3話 修業の日々

 赤乃はお寺で奉公している。今日は、掃除のほかにも野菜作りを手伝った。雑草を抜き、人糞や牛の糞、馬の糞をまき、カブや大根がほどよい大きさになったら引っこ抜く。


お寺の修行僧に天介さんという人がいる。いつものみをふるっては彫刻を作ってばかりいる。

畑で雑草を抜き続ける。天介さんはと言うと、木陰にて小刀を片手に相変わらず仁王像を彫っている。彫っている様子を見たいなあと思いながらも雑草抜きも頑張んなきゃいけないので、やっぱり草むしりをまじめにする。


日が照っているので熱中症になりやすい。だから、適宜、日陰で水分補給などをして休む。相変わらず天介さんは彫刻に夢中だ。ずるいなあと思ってひょいと天介さんが彫っている物を見る。


天介さんふっとこっちを見ると、

「ずるいなあとおもっているんじゃねえか? お前一人に草むしり任せちゃって。俺は彫刻して」

「いや、思っていません」

「本当か?」

「はい」

 水をひと息に飲み干すと、また畑に草むしりに戻った。

 帰り際、天介さんにねだる。

「僕も、彫刻したいです」


 天介さんはしばらく考えていたが、分かったと答えた。帰ると乾燥した薪と小刀を渡された。

「自由時間になら薪を削り、彫ってもいいぞ」

 思わずうれしくなって天介さんに抱きつく。天介さんに男に抱きつかれたくねえと殴られた。


その日の夜から設計図を書きはじめる。何を作ろうか? 猫? 狐? 猿? ずっと考えている。紙に考えていることを書き綴る。


 その時に狸の子の姿がひょいと浮かぶ。時々、気を失うときがある。そんな時に狸の子の世界へと飛ばされる。


狸・・・・・・狸・・・・・・? 狸も描いてみたいなあ。その結果・・・・・・、猫を描くことにした。赤乃は不器用でへそ曲がりなのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る