼むから……! お、おね、お願い……しますっ! もうずっと……熱くなっていて、が、我慢が……」

「メスの顔されてもなあ」

「誇り高い高貴な私がここまで頼んでいるのに……‼ 貴様、どんなご両親に教育を受けてきたのだ!? 貴様のような腑抜けたオーガ、見たことがない! いや、待て……貴様一体、何者なんだ? 本当にクリムゾンオーガなのか……?」


 ロリ闇エルフ(変態)の目が妖しく光った。

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