第13話
「フユルーシ様。これでお遊びになられる時は何名様ほどをお考えですか?」
サマラが聞いてくる。
「えー?! 予想もつかないなぁ。
とりあえず、俺とニーデズは確定で、メッセスとウルトもできるようになってほしいし、慣れたら友達も呼びたいし」
「本日はデータ取りのためですが、フユルーシ様は百球近く打っております」
「遊びのときは、あんな風にガンガン打たないけど、休み休み沢山打つと思うんだよね。二百くらいいけそうだよ。
な? ニーデズ?」
「はい。僕もそのくらいは打てると思います」
みんなも楽しかったようでそのくらいは遊べそうだと言う。
「十人呼んだら二千球だ」
「に、に、二千……」
サマラは金勘定より作業の多さを心配しているようだ。
「一気にじゃなくていいよ。しばらくは俺たちだけだから拾ってきてくれるのを待てるし」
今日もみんなで三十球しかないので使用人が拾ってきてくれるのを待った。
庭師の弟子たちは、交代で打つのと拾い手伝いとをしていた。
「ありがとうございます。大量発注は大変嬉しいです」
「たぶんだけど、消耗品だから二千球の後にも発注することになると思う」
「ありがとうございます。クリケットボールも結構定期的に売れますから、ボールはどんなスポーツでも消耗品ですよね」
「あ! そういえば、このスポーツの名前は何になさいますか?」
ウルトは思い出したとばかりに手を一つ叩いた。
「やっぱり名前があった方がやりやすい?」
「まあ、そうですね。『タァサス湖畔のクリケット球場の遊びのスポーツ』というよりは、お名前があった方がよろしいかと」
「うーん……。そうだなぁ……。
ならぁ……『ガルフ』っていうのはどうかな?」
「「「ガルフ?」」」
「うん。ガーシェル公爵家の俺フユルーシが始めたスポーツってなっていったらかっこいいかなぁって……」
「それ! 素晴らしいと思います!」
「フユルーシ様のお名前が入るのはいいですね!」
「ガルフ! かっこいいですねっ!」
みんなが口々に褒めてくれる中でニーデズは俺にウィンクした。これはニーデズと決めていた名前だった。
ニーデズと俺はこれをいつか流行らせたいと考えていて、そのためにも名前は必要だと思っていた。ニーデズの名前を入れることも考えたが、もし俺たちがいい間違えても誤魔化せそうな名前で、尚且、ニーデズが公爵家を全面に出した方がいいと言ったのだ。
みんなそれぞれ興奮冷めやらぬ感じだったが、明日の午前もガルフをやろうということで解散した。
〰️ 〰️ 〰️
翌日、まずはニーデズでデータをとった。やはり俺とニーデズでは得意とするドライバーは違っていた。
「これは面白いっ! どんな木で作っても誰かにフィットするかもしれないのですね!」
テレストは大興奮だ。
ランチを食べたら王都へ帰る時間なので午前中はそれぞれ思いっきり打ちまくった。
球拾い待ちだけど。
帰り際、ネンソンに改修指示をした。
ティーグラウンドを十センチほど高くし、芝は短めに刈り込む。ティーグラウンドはバックスタンドに合わせて弓形に数打席作る。
打席として、四メートルずつ仕切る。これはわざと広くした。友人たちはみな貴族なので、ゆったりとした方が好まれそうだという判断だ。打席の後ろには休憩ベンチとパラソルとテーブル。
ショットグラウンドはティーグラウンドから三十メートルより十メートル毎にロープを横に張り飛距離がわかりやすくする。
ネンソンが張り切っていたからいい物ができるだろう。
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